第11話
「おーいそこの優男……その木材をあっちの兄ちゃんのとこに持って行ってくれ」
「わかりました」
俺は言われた木材を持ち指示された場所に向かった。
かなり重そうな木材なのだが簡単に運べる。
この孟獲の体はかなり鍛えられている。
以前の自分の体だったら無理だろうなと思う。
「兄者体は大丈夫か?」
孟優は心配そうに俺に声をかけ俺が持っている木材を受け取る。
「大丈夫だ。それよりすまないな。 俺がお金を盗まれたせいで……」
「盗んだやつが悪いんであって兄者が悪いわけじゃない。 華陀も言っていただろう気にするなて。 だから兄者は気にするな」
孟優の言葉に涙が出てきそうだ。
華陀も孟優もイイ人すぎる。
ちなみに華陀は友人である張松と言う文官の家に1部屋を借りて診療所を開いて働いている。
成都はどうやら医師が不足しているみたいで名医と言われている華陀が開いた診療所は大変賑わっている。
俺たち兄弟も張松の紹介でこの現場で働かせてもらっている。
なんでも新しく君主になった劉璋の命令で城を増築するのにちょうど人で不足だったみたいだ。
しかしこの時代の中国の城て変わっているな~
城の中に街があるんだもんな。
日本の城と街は別だもんな。
カーン、カーン
「おっ昼飯の鐘の音だ。 兄者早く飯を取りに行こう」
「ああ」
俺と孟優は食事を配っている場所に急いで向かう途中で高級な服を着た少しぽっちゃりした感じがいい30代ぐらいの男と2人の鎧を来た兵士が何か話している。
つい俺はその若い男に視線を送ると目が合ってしまった。
若い男は兵士と2、3言葉を交わし俺の方に歩いてきた。
「そこの男、少し聞きたいのだが現場監督の法正を見なかったか?」
たしか外壁の近くで張松さんと話していたのを30分前ぐらいに見たな
「法正様なら外壁のあたりで張松様とお話をしておりましたが」
「そうか……では案内してくれるかの」
え!? 俺達は今から昼飯なんですけど
でもこの人偉い人だよな……
断れないよな。
「わかりました。 孟優は食事に行ってこい。 案内は俺がするから」
「兄者、俺が案内をするよ兄者こそ昼飯に行ってきてくれよ」
俺と孟優がお互い昼飯に行くのを譲り合っていると
「案内のあと余の権限でちゃんと2人には食事を取らせるから心配するな」
どうやら俺たち2人で案内をしないといけないようだ。
男は兵士たちに
「この者たちに案内させるからソナタたちは持ち場に戻れ」
「わかりました。 おいお前たち劉璋様をちゃんと案内するんだぞ」
……え! 今なんて言ったこの兵士?
劉璋て言ったよな?
劉璋……現在の蜀の君主で俺が知っている歴史では後日蜀を劉備に乗っ取られるかわいそうな人だ。




