海の中のお姫様 ③
海王姫の特徴としては液体を創り出せるらしい。
あと、水中での呼吸を可能にし、深海でも自由に行動ができる、魚が逃げない、海の魔物に襲われないなどなどの特典があった。
やはり神の力の一端というべきだろうか。とても使い勝手がいい気がするが。
「綺麗です師匠! お姫様です!」
お姫様って柄じゃないっての私。
このクラゲみたいな水色のドレス。ちょいと恥ずかしい。着替えることはできないんだろうか。
『あ、そろそろ海閉じるわよ。早く帰りなさいな』
「そうだね。私はまだしもレブルは潰れちゃうかもしれないし」
「そ、それは嫌ですぅ! 帰りましょう師匠!」
というので急いで海底神殿を後にする。
私は水の中を泳いでいき、レブルは徐々に閉ざされていく海を颯爽と走っている。砂浜ですらスピードが落ちない。レブルは体力バカだろ。
それにしてもすごいな。海の中だから冷たい。だけど、寒くはない。
そして、海が完全に閉ざされた。 レブルは若干間に合わなく、腰までが海に浸かっている。
「み、水着でよかったです……」
「このドレス濡れない」
「さ、さすがに砂浜全力疾走は疲れますね……。岩とかあってごつごつしてまして足が痛いです……」
「うわぁ」
尖った岩などがあったのか足が切れていたりする。血が出ている。
そういえば水魔法の特徴といえば回復魔法だ。
海王姫ということは回復魔法ももしかしたらできるんじゃないだろうか。と、なんとなくできる気がしたので、回復! と唱えると、水が患部に集まっていき、癒されていく。怪我があっという間に消えて、つるつるのレブルの足があった。
「わぁ! 治りましたぁ」
「できるのか」
「きれいさっぱりです!」
「結構すごいな」
うちの魔王軍そこまで戦わないけど、この力は乱戦向きだ。
水というのはいつの時代でも恐ろしいものだと思う。水の災害はいつの時代でもある。豪雨、津波。自然の恵みでもあるが、怒りでもある。
水とどう生きるかなんだよな。
「さて、戻ろっか。レブル」
「はい!」
レブルは水着から着替えて、走る体制をとった。
いや、どうせだから力を試してみよう。私はレブルにサーフボードを持たせる。
「バランスを鍛える訓練だよ」
「バランス! はい!」
「それ!」
私は水を創り出し、大きな波を起こす。
レブルは波にのっかり、そのまま魔王城へと向かっていった。地面でも水を作れば波乗りができるって素敵だよね。
レブルはさすがと言うべきか一発でサーフボードの上に立つ。
「気持ちいいですねえ! 波に乗ってますよぉ!」
「うーん、まぁ、さすがレブルだな……」
ビャクロと並ぶ運動神経か。




