文化祭の王子様 ③
私たちは私たちのクラスの店で茶を飲んでいた。
「こいつは一応私の友達の吽神 魔子」
「はじめまして。あなたが夢野さん? 月乃からかねがね話は聞いてるよ」
「どうも」
紅茶を啜る。
「まぁ! 礼儀がきちんとなされている方ですね!」
「うん? いや、まぁ」
「誰に教えを乞いたのですか? そんな綺麗な所作は私にもできません」
「いや、普通に独学で……」
「まぁ!」
抱きつくな。
私王子様の格好しているけど女子だぞ。同性婚とかこの国じゃできないぞ。
「パン子いつまで王子の格好してるのよ。もうシフトないでしょ」
「うーん。まぁ、今日一日はこれでいいかも」
「どうせ着替えるのが面倒だとかそんな理由でしょ」
「正解」
一回着替えようとしたけどこの子のせいで着替えられなかったしもう着替える気が失せた。一度やるって決めたことをやらないとやる気が一気になくなるんだよね。
「魔子。あなたのお父様は元気してるかしら」
「バリバリ元気だよぉ。ってか今日来てるから挨拶に行く?」
「そうなの? なら後で行こうかしら」
「っていうか、お父様多分ここ来るわよ。紅茶好きだし」
その時だった。
教室の扉が開かれると、そこには筋肉ムキムキの男性がいた。
「あら、お父様」
「お父様!?」
あのムキムキマッチョが!?
私は思わず魔子さんとそのお父さんを見比べてしまう。そのお父さんは魔子さんに気づいたのか、あっちの席でと私たちの席を指定してきた。
あ、あはは。
「それでは私はこの辺で……」
「おお! そちらは魔子の彼氏さんか!」
「ひい!」
お父様は魔子の隣に座り、私も逃げることができなくなった。
そういわれてしまったら逃げるのが失礼になるだろう。
「ふむ、見たことがないが……。かっこいい顔をしているな」
「い、いえ、私は彼氏では……」
「ああ!? うちの魔子が気に入らないってか!?」
「違います違いますぅ!」
「お父様。頑固おやじごっこはやめてくださいな」
「すまないな。彼氏さんもすまない! いやー、こういうのに憧れていてな」
「は、はぁ」
私は席に座り、紅茶を啜りながら考える。
――早く帰らせて
「それと本当に彼氏じゃありませんのよ。この方は女性ですから」
「ほう、たしかここは女装男装喫茶だったか? 男装にしては見事な完成度ではないか」
「あ、あはは……」
私場違いじゃない?
私は目で今のシフトに入ってるビャクロを見ると、ビャクロはため息をついた。そして、かつかつと近づいてくる。持つべきものは親友!
「ご主人様。ご注文はお決まりでしょうか」
「うーむ、ダージリンにしておくか。それ一つくれたまえ」
「かしこまりました」
と、注文だけ聞いて去っていきやがった。おい、私の気持ち伝わらないのか?
「それと久しぶりだな月乃くん!」
「ええ、最近は挨拶にいけず申し訳ございません。少々立て込んでいたもので」
「はっはっは。ゲームでもやっているのか?」
「バレてますの?」
「当たり前だ。うちの娘もやってるからな」
そうなんだ。
「うちの娘と一緒にこの前ゲームして、国を建てたいといったから国を建てたんだ」
「……それって」
と、月乃が私を見る。
うん、その話を聞いてなんとなく思ってしまったが。
「もしかしてルフラン神聖王国でしょうか」
「お? 知っておるのか! そう、その国王が娘なんだ!」
いきなり敵のボスとエンカウントしたんですが。




