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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第七章

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仲間の迎え

 魔物との攻防は短いものではあったし、ユキトの剣が圧倒したのは間違いなかったが、同時に課題も見つかった。


(守りながら戦うというのは、俺以外の仲間にとっては非常にリスクのある戦いになるな)


 ――ユキトは大きな体を持つ獅子の魔物に対し、真正面から迎え撃った。それは敵の魔力量からそう立ち回っても問題ないと判断したことに加え、後方にいるメイ達を守るためだった。

 けれど、本来ならば避けるべき戦術――異世界における魔物との戦いにおいては、力押しよりも回避しながら戦うことが推奨とされていた。


 魔物は魔力量だけで能力全てを把握できるわけではない――実際、それほど魔力を持っていない魔物でも、斬られると爆発して周囲に被害をもたらすといった特性を持つ個体がいた。

 よって、魔物が想定外の能力を持っていても対応できるような動き方をすべき、という指導を異世界でユキト達は受けていた。


 ただしそれができるのは魔物の動きに応じられる十分な武具を持っている場合。現状のユキト達では、戦闘における選択肢は限られている。どれほど強化していても、立ち回りそのものに限界はある。


(霊具の強化は急務……か)


 そして、ミナ達のような一般人の存在。今回の魔物は明らかに彼女達が狙われていた。邪竜が一般人を襲うという事態――ユキトはカイの知り合いだから、と推測してはいるが、もし無差別に攻撃を仕掛けてきたのであればどうなるか。


(しかも今回の魔物……極めて特殊な出現の仕方だった。大地の霊脈などを用いることのない生成手法……邪竜側は着々と準備を進めている)


 では、なぜ邪竜が今攻撃を仕掛けたのか――


(ここまで技術を確立させたと俺達を焦らせるため? それとも、自分達の狙いは俺達組織の人間ではなく、その知り合いだと教えるため?)


 疑問はいくらでも湧き出た。ユキトは考えをまとめることができないまま剣を消してメイ達にいる方向へ目をやった。

 ミナとエリカはまだメイから説明を受けていた。どこまで納得できるのか――本来ならば一般人の二人に話すべきものではない。しかし今回は確実に彼女達が狙われていた以上、事情を知ってもらうべき。


(一度、組織に連れて行くか……?)


 そんな選択肢が頭の中に浮かんだ矢先、ユキトは結界の外で公園へ向かってくる気配を捉えた。それが仲間――カイのものだと理解した時、人払いの結界を抜けるのを理解。

 ミナやエリカのことを見てどう判断するのか――と思ったが、こちらへ来るより前に動きが止まった。どうやらミナ達の存在に気付いて足を止めたらしい。


「……メイ」


 ユキトが声を上げる。それで彼女は頷き、


「ミナ、エリカ、迎えが来たみたい」

「迎え……?」


 ミナが応じる。説明を受けてまだ信じられないといった様子ではあったが、

「私達はどうすれば?」

「……ユキト、ひとまず組織の建物に向かうってことでいいのかな?」

「そうだな」


 ユキトは頷く。


「俺が仲間と連絡を取る。少し待っていてくれ」


 そう宣言して歩き出す――その途上でユキトは考える。


(敵はとうとう動き出した……しかも俺達が予想していない方向に、だ)


 これが何を意味するのか。ユキトはミナ達が狙われた事実に厳しい表情をしながら、ここへ向かってきたカイと合流するため、歩き続けた。






 そしてカイと顔を合わせ事情を説明。魔物にミナやエリカが狙われていたという事実を知り、彼は苦い表情を浮かべる。


「……巻き込んでしまったな」

「カイのせいじゃない。邪竜のやり方が悪辣なだけだ……でも、ある意味では予想できた展開だったかも、しれない」


 ユキトの発言にカイは首肯する――思えば異世界での戦いにおいても、邪竜は様々なやり方でユキト達を揺さぶってきた。

 一般人を利用して攻撃を仕掛けてきたこともある。それを踏まえれば、ユキト達に近しい人物を狙うことは考慮できたはずだった。


「早急に対策は立てないといけない……ミナ達はひとまず組織の建物で保護、でいいよな?」

「とはいえ、ずっとそこにいてもらうわけにもいかない……」

「護衛をつけるのも選択肢だけど、さすがに四六時中というわけでもいかないし……使い魔によって護衛するとか、そういう手法を駆使するべきだな」

「……そうだね」


 動揺しているのか返事がどこか上の空。ユキトは無理もないと考えつつも、話を先に進めなければと判断し、


「カイ、ひとまず彼女達の所へ」

「……わかった。合流しよう。表情は、普段通りにしないといけないね」


 カイは両手で頬を叩きつつ、歩き始める。その姿を見ながらユキトは、自分に何ができるのか――それを考えながら、追随することとなった。



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