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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第六章

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想定内

 ユキト達は魔物が出現した場所を確認した後、改めて作戦を立てる。魔物の出現場所は郊外かつ国有林に位置しており、山肌に近く幸いながら人里からは遠い。


「ふむ……」


 カイはその魔物位置を地図で見て、何か考え始める。


「突発的に現れたにしては位置が変だな……?」

「こんな山奥から大量の魔物が出てくるとは考えづらいと?」

「そうだね。邪竜が残しておいた魔物かもしれない」

「何のために?」

「邪竜は前回、黒竜を召喚した際に色々と仕込みを行った……その中には魔物の動きなどを検証する意味合いだってあっただろう。そして、あの召喚の際にわざと魔物を温存した……それに気づけなかったのは残念だけど、出てきたのであれば被害が生じる前に倒さなければ」

「問題は、邪竜の配下である人間が傍にいるのか、だね」


 カイの言葉の後、次に発言したのはメイ。


「魔物が何かの命令を受けている……としたら、近くには人間がいるんじゃない?」

「――報告では、そうした人物が見受けられなかったそうです」


 今度は資料に目を通していた春伏が口を開いた。


「考えられる可能性としては、魔物達は予め何か命令を受けている。もしくは、遠隔操作的な何かで操っている」

「魔物の挙動によって判断するべきだね」


 カイはそう述べると、口元に手を当てる。


「この魔物出現が何かしら意図的なもの……例えば実験などであったなら、その目的は不明にしてもいくつかわかる事実がある。人間が近くにいないのであれば、敵は魔物を遠隔操作できる技術を得ている……あるいは、それを検証するために今回魔物を出現させたのかもしれない」


 カイが淡々と考察していく。それに対しユキトは、


「交戦すればわかる……ってことなんだろうな」

「そうかもしれない。ユキト、魔物の動き……それを見て、判断はできるかい?」

「邪竜が指揮していた魔物と、関係の無い魔物では動き方が違っていた……それは異世界の戦いにおいて経験済みではあるよ。難しいかもしれないけど、検証はしてみる」


 ユキトはそう言った後に一つ提案をした。


「映像などで魔物が記録されることはない、だよな?」

「そうだね」

「けど魔法なら……」

「おそらくは大丈夫。問題は映像記録を行う魔法を使えるのかどうか」

「ユキトは?」


 問い掛けたのはメイ。それにユキトは首を左右に振りつつ、


「残念ながら……それに、使えたとしても記録系の魔法は常に発動し続けなければならないため、戦闘する俺では使えない」

「なるほど、そっか……ただ、やっぱり映像とかで検証しないとまずいよね」

「戦闘の際、動きを注視するだけでも検証はできると思うが……魔物の動きなどを分析すれば、邪竜側が何をしているのか、わかるかもしれない。今回の事例もそうだが、今後は出現した魔物についてなど情報を集めていく必要だってあるし――」

「なるほどなるほど」


 その時、ユキトの言葉を遮るように声を発した者がいた。


「想定していた私の勝ちだね」

「……イズミ?」


 ユキトが聞き返す間に、イズミはテーブルの上に何かを置いた。それは銀色のチェーンブレスレット。


「霊具を作成しておいた。魔力を装填する間、その人が見ている映像を記録できる霊具」

「……そんな物を何故?」

「だって魔物に関する情報がないって話でしょ? それなら、調べられる環境を整えるのが一番じゃん」


 ――ユキトやカイは互いに視線を合わせた。まるで見計らっていたかのようなイズミの対応に、驚いた後二人は笑う。


「……そういえば、イズミは思わぬ時に思わぬ道具を作成していたね」

「カイもそれに助けられた、みたいなことを言っていなかったか?」

「役立つ物もあれば、まったく使えなかったパターンもあるけどね……ともあれ、今回の場合は非常に有用だ。イズミ、ありがたく使わせてもらうよ」

「それは何より。あ、魔物を記録したら見せてね。色々検証するから」

「単なる映像だけで検証できるのかい?」

「私を舐めてもらっては困るよ。視線を通して感じたもの……魔力の値なんかもおおよそだけど記録できたりする」


 その言葉に、ユキト達は二度驚く。


「もし遠隔操作しているのだとしたら、魔力を飛ばして色々指示を送っていることになるでしょ? なら、この霊具を通して記録できれば何かわかるかも」

「……これで、相手の検証は大丈夫そうだね。問題は誰が付けるかだけど。イズミの話によると魔力を注ぎ続ける必要性があるみたいだから、戦闘には参加できないね」

「私がやろうか?」


 と、提案したのはメイ。とはいえ、カイは首を左右に振る。


「いや、メイは後方支援役として残って欲しい……イズミ、魔力を注ぐ間は他の魔法は使用できないのかい?」

「以前の私ならそういう風に調整できたかもしれないけど、今は無理」

「わかった。なら護衛役と記録役のペアで動く必要がありそうだ……それじゃあ、今から魔物の迎撃と待機するメンバーを言うよ。全員、速やかに動き手早く終わらせよう――」


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