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黒白の勇者 ~再召喚された異世界最強~  作者: 陽山純樹
第六章

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魔物との訓練

 鍛錬を始め、十日ほどは何事もなく日常が流れていった。しかしその間にイズミから連絡があり、霊具をいくつか試作したと報告を受ける。それに対してはカイが応じ、また今後必要な霊具の要望などを聞きに向かい――その間も、ユキトはスイハ達を鍛錬する。


「ふっ!」


 鋭い剣閃がノブトの槍を弾き、追い詰めていく。ユキトはさらに間合いを詰めて首筋へ刃を突きつけると、彼は降参の意を示した。


「やっぱ本物の霊具を持っている人間相手は無理だな……」

「この世界にいる邪竜も同じ事を考えているさ。着実に強くなっている。自信を持っていいよ」


 ユキトのその言葉にノブトは肩をすくめる。

 本日は日曜日で、全員集まって鍛錬をしようという話となって組織内の建物にある訓練場にいる。せっかくの休みに――と、文句を言う仲間は誰もいなかった。


 全員がトレーニングウェアを着て動きやすい格好により戦っているが、ユキトは内心で戦闘する場合の衣装なども用意する必要があると考える。


(ユニフォームを作るか? いや、敵はいつ何時どう現れるのかわからない以上、霊具を用いて衣装を作成する方がいいな)


 考えながらユキトはここまでの成果を評価するために仲間達と剣を交わした。無論のこと霊具を持つユキトは負けなかったが、それでも剣を介し仲間が成長していることは深く認識できた。


「……強くなっているのは確かだけど、一つ問題があると思う」


 ユキトがそれぞれの評価を下そうとした時、チアキがおもむろに口を開いた。


「現在は技術を引き上げるために鍛錬しているけど、魔物……人間とは異なる存在と戦うことについては深く検証してない」

「ああ、そこについてはある程度段階が進んだらやろうと思っていたんだ。まずは自らが扱っている魔法……武具を自在に扱えるようにならないと」

「現段階ではどう?」

「結論から言うと、問題ない……よって、魔物との模擬戦に移ろうと思う」


 スイハを含め仲間達は身構える。いよいよ次の段階へ――と、緊張している様子だった。


「ただし、敵がどんな魔物を生み出してくるかわからないから、あくまで類型の敵と戦ってみて検証するしかない。さすがに先日出現した竜を生み出すようなことはそう頻繁にできないし、仮に出現した場合、俺が戦う以外は複数人で応じる必要性がある」

「ということは、連携も確認しないと」


 チアキの発言にユキトは深々と頷き、


「そうだ。ただしそれは仲間の能力をしっかり把握していなければならない……後々霊具を手にして戦うにしても、今の能力が基本になるだろう。よって今から魔物を生み出して検証を進めるけど、その戦い方についてはしっかり見て、連携できそうか頭の中で検証してくれ」


 ユキトは前置きをした後、魔法を使用した。それは魔物を擬似的に生み出すものであり、獅子のような形をした魔物が出現する。


「まずはスイハからいこうか。魔物は複数体生み出すから、それを全て倒してくれ」

「うん」


 スイハは頷くと剣を構える。その見た目とは裏腹に魔力は相当多く、これまでの修練により聖剣使いとして確実に強くなっていた。


(戦闘に参加したこともあるし、スイハがやっぱり頭一つ抜けている……が、果たしてこれには対抗できるか?)


 ユキトは剣を振った直後、獅子が吠えスイハへ襲い掛かる。さらに、魔法により新たな魔物を生み出す。

 同時、スイハは獅子と交戦した。突撃をまずは横に跳んでかわすと、剣に魔力を集めてその胴体へ一閃する。


 魔物の方は体をひねり斬撃をかわそうとしたが、切っ先が体に当たった。それにより魔物は吠え、一度距離を置いてからスイハへ再び突撃する。

 その突進は最初よりも速く、一瞬で間合いを詰められるスイハだが――今度は最小限の動きで突撃を避けながら剣を薙いだ。すれ違いざまに斬るような剣戟は魔物の体を抉り、今度こそ魔物は消滅する。


 だが、さらなる攻撃がスイハへと襲い掛かる――今度は熊のような二本の足で立つ魔物。右腕が振りかざされるとそれは大剣を振り下ろされるような迫力が生まれ、スイハへと迫る。

 すると彼女は即座に回避。熊の右腕は空を切るが隙は晒さずスイハを視線で追う。


 本来なら一度距離を置いて相手の動向を窺うのが有効かもしれないが、ユキトはそれをさせなかった。理由は、三体目の魔物――カラスのような小型の魔物を彼女へけしかけた。


「容赦ないな……」


 ノブトが思わぬ構成に呟くのをユキトは耳にする。だが仲間達は文句など言わない。それどころか、こうした戦いが必要なのだと、スイハの戦いぶりを観察する様子だ。

 熊が吠えスイハへ接近しようとする中で、カラスの魔物がスイハへ迫る。飛び回りその動きを制限する役目を担っており、


(距離を置くかそれでも攻撃するか……)


 ユキトがスイハの動向を注視した矢先、彼女は足を後方へ移しながらカラスの魔物へ狙いを定めた。後退し熊が迫る時間を稼ぐ間にカラスを仕留めるという思惑であるのは間違いなかった。

 とはいえ、カラスには相当な移動能力を持たせている。剣が来ても急速な方向転換――それこそ直角に曲がれるほどの動きを見せることも可能だった。


(相当な剣速でカラスを追い詰めるか、それとも魔力の流れから動き方を読むか……それとも持ちうる力で押すか?)


 どういう選択をとるのかユキトは次の魔物を生み出そうと構えながら考え――スイハはカラスを注視。一方の魔物はスイハの周辺を飛び隙を見せれば攻撃しようという動き。

 その間にも熊の魔物が迫ってくる。カラスへ攻撃を仕掛けられるチャンスはおそらく一度。果たして――刹那、スイハの剣がカラスへ狙いを定めた。その斬撃は、


(速い……!)


 ユキトがそう思った矢先、回避に転じようとしたカラスの魔物は容易く両断された。


(魔力で体を強化した……が、それはどうやら相当なレベルに達している……)


 考える間にも熊の魔物が迫る。同時、スイハは剣を構え直し――巨大な相手へ迎え撃つ構えを示した。


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