笑顔の素敵な殺人鬼 ③
一応セーラー服の殺人鬼……名前はアンジュというらしい。
アンジュにうちは魔王軍だということを説明はしておいた。
「それにしても殺人鬼がこの子、か。主張はたしかにわかるが……」
「黒髪の女性は宗教上の理由で淘汰されているね。アヴァロン教の教えで」
「……私が作ったわけではありませんので。先人たちが作ったのですよ。現に私なんか教典とか守ってませんから」
第一、第二王子とアヴェールにこのアンジュのことを説明しておいた。
彼女は常日頃教会に通っているほどの熱心な信者らしく顔を覚えらえていた。アヴェールに。
「そろそろ教典を変えたらどうだ? こういうことがあるかもしれないだろう」
「信者が多いので突然こうしますとするといろいろとまずいのですよ。まぁ、内容は弄りはしますが」
「国としてもアヴァロン教が力をつけてきているのがわかる。国を乗っ取りたいわけじゃないのだから少しは自重しろ」
「昔は乗っ取るつもりだったんですけどね」
ああ、第二王子がバカだった時だな。
「乗っ取るまでもなく第二王子が覚醒してしまって。取り越し苦労というかなんというか……」
「……その節は魔王様にも悪かった。言い訳をすると、絵本などで魔王は悪役として書かれているからどうもそっちの印象に引っ張られていた」
「まぁ、たしかに物語じゃ、勇者は正義、魔王は悪だからね。悪役がいないと正義が輝かないし仕方ないと思うけど」
必要悪、というやつだ。
「で、今更疑問なんだけどいつもなんで書庫で茶会やってるわけ? ここ本を読む場所なんだけど」
「いいじゃないですか。あなたがいるんですから」
「……その、魔王様の近くだとな。逆に緊張が」
「俺は第二王子の付き添いで」
「あ、そう……」
もうつっこむのも馬鹿らしくなってきた。
「話を戻すがもうそいつが殺人をすることはないんだな?」
「はい。師匠と共に頑張っていくつもりなのです」
「そうか……。だがしかし、殺人鬼を無罪というわけにもいかないんだが」
「かといって魔王様の側近の弟子になったとなると死刑というわけにもいかないし、というか牢に放り込むこともできないし」
「もうアヴァロン教に一任してやろうかな。面倒になってきた」
「私だって面倒ですよ……。私たちとして信者がこういったことをしてしまったので一気に不信感が増してしまいましたからね。信頼を得るのは難しいんですよ……。しかも殺人とか……」
この件の一番の被害者はアヴェールだろうな。
信者がこういったことをしてしまった。アヴァロン教は殺人鬼を生み出す宗教だとみなされてしまう。そうなると信頼の回復が難しい。
苦労が目に見える気がする。
「秘密にしておけばいいだろうと言っておくべきか?」
「しておけたらよかったのですがね。彼女は敬虔な信徒だったのがいけなかった。彼女の顔は既に知られており、先日の一件を目撃した人もいます。王都ではすでに殺人鬼のうわさが回っており彼女と殺人鬼を結びつけるのは容易でしょう。あと、敬虔な信徒であったことも知られており……」
「そ、そうか」
「もう隠居してしまいたいくらいには忙しいですよ。信頼を得るために東奔西走してますから。あ、もう帰りますね。また仕事がありますので」
と、アヴェールが席を外す。
「とりあえず処置はどうする兄上」
「それなんだけど、奉仕活動というのは?」
「奉仕! なにをすればいいのですか!」
「本人乗り気だし」
「なんでもこい、です。人のためになることならばなんでもします」
「……パンドラ様。奉仕活動させてもよろしいか?」
「……いいよ」
本人やる気満々だし。
スポーツ大好き少女ちゃんです。
名前:球磨川 白露
プレイヤーネーム:ビャクロ
好きなもの:運動、筋トレ、スポーツ、鳥のササミ肉
嫌いなもの:勉強、不公平、卑怯
備考:スポーツ大好きスポーツ全振り少女。スポーツに関しては天才肌であり初めてやるスポーツでもそれなりの成績は残す。ただ不器用であり工作などはあまり得意ではなく、力加減がわからないのかよく物を壊す。ノートに関しては字が汚くパン子曰く古代文字。
またいつも赤点スレスレであり、パン子のノートがないと余裕で0点を取る始末。
親は警察官であり白露の成績を見て「……うん」と諦めている模様。




