Episode.62 退職社畜のレベリング二日目
一応の生存報告です。
しばらくは別の作品を投稿するかも……です。
拙いしがない作家としてのモチベ維持のためです。
【ログイン中】
「うい」
『ニャ』『グア』
「あい、おはようさん」
という訳で、次の日だ。
寝起きの頭だからか、未だに頭がぼーっとしている。
脳波で感覚にアクセスしているからか、完全に脳が覚醒していないとこうなるらしい。
足元にすり寄ってくるセンリの頭を撫で、ホバリングしているヤタグロの喉元を擦る。
お気に召したのか、目を細めて低いうなり声を上げる二匹。
静かだと可愛いんだがなぁ……。
小さい頃の妹もこんなんだった。よく俺の後ろについて回り、「兄に、兄に」と言ったいたのが今でも目に浮かぶ。
何がどうしてあの天使が………今のアレになってしまったのだろう。どこで、道を誤ったのか……。ま、今更感が強すぎるが。
「さて、そろそろ行くぞ」
『ニャ』『カァ』
レベリング出来る期間も、もう残り少ない。
俺は良いとして、センリとヤタグロは………どうしたものか。
現状、俺のレベルは【侍大将】の37レベル。次いで、ペット二匹が同レベルで21レベル。
俺は、既に何回も転職している上に、装備も整っているので無問題。
しかし、装備は上質とはいえ初期状態からレベルしか変わっていない二匹では、レイドバトルは少々厳しい。つーか、無理。瞬でHPが溶ける。
まー、ワンチャン状態異常にかけて特攻させてもいいが……ペット枠のモンスターって死んでおリスポーン出来るけど、プレイヤーと違って復活までのスパン時間一週間ぐらい掛かるし、レベルダウンのペナルティが重いんだよねぇ……。
俺としては、なるべく前線、以前に戦場に出したくないというのが本音だ。
幸い、ペット用の預り所とか移動用のケージとか、収納できるクリスタルとかもあるみたいなので、いざとなったらそちらを利用する予定だ。
いやしかし、今日はどこでレベリングしたものか。
草原とか山のフィールド湧きのモンスターは……NGだな。
ポップ率が日によってまばらだし、初期モンスが多いから経験値的にも美味しくない。
狙うとしたら……やっぱダンジョン系だよな。
昨日と同じく、【廃坑道】にでも行くか?
しかしなぁ……まあ、いっか。
「昨日と同じ場所に行くぞ」
『『……………』』
おっと、反応が悪い。
んま、予想通りだ。
そもそも、ダメージも何も入らないゴーレムとかの物質系のモンスターに攻撃させられて止めは俺が刺して終わり。つまらないとか暇だとか以前に、楽しくないのだろう。
言っちゃなんだが、こいつらも動物系AIの思考だ。幾ら賢かろうと野生動物の域を出ない。
「悪いが付き合ってもらうぞ。留守番は嫌だろ?」
『ニャァァ』『カカッ』
仕方ない、とばかりに鼻を鳴らし先行するセンリ。ヤタグロは翼を広げて俺の肩に留まる。
割と物分かりがいい。
あと、ヤタグロさん、重いっすソコ。
俺は嘆息しつつも、焼き串を買ってから街を出ようかと売店によるのだった。
♦ ♦ ♦ ♦ ♦
「はい、到着っと」
そんなこんなでやって来たのは昨日も来た【廃坑道】のダンジョン。
二回目だからか来るのも左程辛くはなかった。センリとヤタグロに至っては後ろで串焼きの奪い合いをしているぐらいだ。なんで、お前らは一つずつあげたのに、お互いのを奪い合うかね。
「ほれ、さっさと行くぞ」
『クァッ!?』『ニィァ!?』
見てるのも億劫なので取り合っている肉の真ん中を断つ。
すると、相当な力で引っ張っていたのだろうか、二匹ともまあまあな勢いで転ぶ。
転んでも肉を離さない辺り、ちゃっかりしているというかなんというか……。
「帰りにも買ってやるから、早く行くぞ」
そう言ってやると分かりやすく従順になるペット組。
「はぁ……まあいい」
痛むこめかみを抑えながら、坑道を進む。例のごとく、他のプレイヤーは少ない……てか、いない。
そんなこんなでダンジョンへ一日ぶりにやってきた訳だが、今日はしっかりと目標を決めてある。
レベリングは勿論だが、狙いたいモンスターがいるのだ。
その名も、『プラチナムゴーレム』。
出現率はシルバーゴーレムの百分の一ほど……らしい。
所謂、レアモンスターとかレベル上げようモンスなどと呼ばれるモンスターだ。
出現率はバカほど低いがEXPは異常に高いとかいう。
今日はゴールデンゴーレムとプラチナムゴーレムを目標として狩りを行おうと思っている。方法は昨日と同じく、ペット組に一撃入れさせて俺が仕留める方式。
さてさて、レイドバトルの日も近い、早々に行わなければならない。
俺は光り輝く白金のゴーレムを探しながらダンジョンへと行くのだった。




