武闘大会で戦わないかい? ③
ビャクロさんが優勝決定戦の相手らしい。
「レブル。お前随分と暴れたみたいだな」
「え、えっと…」
「流石は勇者だというべきだろうか。いや、そんな無駄話はいいだろう」
ビャクロさんは拳を構える。
さっさとやろうぜという空耳が聞こえた。私も拳を構える。
「レディー、ファイ!」
☆ ★ ☆ ★
私は来賓席に移動した。
月乃の隣に座れと言われたので月乃の隣に座る。
「パンドラ。どっち勝つと思う?」
「わからん」
「そうね。どっちも化け物よね……」
今目の前で繰り出されている攻防戦。
ビャクロが仕掛けそれを防ぎカウンターを試みるも躱されての繰り返し。まさに刹那の交差ともいえるだろうか。
なに? あそこだけドラ〇ンボールの世界だろうか。
「レブルも人間離れしてると思っていたけどビャクロも相当よね」
「あいつの場合純粋な身体能力でやってるからなぁ」
運動神経がよすぎるビャクロ。楽しそうに笑って戦っている。
レフェリーは巻き込まれまいと遠くに避難していたのだった。観客も食い入るように見ているし、先ほど棄権したやつらもすげえと声をこぼしていた。
「私ときどき思うけどあんたらって相当化け物よね」
「……ビャクロはわかるけど、私も?」
「あなただって些細な嘘も見抜くし未来予知みたいなことしてるじゃない」
「……否定はしない。未来予知っていっても推測だけど」
こうなるんじゃないかと思って行動している。相手の性格などを踏まえて考えるとこうする可能性が一番高いと思い行動している。
賢かったらそれぐらいできますとも! ええ。
「あんたらスペックおかしいのよ。私なんか特徴金持ちってだけよ? 親の七光りもいいところよ? 素直に羨ましいわ」
「いや、私運動出来ないしビャクロは勉強できないし一長一短だって」
「うるさいわ化け物」
「ひっでえ」
化け物呼ばわりひどいです。
「あんたが本気で未来を当てるもんだからラプラスの悪魔なんじゃないかと思ってるわ」
「いやいや。私天使だし。慈悲の心に溢れた天使ですよ」
「天使ルシファーよね?」
「天使は天使でも堕天使じゃないっすか」
私は天使みたいな慈悲の心を持っている優しい優しい心の持ち主です。
「ほんとあんたらどうなってるの? なぜ人間やめたの?」
「ビャクロはともかく私は人間やめてないけどなぁ」
「うるさいわ悪魔」
「えぇ……」
「知略に富んだ悪魔と獰猛な獣。その二人と仲良しの人間。周囲からすごい目で見られそうだわ。今更だけれどね」
「……言い返せないのが腹立つ」
たしかに普通の女子高生はいじめられたら泣きつくだろうしな。私はいじめを糾弾し転校させるにまでしてクラスの女王として君臨してるだけなんだけど。これって普通でしょう?
でも、たしかにそういわれてみれば悪魔な気がしなくもない。え、私何時から人間やめてたの? 石仮面でもかぶったのか私。でも人間やめた記憶ないしな……。
「あなたたちが特異すぎて私がもはや普通の人なのよばーーか」
「そんなことでいちゃもんつけられても」
困ります。
そういっていると、勝負がついたらしい。
「勝者、ビャクロ選手!」
ビャクロが勝ったみたいだった。
化け物め。
「いや、人の事言えないってのあんたも」
ドラ〇もんでいうならグレードアップして未来予知擬きをできるようになった出来杉くんとグレードアップした非暴力的なジャイアンと嫌味のないスネ夫が一緒に遊んでいるみたいな




