Episode.22 退職社畜のこれからの方針
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「え?マジで?俺が」
「そう、お兄ちゃんが」
俺がプロゲーマーのクランに?
有り得ねえ。
…もしや、新手の詐欺なのでは?
「残念だが詐欺でもなんでもないぞ。相棒」
「そうです。このマリモは実際にプロゲーマーとして収入を得ていますし、チームに所属もしております」
「そのとーり!私はちゃんとプロなのだよ!わっはっはっはっはー!」
眼前の腰に手を当てて高笑いしているお団子ちゃんを見ると…うーん。イマイチ信じられん。
「で、なんで俺にー。他にも上手いプレイヤーはいるだろうに」
「それはちょーーーっと微妙なんだよねー」
なんでだ?
絶対に俺より、プレイヤースキルがある奴は探せばいる。
「確かに、お兄ちゃんより上手いプレイヤーはいると思うよ。でも、称号持ちとなると話は別になるんだよ!」
「…」
信用できるお二方の証言があるし、静聴するとしよう。
「称号を持ったプレイヤーを最初にプロチームに引き込んだのは、私が所属しているところじゃないチーム。最初はプロの人達もちっと上手いプレイヤーを引き込んだ馬鹿なチームがあると思ってたんだよ。でもさ、そのあと称号持ちのプレイヤーを他のゲームに連れて行って磨かせたら、それがまあ見事に大成してさ。それ以降、そのチームは同じことを繰り返して毎度成功。それを見て聞いて知った他もマネっ子。どこも成功しているからうちのチームも真似しようと思ってね。方針で、出来るだけ引き込むようにしてるんだよ。念のためっていうか、毎回審査的なのはしてるんだけどね」
長文を整理。
最初にお団子ちゃんが所属しているチーム以外のプロが称号持ちを引き込み。
他のゲームで技術を磨かせたら大成。
何度もその手法で成功しているから、称号持ちの有用性が証明。
他のチーム真似し始める。
お団子ちゃんのチームも真似。
最後に俺が抜擢!
てな感じ。
「で、どんな感じよ?プロだぜー。稼げるぞー。今の時代はVRが登場してから企業からのスポンサーもバンバン出て来てなー。大会も意外とあるんよ」
「ほんとー?」
「ほんとほんと。耳貸して」
「あいよ」
「(ごにょごにょごにょ)」
「……嘘でしょ。そんな貰えるのか」
迷うところではある。
現在俺は無職。
収入無し。
貯金はまあまあ。社畜時代は社内での生活がほとんどで、食事も栄養剤とかが中心。水道代や電気代ガス代は僅かにしか払わなかったし、娯楽は以ての外。
それなりに残っている。
だが、それもいつまで持つか分からない。
それなら、プロゲーマーへの道ってのも…、
「俺は遠慮するよ」
「え」
「んだよ。そんなに俺がチーム入るとでも思ってたのかよ」
「ま、まあ。だってお兄ちゃん、好感触だったじゃん」
「そりゃ、あんだけの額を稼げると知ったらな」
「じゃあ余計になんで?」
「オレ様も気になるな」
「私もです」
三人して、俺に詰め寄って来る。
言われてみれば、俺もそんな奴がいれば気になる。
「俺はもう指図は受けないと決めたからな」
「理由…それだけ?」
「それだけ、だ。俺は俺がやりたいことをやるし、言われて『じゃあ、やる』じゃ大人として格好がつかんだろ?」
お団子ちゃんは、しばし悩む動作を見せてから、口を開く。
「…お兄ちゃんは私より、ずっと大人だね」
「そんなことないさ。俺はお団子ちゃんより、ほんの少し経験があるだけさ」
あ。
「お団子ちゃんってなんだよーっ!私のことを馬鹿にしてるのかーっ!?」
「なんだか締まりませんねえ…」
「まったくだ」
とまあ、こんな感じで断った訳だが、俺にはお団子ちゃんに頼みたいことがあるんだよ。
「私と決闘したい?」
「そうそう」
「良いけど、私の方がステータス高いし試合にならないかもしれないよ?」
「ダイジョブダイジョブ。せっかくだからプロと勝負もしてみたいじゃん」
「そゆことなら…いっか」
と、そんなこんなでお団子ちゃんと試合することが決まって…十分後。
俺とお団子ちゃんは、<リィーブラァー>のマイホーム地下一階、地下闘技場にて向き合っている。
ここにはルナレナが案内してくれた。
闘技場は廃墟と化したビル街。
ホログラムが蠢いて、この形状になった時は夢を見ているのかと思った。
ライダー曰く、決闘の触媒施設だとか。
『えー、マイクテス中マイクテス中。配線状態良好!カメラ鮮度良好!これより、バツvsマリモ の親善試合を始めます。両者準備は?』
「OK」
「大丈夫でーす!」
武器も防具も変わり無し。
俺も気分は上々。滅多に無い機会にパリピ(?)な感じだ。
『決闘のルール確認します。ルールは消費系アイテムの使用制限、回復アイテムの回数使用制限の“リミットアイテム”。回復アイテムは追加でインベントリに送られます。一律で100のHP回復で五回までで、決闘が終われば消滅します。武器の変更は出来ますが、防具の変更は出来ません。お忘れなきよう』
紙装甲になってきている俺が回復アイテムを使う機会があるのだろうか?
…自分で選んだはずなのに悲しくなってきたよ。
『カウント終了後、ランダムでエリア内にリスポーンされます。カウントを開始します』
深呼吸して、早打つ鼓動を落ち着かせる。
「さあ、プロ。胸を借りさせてもらうよ」
「うむうむ。胸を貸そうじゃないか後輩君」
『―――…バトルスタート』
次は、マリモちゃんとの決闘になります!
やはり、バツはプロになりませんでした。というか、私は何話後にイベントを入れれば良いのでしょうか…?
書きたい風に書いていると、書き切りたい病に罹ってしまうのです…。
決闘も書きたいし、イベントも書きたい!悩みますね…。
それはそうとて皆様のお陰で、冗談のようにポイントが上昇していてヤバイと感じました。
物凄く嬉しかったです。(無言の圧力
やってくれれば、執筆の活力になります。




