笑顔の素敵な殺人鬼 ②
現実の顔を知っていれば模倣ができる。
私は路地の近くで待ち合わせを装っていた。夜の王都で一人ベンチに座っているのもおかしい状況だとは思うが、引っかかってくれる。
その瞬間、いきなり奴は現れた。
「あなた……黒髪です」
「そ、そうですけど……」
「黒髪は、不運です。今すぐ私が……」
その人はセーラー服を着ていた。
そして、その瞬間ナイフで襲い掛かってくる。
「へぇ、私を殺すつもり?」
「はい。黒髪は不運なのです。生きていても辛いでしょう? 悲しいでしょう? 私が救済してあげるのです。神の元に送り、順風満帆な生活をしてほしいのですよ」
「そう。あんた変わった思想してるね」
「そうですか? よりよい生き方をするというのは自然の摂理です」
と、ナイフを持ったセーラー服の少女は微笑んだ。
いきなり殺人鬼とエンカウントできるとはついてるなぁ。で、彼女の髪色は黒髪だった。
「この世は、生きづらいです。黒髪の女性というだけで淘汰される時代なのです」
「だから死ぬのが一番の救い、だとでもいうんだ」
「異端は淘汰されます。死以外の救済はあり得ません。生きづらい世から救うには死ぬのが一番です」
「……そうでもないさ。黒髪の女性じゃなくてもこの世は生きづらいんだよ。優秀すぎる私にはいつも嫉妬されてるし嫌がらせも受けるさ」
「ならば今度からは優秀な人も殺しますね」
「そういう問題じゃないけどな」
私は、ナイフを奪う。
「もうあんたとは話が合わなそうだ。黒髪の女性を救済する……だっけ」
「……」
「じゃ、私があんたを救済してあげるよ」
私は、その女の子の首を掻っ切った。
その瞬間、その女の子の顔が絶望に染まる。死ぬのは嫌なのか? と質問をすると。
「死にたくないですっ……! 怖いっ……! 神は私をきっと許しません! 私は殺していった女性の罪を背負いながら生きていくと決めたのですっ……! いや、いやあああああ!」
と、叫んだ。
自分勝手もいいところだ。他の黒髪女性は殺す癖に自分は死にたくないだとか都合がいいにもほどがある。なぜ死にたくないのか。まだこの世に未練があるから。
他の殺した人も未練はあるだろうに。
「ほかの女性も未練があるんだよ。わかる?」
息をしていない。もはや瀕死の状態だった。
彼女は、泣いていた。
「しょうがない」
私は回復魔法をかける。
首の傷が癒され、彼女は目を開けた。
「……こ、怖かった」
「ね? 死は怖いでしょ」
「はい…」
「君にも未練はある。他の殺された女性も未練がある。それぐらいはわかるでしょ」
「…………はい」
「もう殺人で救済という真似はするな。いい?」
「わかりました。死はこりごりです……」
「ならばよろしい」
多分純粋な子だったんだ。黒髪だからという理由で淘汰され、不満を募らせていった。死んだほうがいいのだとも言われたのかもしれない。それを真に受けたんだろうか。
まあ動機はなんであれ、これでやめてくれるといいんだが。
「それじゃ、私はいくか」
「あのまってください」
と、彼女が私の手を掴む。
「わ、私をあなたの弟子にしてください、です!」
「…………は?」
「師匠は私に死の怖さを教えてくださったのです。これからは心を入れ替えて師匠と一緒にいいことをしたいと思ったのです」
「待ってくれ」
「どうかぜひ! 私を弟子に!」
「……あの、これ一応変装で私違う姿だよ? 水色の髪してるよ?」
「神様と同じ色の髪なのですね。徳が高そうです」
「……えっと」
「ダメ、ですか?」
「……いいよ」
「やったぁ!」
と、セーラー服の少女はぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでいた。
「笑顔の素敵な殺人鬼ちゃん、あなたの弟子になったのですよ!」
「……はぁ、どうしてこうなるんだ」
続いてお金持ちのお嬢さん
名前:阿久津 月乃
プレイヤーネーム:ワグマ
好きなもの:栗、買い物、友達のための浪費、悪役
嫌いなもの:友達の悪口言う人
備考:一番友達思いである。また、家が金持ちであり、友人に対して金を使うことを厭わない。むしろ幸せに感じてる。多分きっと惚れたら尽くすタイプ。頭は良くもなく悪くもなく。中途半端な感じ。運動は比較的好きだが白露ほど好きではない。
また何かに感情移入しやすい。
また親友二人が化け物みたいな才能を持ってるため自分が普通だと思っている面もあり、ちょっと情けなくは思ってるが、同時に仕方ないと諦めている。
パーティなどは重要なものじゃない限り参加はしない。




