表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
退職社畜の抜刀記  作者: 陸神
第三章 【トライアングル・ガード】
26/64

Episode.25 退職社畜のイベント開始

やっとイベントに入れました!

お楽しみに!

【ログイン中】


「Guoooooooo!」


 迫る、ゴリラ型のモンスターの拳。

 身体の局所を機械部品で覆っており、腕力は数倍になっていると思われる。

 目がモノアイになっていて、赤く光っている。

 俺は新しく、手に入れた武器を両手に、拳に添わせるように受け流す。

 受け流した軌道上にゴリラの首。

 首を刎ねるかと思われた一撃は、ゴリラのもう片方の手に止められる。握られたために、刀はゴリラの頭に向けられている。


「Ooooooo!」


 使用しているのは通常の刀より、数倍厚く角ばっている改造刀。

 先端はゴリラの頭を向いている。

 手を伸ばして峰に突き出ているグリップの引き金を引く。

 ズドン!

 轟音を立てて、ゴリラの顔面が吹き飛ぶ。

 ドロップと経験値の上昇をウィンドウで確認する。


「ははは!こりゃあ素晴らしい性能だね!アタシ達ってばいい仕事したもんだ!」

「…お兄ちゃんって……戦いづらい相手になるなぁ…」


 豪快に笑うエイラと、引き気味に言うお団子ちゃん。

 エイラに武器のアイデアを言ってから六日目に呼び出されて、取りに行った。

 そしたら俺の空想通りどころか、改造されて渡された。

 性能は最高に、使い心地も良好。

 俺が持ってる餓狼刀や鎧通しを元にデータを取って、作り上げたらしい。

 欠点らしい欠点は、懐かしの太刀で、剣帯を使うから取り回しが効かないのと、重量が少し重いぐらい。


「本当に料金は良いのか?」

「大丈夫さ。今のとこコスパは悪いが、それはやりようが幾らでもある。バツ、お前は今後の需要と購入欲を煽る為の広告塔でもあるんだ。気にしなくていい!」

「そっか」


 費用予算を見た時は卒倒しかけたが、ローンでなら、と思ったわけなんだがな。

 俺を尻目に男勝りにエイラは笑う。

 いつも基本的に笑っているが、製作作業中は鬼神の様な面立ちだった。

 目で追えないスピードで組み上げられては、解体されては再構築される光景は圧巻の一言に尽きた。


「む…。そろそろ、か」

「うむ。では、頼むぞバツ。アタシ達はアタシ達で情報を撒いといたし、充分以上に目立ってきてくれ」

「分かってる。プロの一人や二人ぐらいボコボコにしてきてやるよ」

「頼もしくて結構。ではな!」


 高笑いを上げて、去ってくエイラを見送る。

 そろそろ、というのはこれから起きる事を言っている。

 俺が製作依頼を出してから、六日。

 その日の朝に俺はある記事を読んでいた。

 記事の内容は、LFOでのイベント。

 イベントだ!

 この準備期間中にレベルも上がって、スキルも手に入れて、装備も整えた。

 イベント開始は今から十分後…ちょうど、午後の一時からから始まる。

 体も温まったし、早く始まらないかなあ。


「マリモちゃんのゲーマーチームはどうするんだ?イベントに参加?」


 お団子ちゃんに直で「お団子ちゃん」と呼ぶと怒るから、俺から喋るときは「マリモちゃん」と呼んでいる。


「私はこれからチームのミーティングあるから落ちるね」

「じゃあな」

「じゃあねー」


 プロだし、大変なんだろうな。

 お気楽なお団子ちゃんでもミーティングには参加するってさ。

 どんなチームなのか一度見てみたいものだ。


「ふう、俺は俺で頑張らなければな」


 今一度、装備を確認。

 腰に差した三本の刀。

 基本装備は変わっていないが、ゴリラ型モンスターを倒した改造刀と、防具を二つ取り入れた。


 ―――――

 装備


 頭部:耐火の編み笠

 右手:餓狼の打刀 左手:逆風の鎧通し

 両腕:質素の籠手 

 胴部:鉄の鎖帷子

 両脚:質素の袴

 両足:質素な空下駄

 装飾:戦狼の牙、―――、―――

 ―――――


 装備スキルも設定されていない防具だが、耐熱耐性や斬撃、打撃、刺突、各種耐性など、優秀な防具を見繕った。

 数日前から被っている編み笠も、この見た目にマッチしていて風情がある。

 鎖帷子は袴の下に着ている。これは矢なども防げて便利。

 前から着けている装備の[戦狼の牙]はクリティカル率を僅かに上昇させるが、地味過ぎて最近まで忘れていた。

 モンスターも狩りまくり、レベルも上がった。

 ステータスポイントも振って、地力を底上げ。

 スキルも武士版の汎用スキルや【侍大将】専用スキルを習得。

 それがこちら…。


 ♦十字斬り

 十字型の斬撃を放つ。クールタイムは3分

 ♦武士団の命令

 使用者が味方と認識している対象に使用者の戦略的思考を共有する。クールタイムは30分


 スキルの説明を見返して、頭に滲ませる。

 イベントの概要も思い出す。

【トライアングル・ガード】。総プレイヤーをレベル別に平均的に三組に分けて、与えられる城のエリアを防衛する。

 それぞれ、ランダムで城のエリア…【山城砦】か【西洋城】か【和城】の所属となり、広大な特別エリアで、その三つの城を落城させあう。

 うん。バッチリ。


『ピンポンパンポーン!Legend・Fantasy・On-line公式イベント【トライアングル・ガード】に参加するプレイヤーは一分後にイベントエリアに転送されます。用意して下さい』


 せっかくのイベントだ。

 十全に挑んで楽しもうではないか。

 俺は体が光に包まれるのを感じて、目を閉じた。

♦名称:十字斬り/種類:アクティブ/クールタイム:3m/取得条件:スキル『両断』の一定回数の使用/効果:十字型の斬撃を放つ/攻撃範囲:装備している武器の刃渡り分

♦名称:武士団の命令/種類:アクティブ/クールタイム:30m/取得条件:【侍大将】LV10になる/効果:使用者が味方と認識している対象に使用者の戦略的思考を共有する


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ