難攻不落の魔王城 ②
戦って数時間が経過するが、今だに軍勢はなくならない。
私たちの体力だけが消耗していった。
「か、数が多すぎますぅ!」
レブルがそうこぼす。
何万の兵力をたったの十人で対応しているのだから時間がかかるだろう。プレイヤーも交じっているために一筋縄ではいかないのが事実だ。
数の暴力ってひどいよね。
「さ、さすがに……きついです」
「長期戦はやっぱきついか」
だがしかし、こちらだってただただ相手してるわけじゃない。
相手の後方に旗を掲げた軍勢が近づいてくる。来てくれたんだ。あれはオールランド王国の兵士の制服と、ニホンの兵士の制服。
その大群がやってきた。
「ピンチと聞いて駆けつけてみれば……総員! 一斉にかかれ!」
第二王子の号令が飛び、兵士が突撃していった。
それには驚いたのか、相手側のプレイヤーがびっくりした顔をしている。ほかの国からの増援がないと思っていたのか? この道はニホンとオールランド王国をつなぎ、商人の出入りなどが激しい場所だ。こんなところで闘ってたらすぐにばれるし、戦いが始まったとき商人が近くを通っていたので伝言を頼んでおいた。
「これで数の暴力も怖くないぞ」
「ぐっ……数を増やしやがったか……!」
「そちらのプレイヤーはあと何人だ? もういないだろ」
「……バレてるのか」
やっぱりもういない。
プレイヤーという厄介な相手がいないのならもうこの勝負勝ったに等しいだろう。
「戦争っていうのは大将の首をとればいいんだっけ」
「やってみろ」
相手が剣を構える。
みんな疲弊していて、戦える状況ではないだろう。私だって疲れてもうログアウトして眠りたいがそうもいかない。
私が戦うしかない……! と思っていると。
「あらよっと。相手は俺がするよ」
と、タケミカヅチが現れたのだった。
た、助かった。タケミカヅチくんが来て、相手をしてくれるっていうのはとても助かる……。もうすでに戦う気力なんて私たちには残ってないからな……。
「ごめん。来るの遅くなった」
「まったくだよ。でも、助かった」
イケメンが、私たちに微笑んだ。こういうことされると素敵だって思っちゃうじゃないですかやだー。でも、ありがたい。
私たちはちょっと休憩……。する暇はない。
「誰が相手だろうと俺は負けない! 勝って国に帰る! それだけのことよ!」
「俺も勝ちが目的だから。負けを譲るつもりはないよ」
すると、剣の応撃が始まった。
間近に私はいるため、迫力がすごく感じられる。
と、タケミカヅチくんが相手の足を払う。まさか剣の勝負で足を使われると思わなかったのかそれにひっかかり、転んでしまった。
そして、タケミカヅチくんが剣を突きつける。
「て、てめえ! 剣の勝負だろ! 足払いなんてせこい真似……!」
「いつ剣の勝負だと思ってるんだ。国が魔王に対して戦っているんだから戦争だろう。それと、俺らの生死がかかっているのにそんなまともに戦うことができるか」
「だからといって!」
「戦いは何が何でも勝つ。手段を選んでいる場合じゃない……。これも自分のためなんだ。許してね」
タケミカヅチくんは剣で相手を切り裂いた。ポリゴンと化して相手は消えていく。
「……かっけえ」
「そ、そうかな」
イケメンだなぁ。
うっかり惚れそうになっちまったぜ。




