魔獣パンドラ
武闘大会が終えて、閉会式。
参加したプレイヤー共々が並んでいると、空から何かがこちらに向けて降ってくるのが見えた。隕石……じゃない。
その不明な何かが観客席に落下した。
「なんだァ?」
阿鼻叫喚になる観客席。逃げ惑う観客。その落下したものを見てみると黒い触手が生えていた。その黒の触手は人に触れると、人が呑み込まれていく。そして、跡形もなくその黒い物体に吸収されていった。
プレイヤーも逃げている。おいおい、立ち向かえよ。
しょうがないので私がその黒の触手の前に立ちふさがった。
「あーあー、会話はできますか?」
「…………」
「できないか」
謎の飛来した物体。
黒の触手に触れたら終わりだと思っていいんだろうか。武闘大会に触れちゃダメな敵出しちゃダメだろ……。突破する方法はあるってことだろう?
知能は多分なさそうだから実力行使しかないんだろうけどな。
すると、今度また何かが降りてくる。デカい鳥だった。
鳥は咆え、NPCを襲っている。呼び寄せた……わけではなさそうだ。そして、その時、その触手が私の手を握る。
……は? なに? エロ漫画みたいな展開か!? それは嫌なんですけど!?
すると、どんどん私の体が膨れ上がっていくのが分かった。
黒の触手を吸収している……? いや、なんか違う。私の体が肥大し、四足歩行になっている。なんていうか、どんどん体がでかくなっていって隣にいたワグマが小さくなっていった。気づけはそのデカい鳥の二倍くらいデカい姿になっている。
「ぱ、パンドラ!?」
「どうなってんの?」
「喋れんの!?」
「うん、まぁ、なにこれ」
「えっと、デカい魔獣になってるっていうか……」
「へぇ」
あの黒い物体は人を魔獣にするものだったんだろうか。吸収されたのは多分NPCだからだろう。プレイヤーがあいつに対抗するために用意したんだろうか。
ったく、なんだよこれ。私が戦えってことか?
「パンドラ! やっちゃいなさい!」
「はいはい」
私は走り出す。
そして、尖った爪でその鳥の翼をひっかいた。鳥は地に落ち、私に向けてくちばしでつついてくる。いってえけど大丈夫だろう。
そして、私は思いきり前足でパンチを加える。爪が鳥に食い込み、苦しそうな声を出したのだった。
そして食い込んだ爪を取り出したいので地面に鳥をぶつけ、地面を思い切りひっかく行為をした。
「ハイ終わり」
「…………あなたそれなんなの?」
「知らん」
私にもわかりません。
エロ漫画展開になるかと思ったらならなかったしどうなってるんだろう。というか、どうやって元に戻るんだろう。3分たったら戻るとかそんな甘くないか?




