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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第八章

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樹木調査

 ユキト達は話し合いを行った後、次の週末に魔力樹へ調査を行うことにした。現在時点で魔力樹発生以外に変化はなく、テレビの報道は続いているが次第にニュースの数も少なくなっている。

 だが、魔力が広がっていることは明白であり、日本全国に樹木が現れようとしている。この調子だとそれほど経たない内に海外にも出現するだろう。


「――どちらにしても、止めることは難しいね」


 そうタカオミは発言する――ユキトは彼と他に二人、随伴する形で魔力樹の調査を行うこととなった。

 場所は山の頂点であり、そこまで行くにはかなりの労力が必要なのだが、魔力で身体能力を強化できるユキト達ならば問題はない。


 そして、今回はこれまでと大きく異なる点がある――それはユキト達の格好。軍服をベースにした衣装に全員身を包んでおり、これが今後組織で戦っていくための制服、ということになった。

 これはただ衣装を替えただけではなく、ちゃんと魔法的な効果もある。まずは幻術的な効果。魔法を扱うユキト達は常に魔力をわずかながら発しており、その魔力によって姿を見えなくする、あるいは見た目を変えるといった幻術の効果を常時持つ。人目を気にする必要性がある場所では幻術などを事前に使用しなければいけなかったが、この制服によって少なくとも見た目を気にする必要はなくなった。


 今後、魔力樹の調査など外に出る機会が多いだろう、ということでイズミが急ピッチで作成した一品である。それに身を包むユキトは気持ちが新たとなり、随伴する他の仲間達も同様なのか、烈気を漂わせている。

 そしてユキト達は山道を進んでいく――と、ここでタカオミがさらに発言した。


「僕らは魔力樹についてわかっていないことが多すぎる。そもそもどういうプロセスを経て魔力樹が形成されるのかもわかっていない状況だからね」

「除草剤で枯らせるわけでもないからな」


 ユキトの発言にタカオミは苦笑する。


「そういうことだね……さて、目的について今一度整理しておこう。今回は魔力樹の調査……特性の詳細を調べ、なおかつ魔力を可能な限り採取する」

「魔力採取は霊具生成の材料にするわけだが、どのくらい必要なんだ?」

「魔力についてはこれに入れてくれと言われたけれど」


 そう答えながらタカオミは手をかざす。そこに、イズミから託された霊具があった。

 見た目は、手のひらサイズの透明な箱。タカオミはリュックを背負っており、同様の箱がいくつも入っているはずだった。


「イズミが可能な限り作成した。持参してきた箱でどれだけの魔力を蓄えることができるかは、魔力の質にもよるらしい」

「まずは何より、調べないと始まらないか」


 ユキトは答えつつ、他の二人の仲間へ目を送る。


「レオナ、大丈夫そうか?」

「うん、平気」


 快活な返事で応じたのは、ショートカットの黒髪を持つ女性。異世界で活動時、ユキトと共に戦場に立ったことのある仲間で、片手で扱える斧を武器としていた。

 イズミによって作成されたのも同じ斧であり、見た目も基の霊具に近しい――が、その威力までは再現し切れておらず、訓練の時に「仕方がないけど」と言いつつも不満をこぼしていた。


 足取りが軽い様子を見てユキトは問題ないと思いつつ、もう一人――チアキへと視線を移す。


「そっちは?」

「問題ないよ……魔物はいないし、四人も必要だったかな?」

「不測の事態もあるから、調査するにしても三人か四人くらいは必要だよ」

「周辺に人は?」

「いない場所をわざわざ選んできたからな」


 ――魔力樹については国の調査のために人が出入りしている地点もある。ユキト達は当然、そういった人が多い場所を避けた。

 国としては発生した魔力樹全てを調べたいところかもしれないが、さすがに出現し続ける樹木全てに人員を割くだけの余裕はなく、結果的に放置された場所もある。ユキト達が向かうのは、そういった魔力樹の一つだ。


「本当なら大本の魔力樹も調べて、最初と他の違いを調べたいところだけど、あの場所には調査団がいるからな」

「他国の学者さんも入っているんだっけ?」

「ああ。でも結論は何も出ていないけど」


 これは当然の話であった。魔力、魔法という概念がなければ魔力樹の特性は理解できない――頭の中で呟きつつ、ユキトはチアキへ語る。


「事情を把握している政府としては頭が痛いだろうな。無意味だとわかっていながら調査しないといけないわけで」

「……政府は、どうするんだろう?」

「問題は他国との話し合いだな。組織の人間は国とやりとりしてきたが、その情報が他国に伝わっているのかどうか」

「政府が何も話していないとすれば、他の国は不審に思う……か」

「まあ、政府が魔力や魔法のことを知って日も浅い。組織側と連携し、調査を進めていた段階であり、いずれ話をする気だった……みたいな感じで事情を説明するしかないかな。俺達が邪竜の一派と出会ってそれほど数ヶ月といったところだ。そこから魔力樹形勢まで時間もなかったし、時間が短く伝える暇がなかった、ということで押し通せればいいけどな――」


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