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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第六章

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おびき出す方法

 その後、カイからの助言に従ってシオリの記憶を戻すことにも成功する。残る友人については丁重にお帰り願い、全員が顔を合わせて話をすることに。


「私とか役に立てるの……?」


 と、シオリが自信なさげにユキト達へ問い掛ける。


「正直、私の能力って大したことないと思うけど……」

「霊具を操り戦えていたんだ。十分過ぎる能力だよ」


 カイはそう応じた後、ユキト達へ説明を始めた。


「さて、魔物をおびき出す方法だけど……魔力によって誘い出す手法をとる」

「魔力?」


 ユキトは聞き返すと、カイへ疑問を告げる。


「それはつまり、魔力を発して魔物を誘導するってことだろうけど……最大の問題は、どうやって魔物がいる場所まで魔力を届かせるかだな」

「うん、ユキトは索敵できるけど、地下の構造なんてわからないから闇雲に魔力を発しても届く可能性は低い。でも、どこにいるかわからない魔物に対しても有効な手立てを見つけた」

「それは……?」

「音だ」


 カイの言葉にユキト達は沈黙する。そこで彼は、


「魔物がいる場所は、下水道である以上は必ず地上のどこかには繋がっている。マンホールなど物理的に遮断されているだろうけど、地上で発せられた音などは地下へも伝わる。それは振動的な意味合いでもそうだし、直接音が響く可能性もあるだろう」

「音……なるほど、確かにそれならいけるかもしれないけど、問題はどういう音なのか」


 ユキトは頷きつつ、カイと視線を合わせる。


「地下に伸びる下水道全域に広がるくらいの音というのは、地上で響かせればとんでもない音になるんじゃないか?」

「そこで登場するのが魔法だ。やり方は何でもいい。人間の耳には聞こえない高い音だったり、あるいは下水道を入口へ向け音を放出するとかでも……あるいは魔法によって、音そのものが魔力を帯びて下水道全体へ響かせられるようなものへ変えることだってできるはずだ」

「……魔法で、か」

「――その場合」


 と、ここで口を開いたのはメイだ。


「実現するために障害があるよね……色々と課題はあるだろうけど、一番の問題は魔力について。音波系の魔法を使うにしても、何の策もなしに地中へ放出するだけだったら、届かないように思える」

「メイの指摘は正しいよ。無闇に魔法を使っても効果はない……けれど、メイ。他ならぬ君ならばいけるかもしれない」

「私が……?」


 聞き返したメイは、少し驚いた表情を見せた後――合点がいったように声を上げた。


「もしかして、歌?」

「そうだ。メイは異世界でもアイドル活動をしていた。その一環に、風の魔法などと組み合わせた広範囲へ歌声を届ける技術を学んだはずだ」

「そういうのを使って……ということ?」

「そうだ。ただし、魔物がどこにいるのかわからない以上、相当大規模な魔法を行使する必要がある。単独では非常に困難だけれど……シオリとアユミの記憶が戻ったことで、状況は変わった」


 ――それにより、メイは「なるほど」と呟いた。


「二人にはアイドル活動の手伝いとかやってもらっていたし、何より魔力を融通していた」

「融通……?」


 その言葉に反応したのはリュウヘイ。それでメイは、


「あ、リュウヘイは知らないのか。えっと、異世界でアイドル活動をやっていた際、シオリやアユミの魔力を受け取って、利用できないかと思い魔力の共有訓練とかやっていたの」

「変わったことをやっていたんだな……えっと、それは結果として役に立ったのか?」

「正直微妙。最終的に霊具の効果でどうにかなっちゃったから。でも、今の状況なら……使えると思う」

「メイ、この周辺の地下……それを覆うだけの魔法が必要だ。魔力についてはシオリとアユミの力を借りるとして……問題は、場所をどうするのか。ビルなどの建物の中でやるのは出現した場合を考えると危険だ」

「痕跡を発見した場所でいいんじゃないか?」


 提案したのはリュウヘイ。ユキト達は「それしかないだろう」と結論づける。


「作戦をまとめようか」


 そしてカイはユキト達へ改めて語る。


「メイが最初に魔物の痕跡を発見した場所へ舞い戻り、そこで魔法を使用する。公園だし、人払い系の魔法さえ発動していれば周辺住民に迷惑もかからないだろうし、多少動き回っても問題はない」

「問題はメイの魔力がどこまでもつのか、だな」


 カイに続く形でユキトは声を発した。


「魔物が近くにいて反応したにしろ、地上に出てくるまでは歌い続ける必要が出てくる。シオリ達の援護があるとはいえ、果たしてもつのかどうか」

「何にせよ、やってみないとわからないね」


 と、メイはやる気を見せながら呟いた。


「うん、私はそれでいい……アユミとシオリはいい? いきなり魔力を融通してもらうことになるけど」

「愚問ね」


 アユミの返答はそれだけだった。シオリは何度も頷くという反応であり、二人は嬉々としてメイを手伝うことを決めた。

 そこで――最後のまとめとばかりにカイが言う。


「では今から行動を開始しよう。他の面々の役割については、僕の方から後で説明するよ――」


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