Episode.49 退職社畜の第三試練終了
すいません。サイトがロックされていたみたいで。
理由はお察しです。著作権やら、なんとやらです。
今後はそういったことがないようにしていきますので、読んで頂けるとありがたいです。
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「妖怪大決戦って感じやな」
今度のエリアは、だだっ広い、戦場。
関ケ原とか、こんな感じなのかもしれない。
そんでもって、そこにこれでもかというほど、詰め込まれたモンスター。
monster.そうモンスターだ。
でも、少し違うかもしれない。
どっちかというと、妖怪?よーかいだ。
河童にろくろ首に垢舐めにぬりかべ。デフォルトされていない、えげつない見た目のモンスター。百鬼夜行って実際にあったことなのかも。
もしかしなくても…これ、全部俺が相手すんの?
めんどー。しんどー。やりたくなーい。とでも、言いたいところ。
だがしかし!だが、しかし、だ。
一応、試練だし、やらなければならない。
てかさ、もうよくない?
試練三度目だよ?長い!なーがーいーよー!
俺のやっていたゲームは、三度目に最終試練だったよ?
ゲーム内の登場人物だとはいってもさ。現代に対応してかなきゃ。
飽きさせてどうすんのよ。プレイヤーを。
まあでも、あの運営だから…。うん納得。
はあ……皆様、お気づきでしょうが、私。このバツめ疲れております。
二度の激戦。二度目の試練で、あんなことをしてしまったのも仕方が無いこと。
心が荒んでいるのですよ。
ああ、もう!うぜー。カミヤうぜー。まじ、うぜー。
ぶっ殺しゅ。殺しゅ。殺しゅ。
ひとまず、とりあえず、目の前の無量にいる妖怪をやっちまおう。
そろそろ、綺麗なやり方にも飽きていたことだし、全力でいこう。
本気ではなくて、全力だ。
「…」
無言。隠密には、それが一番良い。
足音も、沈ませるようにして、小さな衝撃だけ残す。
姿勢を前傾に。腕を腰へ。手を柄に。掬い上げるよう…、
…抜刀。
濡れた感触と共に、ぬりかべを一刀両断する。スキルは使わない。声が出るから。
数メートルある、壁が真ん中から断たれる。斬る方向は調整した。
滑り落ちた壁上部が、他の妖怪を押しつぶす。
絶え間なく動く。動くことがストレスの発散へと繋がる。そう信じて。
ろくろ首の伸びた首を切り離し、垢舐めの舌を掴み、振り回し、引き抜く。もちろん、他の妖怪を巻き添えにして。
猫又を串刺しにして、二口女の口を同時に貫いて、土蜘蛛を押し潰して、提灯を踏み躙る。百鬼夜行の一員かと思われるぐらい暴れる。ここには、生憎、顔見知りも人もいない。存分に行こうではないか。
知らない妖怪がいた方は、調べて来るといい。
画像が出てくるはずさ。古い奴。
むむっと。動きが変わる。クダンだとかいう妖怪だ。
牛の体に人の顔。未来が読めるらしい。そいつが指示を出している。
あの妖怪は、未来予知した後は死ぬと聞いていたが…まあ、本当のことはいざ知れず。
後は、犬神や天狗が出て来た。強そう。
…ああ。あくまでも強そうだった。
犬神派は目を貫き、脳漿をぶち撒け、サブウェポンの短剣を天狗の顔面に投擲。
あっけなく、死んだ。見た目だけかいな。張り合いの無い。
数分間。ハリボテの実力の妖怪と連戦した。
見た目は良い。恐怖をそそる様なデザイン。体はヌメリ、凹凸が大きく、凄みがあり、何より、デザインが、禍々しい。
子供に見せたら、神速で泣く。約束する。
また、時は飛んで、数分後。手ごたえのありそうな奴が出てくる。
八岐大蛇だ。ヤマタノオロチ。
カッコイイ。名前がカッコイイ。見た目もカッコイイ。以上。
首が八つ?尻尾も八つ?あるのかなあ?数えるのすら億劫。
カッコイイけど、俺、爬虫類あんま好きじゃないんだよね。
嫌いでもないが、それが八つも揃うとおぞましい。
さくっと、いっちゃいましょうか。
「両断、十字斬り」
食いついてきた首を、横薙ぎに攻撃。
食い込む。十字に攻撃。半ばから裂ける。
残った首が叫び声を上げる。五月蝿い。
接近。
「空破斬」
振りかぶった、刀から斬撃を飛ばし、着弾と同時に斬りつける。
二重の斬撃を受けて、また一つ首がサヨナラ。
残り六つ。あと、六回遊べるドン!
この手のモンスターは回復というか再生能力がつきものだが、こいつには無いみたい。
断面がモザイク掛かってる。
残った首はどうやって潰そうか。
シンプルに行こう。
例えば、抜刀とかね。
下から上に斬り抜く。顎下から楯に割れる。
キモイ。エグイ。ヤバい。三拍子そろう。とんとん拍子だね。
立体機動スキルを利用して、首を三角跳び。
蛇頭の頭上から、頭蓋を刺し貫く。
揺れるが、暴れる前に離脱。痙攣して、その首は死ぬ。
残りは…えーーっと。…四か。
「岩穿ち」
一つ、潰す。風穴が空いている。
「―――Kiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!」
耳鳴りのする声で鳴く、ヤマタノオロチ。
残った首を俺に向けて開く。
その奥に、赤い光が見えたところで、…―――やばくね―――?
と思い、新スキルの発動。
「紺碧竜楯」
刹那、目前に俺に覆うようにして碧色の竜が出現。
和竜は、渦巻いて俺を守る。
それを認識した途端に、周囲は熱に包まれた。
ヤマタノオロチが火を噴いたのだ。
HPか首の減少による特殊行動といったところか。
それなりの熱量があっただろうが、きちんと紺碧竜楯スキルは俺をガードしてくれた。
その間に、改造刀を用意。散弾を装填。
火吹きが終わる。スキル効果も切れる。
同時に発射。一つ首が、弾け飛ぶ。
衝撃で、体が横たわる。
クールタイム明けた両断発動。餓狼刀を上段から振り下ろす。
残り一つ。
諦めたのか、動かないヤマタノオロチ。面白くない。
最後まで抵抗して欲しいものだ。
逆手に持ち替え、地面に突き刺した。地面という名のヤマタノオロチに。
と、そこで、俺に声が。
「お前か。■■■よ」
振り返る。
角の生えた、屈強な男。しかし、体つきは、細見で引き締まっている。
イケメン。刀を佩いている。
こいつが、剣聖の「心友」とやらか。
「俺を止めに来たのか?なら、無駄だ。帰れ。お前に俺は止められない。止めさせない。止めたいのならば、殺すことだ。お前にそんなことが出来るのならば」
そう言って、刀を抜いた。
バトルスタート。
まず、鎧通しを抜きます。餓狼刀は仕舞います。
で、肩に沿うように置き、柄を掌の窪みに嵌める。
昔の戦争で見るような槍投げの姿勢。
投げる。思いっきり。
放物線を描くことも無く、真っ直ぐに飛んで、真正面からぶっ刺さる。頭に。
見事、ヘッドショット。ねえ、今どんな気持ち!?
感動の決闘シーンなのだろうが、俺にはまったくもって関係ない。
試練クリアかな?
体が透けた。
どうやら…そうらしい。




