文化祭前の事件簿 ①
ゲームではいろんなことがあるけれど、現実世界はそうじゃない。
私はあくびをしながら小道具とかを作っていた。とんとんとリズムよくトンカチで釘を打つ。物作りは基本設計図通りにやれば問題はない。
「完成度たっけー……。パン子こんなのも得意なのかよ」
「まあねぇ。手先は器用だし?」
小道具班として活躍している。
だけどその翌日、事件が起きたのだった。
「なんだこれ」
さあまた始めようとした時、しまってあった小道具が全部壊されていた。
木片がちらばり、せっかく作ったものが全部修復不可能くらいにまで壊されていた。誰がこんなことを。なんというかあさましいっていうか。
それに、小道具壊されたぐらいで私たちがギャーギャー言うわけじゃないのにな。
「ちょっと!? ナニコレ!?」
「うっわ、みんな壊れてるよ……。俺たち作ったもんもすべて……。誰がやったんだ」
「……文化祭までもう少しだよね? ちまちまと作ってきたけどこの数、今から作れる? 正直この出来にはもうできないと思うけど……」
そう、問題は文化祭があと三日後というところだった。
ちまちま作ってきて、今日ですべて完成させる予定だったんだけどね。だからこの小道具が使われる四日後……文化祭二日目には絶対必要だ。
まったく。ここまでして妨害って……。
誰がやったのかは知らないけど陰湿というかなんというか。犯人を推理するのもばかばかしい。
「パン子! どうしよう!?」
「どうしようたって……。作るしかないんだろうけどな」
「ドラ〇もん! なにか道具出してよ!」
「誰がドラえ〇んだ」
どうにかしろって言われても私には無理だろう。
こういう時はやっぱ頼るしかないだろうな。私は、携帯を取り出し電話をかける。
「もしもし月乃」
『どうしたの? 料理班になんかあるの?』
「うちのクラスの妨害をする奴がいるから気をつけろっていうのと、あと月乃の力でなんとかしてほしい」
『なにがあったのさ』
「かくかくしかじかで」
『それでわかるのは漫画だけよ』
そらそうだ。
私は目の前に起きている惨状を詳しく月乃に説明すると、月乃が「何よそれ!」と憤慨していた。そして月乃は会社の社員さんに頼んで作ってもらうということだ。
人数はうちらより多いから三日あればすべてできると言っている。持つべきものは金の力だ。
『設計図は今日私に頂戴。で、パン子は犯人を見つけるのよ』
「ええ、めんどくさ」
『こんな姑息な真似されて許せるわけないじゃない』
「そうだけどさ」
『犯人捜しするのが私からの条件よ。そんなホイホイできないわ』
「はいはい探しますよ」
私は電話を切る。
「それじゃ、犯人推理と行きますか。とはいっても、簡単だろうけどな」




