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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第八章

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魔力知覚

 イズミの作業はそこから数十分続き、それを終えた後にイズミはデータを確認し、結論を出した。


「うん……まず、霊具を扱える水準にあることは間違いなさそう。使用できる等級については……特級を扱えるかは不明だけど、一級を扱うのはいけそうだね」

「そうか……」


 ユキトは作業が終わって以降、椅子に座るエリカを見る。当の彼女は霊具の等級についてはわからないため、どういうことなのか聞きたそうな雰囲気。


「俺達が使う霊具には等級があって、神級、天級、特級、一級、二級、三級、という順番になっている」

「一級というのは四番目ってこと?」

「そうだ。俺達が召喚された異世界で使われていた基準なんだけど……異世界では、特級以上の霊具を使える人はかなり少なかった。一級までなら、使い手は多かったんだけど」


 ここでユキトはイズミを見る。


「特級以上を扱えるかは、実際に検証しないといけないか?」

「そうだね、ある程度結論を出すには、霊具を使った場合の検証が必要かもしれないけど……まずは霊具を扱うことに慣れてから、かな。けどその前にもう一つ重要なこと……魔力を扱う術を学んでから、だね」

「魔力、か」


 エリカが呟く。そこで彼女はユキトやイズミを見据え、


「具体的にどういうことをするの?」

「まずは何より魔力を知覚するところから。ただ一から訓練をして魔力を知覚できるようにする……というのは、時間が掛かるし何より成功するかもわからない。だからまあ、こっちから魔法でエリカに干渉して、知覚できるようにするといった感じかな」


 そこまで言うと、イズミは笑みを浮かべ、


「あ、もちろん安全性は考慮してあるから安心して」

「うん……私は何をすれば?」

「さっきと同じように魔法陣の中央に立って」


 指示を受け、エリカは椅子から立ち上がり魔法陣へ。ユキトはその光景を見つつ、イズミへ一つ確認する。


「安全性は問題ないと言ったけど……魔法を使って促す、というのは異世界で見たことがないな」

「あっちの世界では魔法が体系化されていたし、簡単な魔法を扱うくらいなら親からだって教わることもできる。だからこういう作業は必要なかったのかもね」


 そう言った後、イズミは解説をさらに加える。


「この技法は、私がツカサと魔法に関することを学んでいた時に文献から発見した。使われていなかったのは、魔法を扱う人間が近くにいると、必然的にその影響を受けて魔法が扱えるようになるから……とはいっても、幼少の頃から影響を受けていないと駄目だから、この方法はこの世界で採用できない」

「だから魔法を使って、魔力を知覚させるというわけか……技法そのものが廃れたのは必要性がなかったからだろうけど、じゃあ何で異世界でそうした技法が考案されたんだ?」


「文献そのものが古かったから、私達が召喚されるよりずっと昔……まだ魔法の体系化が未成熟な時のものだったみたいだから、あの世界でも昔は魔法を扱えない人間が多くいたのかもしれないね」

「なるほど、な……で、それをこの世界で使おうと」

「設備も整っているから安全性を含めアレンジしてあるけどね」


 イズミはそこまで言うと、エリカへ向け手をかざした。


「エリカ、目をつむって意識を私がいる方向へ向けて欲しい」

「……わかった」


 彼女は目を閉じる。次いでイズミが手先から魔力を発した。

 ユキトの目から見てそれは魔法、というよりは魔力をエリカへ向け流しているだけのようにも見えた。


 ただ、その魔力がほんの少しずつ増えていく――ユキトはエリカを見る。彼女が立つ周辺に、イズミが放った魔力が滞留する。


「エリカ、目を閉じた状態で私の質問に答えて」

「うん」

「今、私は魔法を使っているのだけれど、何か感じるものはある?」

「……ううん、ない」


 首を左右に振りながらエリカは答える。そこでイズミは、


「わかった、現在、魔力の濃度を上げている。何か違和感があったなら、私に言って。あ、目は閉じたまま、私が立っている場所に意識を向け続けてね」


 エリカは頷く。ユキトはそうした光景を黙って見続けるが――次第に彼女を取り巻く魔力が濃さを増していく。


(俺達から見れば、相当な魔力量だけど……この濃さによって、魔力が知覚できるようになるってことか?)


 ユキトは疑問を抱きつつ事の推移を見守る。そこから数分経過したが、エリカは何も発しないし、イズミは相変わらず魔力を流している。

 魔法陣が彼女の魔力を留める効果があるのか、さらにエリカを取り巻く魔力が濃くなる。この状況は果たしてどこまで続くのか――もし時間が掛かるのであれば、作業を一度中止して休憩をした方がいいのではないか。そんな風にユキトが考えた時、


「……あ」


 小さくエリカが声を発した。ユキトは彼女を見るが、そこから先は何も言わない。


(……違和感が小さくて、気のせいだと思ったのか?)


 ユキトは胸中で推測しつつ、彼女を注視した時――エリカは今度こそ、イズミへ向け声を発した。


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