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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第八章

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拠点の意義

 ソラナの魔物作成は成功し、今後はより本格的な訓練が行えるよう、魔力樹周辺に施設を作成できないか――そういう検証をスタートすることに。

「ただ……ソラナだけにこの仕事を背負わせるのはまずいだろう。さすがに負担が多すぎる」


 山を離れ、組織の建物へと戻ってきたユキトは、ソラナへそう告げた――場所は施設内の休憩スペース。自販機で飲み物を買い、それを飲みながら今回作戦を行ったメンバー達で話し合っていた。


「魔物の作成自体はソラナにしかできないか?」

「……魔法陣に術式を仕込んでおくやり方なら、たぶん他の人でも対応はできると思う」


 ソラナの言及にユキトは考え込む。


「仕込みか。けどそれ、事故が起きる可能性があるよな?」

「そこは上手いことを安全を確保する必要がある……複雑な術式になるけど、色々と対策の魔法を魔法陣に仕込めばどうにか……」

「……術式が長くなりそうだな」

「うん、さすがに私だけじゃ無理かな……それと、ちゃんとした空間だって確保しないといけないし」

「もし施設を作成するにしても時間が掛かるな……カイや邪竜を捜索することをおざなりにして、それをやるのかという話にもなる」


 ユキトの言葉にイズミやスイハは重い表情を見せる。


「さすがにこの場ですぐに決めるというわけにはいかないが……イズミやスイハはどう思う?」

「――少し、考えていたんだけど」


 そう口を開いたのは、イズミ。


「色々な要素を考えると、魔力樹近くに何かしら施設を作成しておくのは、やっておくべきだと思う」

「魔力樹研究のため?」

「それもあるけど、もう一つ……リソースの確保に、いるんじゃないかと」

「確かに魔力樹が近くにあれば、今以上に色々な検証ができるけど……」

「それに」


 と、スイハはユキトと視線を重ねながら続ける。


「もしもの場合に備えて、人の目が届かない場所に拠点を作っておくことは重要じゃないかと思う」

「……この組織では不満ってことか?」

「この組織の建物でも十分かもしれないけど、カイや邪竜がどう動くかわからない……備えは、やっておいた方がいいと思う」


 ――ユキトはイズミの真剣な目を見て考える。


(彼女自身、何が起こるかという具体的なことは言えない……けど、カイや邪竜が相手ならば想定外のことが起こる可能性が高い。それに際し、リソースが豊富で俺達が自由に動くことができる拠点があれば、対抗できるかもしれない……と)


「あと、カイを出し抜くためにもカイに悟られないような拠点がいるんじゃないかな」

「……そうした意味合いでは、少し懐疑的だ。魔力樹は経緯はどうあれ邪竜の手で生み出した産物だ。何らかの方法で遠方から様子を探ることだって、可能かもしれない」

「カイに見つからない拠点、ということなら魔力樹とは関係がない場所に用意しておく必要があるってこと?」

「そうだ……イズミの言うようにもしものことを考慮に入れるのであれば、魔力樹近くだけでなく、現状、カイが絶対に知り得ない場所に別の拠点を作成する、までしないといけないだろうな」


 ――そこまでやる必要があるのか、そしてそうまでして時間を投じて作業をするべきなのか。


「なおかつ、そうした拠点について政府に説明が必要だろうな……いや、カイや邪竜に悟られないようにするためには、たぶん政府にも言うべきではないかもしれないが、そういった施設があると露見した場合のダメージが大きい」

「……色々と、懸念があるってことか」

「やっぱりこれは、他の仲間に相談すべきだな……政府に対してどうすべきかはオウキに。そして施設作成についてはタカオミやツカサの意見を聞きたい」


 そこまで言うと、ユキトはスイハへ目を向けた。


「スイハはどう思う?」

「……私も、拠点は作るべきだと思う。それと、今後の拠点というのは作成した拠点にすべきじゃないかな」

「スイハもこの建物だとまずいと考えているのか?」

「というより、現状はみんなこの建物に直接来ているでしょ? そうではなくて、転移魔法でいつでもどこでもここへ移動できる……みたいな拠点が必要じゃないかな」


 ――現状、組織内に転移魔法陣が存在するのだが、さすがにこの場所へどこからでも移動、というのはできていない。もし魔力が潤沢にあれば、やり方もあるのだが組織のある場所に霊脈などがないため、実現は不可能だ。


 スイハはここでイズミへ目を向けた。


「魔力が多量にあれば……それこそ、魔力樹の近くだったりすれば、どういった場所からもここへ移動できる霊具なんかを作成できるんだよね?」

「スイハには霊具について以前説明したことがあったね。うん、確かに潤沢な魔力があれば実現は可能だと思う……敵が生み出した物だけど、上手いことやれば私達にも有効活用できるし、魔物が出た場合の対処も素早くできると思う」


 ユキトは彼女達の言葉を聞き、拠点作成に前向きであると理解する。よって、


「……ひとまず、俺の方から他の仲間にも話をしてみる。拠点作成についての結論は、それからだ――」


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