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退職社畜の抜刀記  作者: 陸神
第五章・続 剣聖試練【記憶回廊編】
51/64

Episode.49 退職社畜の第三試練終了

すいません。サイトがロックされていたみたいで。

理由はお察しです。著作権やら、なんとやらです。

今後はそういったことがないようにしていきますので、読んで頂けるとありがたいです。

【ログイン中】


「妖怪大決戦って感じやな」



 今度のエリアは、だだっ広い、戦場。

 関ケ原とか、こんな感じなのかもしれない。

 そんでもって、そこにこれでもかというほど、詰め込まれたモンスター。

 monster.そうモンスターだ。

 でも、少し違うかもしれない。

 どっちかというと、妖怪?よーかいだ。

 河童にろくろ首に垢舐めにぬりかべ。デフォルトされていない、えげつない見た目のモンスター。百鬼夜行って実際にあったことなのかも。

 もしかしなくても…これ、全部俺が相手すんの?

 めんどー。しんどー。やりたくなーい。とでも、言いたいところ。

 だがしかし!だが、しかし、だ。

 一応、試練だし、やらなければならない。

 てかさ、もうよくない?

 試練三度目だよ?長い!なーがーいーよー!

 俺のやっていたゲームは、三度目に最終試練だったよ?

 ゲーム内の登場人物だとはいってもさ。現代に対応してかなきゃ。

 飽きさせてどうすんのよ。プレイヤーを。

 まあでも、あの運営だから…。うん納得。

 はあ……皆様、お気づきでしょうが、私。このバツめ疲れております。

 二度の激戦。二度目の試練で、あんなことをしてしまったのも仕方が無いこと。

 心が荒んでいるのですよ。

 ああ、もう!うぜー。カミヤうぜー。まじ、うぜー。

 ぶっ殺しゅ。殺しゅ。殺しゅ。

 ひとまず、とりあえず、目の前の無量にいる妖怪をやっちまおう。

 そろそろ、綺麗なやり方にも飽きていたことだし、()()でいこう。

 本気ではなくて、全力だ。


「…」


 無言。隠密には、それが一番良い。

 足音も、沈ませるようにして、小さな衝撃だけ残す。

 姿勢を前傾に。腕を腰へ。手を柄に。掬い上げるよう…、

 …抜刀。

 濡れた感触と共に、ぬりかべを一刀両断する。スキルは使わない。声が出るから。

 数メートルある、壁が真ん中から断たれる。斬る方向は調整した。

 滑り落ちた壁上部が、他の妖怪を押しつぶす。

 絶え間なく動く。動くことがストレスの発散へと繋がる。そう信じて。

 ろくろ首の伸びた首を切り離し、垢舐めの舌を掴み、振り回し、引き抜く。もちろん、他の妖怪を巻き添えにして。

 猫又を串刺しにして、二口女の口を同時に貫いて、土蜘蛛を押し潰して、提灯を踏み躙る。百鬼夜行の一員かと思われるぐらい暴れる。ここには、生憎、顔見知りも人もいない。存分に行こうではないか。

 知らない妖怪がいた方は、調べて来るといい。

 画像が出てくるはずさ。古い奴。

 むむっと。動きが変わる。クダンだとかいう妖怪だ。

 牛の体に人の顔。未来が読めるらしい。そいつが指示を出している。

 あの妖怪は、未来予知した後は死ぬと聞いていたが…まあ、本当のことはいざ知れず。

 後は、犬神や天狗が出て来た。強そう。

 …ああ。あくまでも強そうだった。

 犬神派は目を貫き、脳漿をぶち撒け、サブウェポンの短剣を天狗の顔面に投擲。

 あっけなく、死んだ。見た目だけかいな。張り合いの無い。

 数分間。ハリボテの実力の妖怪と連戦した。

 見た目は良い。恐怖をそそる様なデザイン。体はヌメリ、凹凸が大きく、凄みがあり、何より、デザインが、禍々しい。

 子供に見せたら、神速で泣く。約束する。

 また、時は飛んで、数分後。手ごたえのありそうな奴が出てくる。

 八岐大蛇だ。ヤマタノオロチ。

 カッコイイ。名前がカッコイイ。見た目もカッコイイ。以上。

 首が八つ?尻尾も八つ?あるのかなあ?数えるのすら億劫。

 カッコイイけど、俺、爬虫類あんま好きじゃないんだよね。

 嫌いでもないが、それが八つも揃うとおぞましい。

 さくっと、いっちゃいましょうか。


「両断、十字斬り」


 食いついてきた首を、横薙ぎに攻撃。

 食い込む。十字に攻撃。半ばから裂ける。

 残った首が叫び声を上げる。五月蝿い。

 接近。


「空破斬」


 振りかぶった、刀から斬撃を飛ばし、着弾と同時に斬りつける。

 二重の斬撃を受けて、また一つ首がサヨナラ。

 残り六つ。あと、六回遊べるドン!

 この手のモンスターは回復というか再生能力がつきものだが、こいつには無いみたい。

 断面がモザイク掛かってる。

 残った首はどうやって潰そうか。

 シンプルに行こう。

 例えば、抜刀とかね。

 下から上に斬り抜く。顎下から楯に割れる。

 キモイ。エグイ。ヤバい。三拍子そろう。とんとん拍子だね。

 立体機動スキルを利用して、首を三角跳び。

 蛇頭の頭上から、頭蓋を刺し貫く。

 揺れるが、暴れる前に離脱。痙攣して、その首は死ぬ。

 残りは…えーーっと。…四か。


「岩穿ち」


 一つ、潰す。風穴が空いている。


「―――Kiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!」


 耳鳴りのする声で鳴く、ヤマタノオロチ。

 残った首を俺に向けて開く。

 その奥に、赤い光が見えたところで、…―――やばくね―――?

 と思い、新スキルの発動。


「紺碧竜楯」


 刹那、目前に俺に覆うようにして碧色の竜が出現。

 和竜は、渦巻いて俺を守る。

 それを認識した途端に、周囲は熱に包まれた。

 ヤマタノオロチが火を噴いたのだ。

 HPか首の減少による特殊行動といったところか。

 それなりの熱量があっただろうが、きちんと紺碧竜楯スキルは俺をガードしてくれた。

 その間に、改造刀を用意。散弾を装填。

 火吹きが終わる。スキル効果も切れる。

 同時に発射。一つ首が、弾け飛ぶ。

 衝撃で、体が横たわる。

 クールタイム明けた両断発動。餓狼刀を上段から振り下ろす。

 残り一つ。

 諦めたのか、動かないヤマタノオロチ。面白くない。

 最後まで抵抗して欲しいものだ。

 逆手に持ち替え、地面に突き刺した。地面という名のヤマタノオロチに。

 と、そこで、俺に声が。


「お前か。■■■よ」


 振り返る。

 角の生えた、屈強な男。しかし、体つきは、細見で引き締まっている。

 イケメン。刀を佩いている。

 こいつが、剣聖の「心友」とやらか。


「俺を止めに来たのか?なら、無駄だ。帰れ。お前に俺は止められない。止めさせない。止めたいのならば、殺すことだ。お前にそんなことが出来るのならば」


 そう言って、刀を抜いた。

 バトルスタート。

 まず、鎧通しを抜きます。餓狼刀は仕舞います。

 で、肩に沿うように置き、柄を掌の窪みに嵌める。

 昔の戦争で見るような槍投げの姿勢。

 投げる。思いっきり。

 放物線を描くことも無く、真っ直ぐに飛んで、真正面からぶっ刺さる。頭に。

 見事、ヘッドショット。ねえ、今どんな気持ち!?

 感動の決闘シーンなのだろうが、俺にはまったくもって関係ない。

 試練クリアかな?

 体が透けた。

 どうやら…そうらしい。

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