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【完結】魔石精製師とときどき魔王 ~家族を失った伯爵令嬢の数奇な人生~  作者: きゆり
第3章《試験》編

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第87話 フェスラーデの森

 翌朝、試験のための特殊魔石採取へと向かう。


「気を付けてね!」


 リラーナとダラスさんに見送られながら出発。もう慣れたものだ。


 フェスラーデの森へは王都から北西に馬車で半日ほどの場所にある。比較的近い場所なので、いつもは日帰りで行っていた。しかし今回は何度も行ったり来たりするのは大変だからと、ディノとイーザンにもお願いして、野営しながら何日か過ごすことになった。


 さすがに野営をするのは初めてなので、色々と準備が大変だった。ディノとイーザンにも話を聞きながら、レインさんやサイラスさんにも荷物の相談に乗ってもらいつつ準備をした。


 乗合馬車の乗り場ではすでにディノとイーザンが待っている。


「よう、ルーサ、試験はどうだ? 上手くいってんのか?」


 ディノがニッと笑いながら手を振った。


「おはよう、ディノ、イーザン」


 イーザンもこちらを見て小さく手を挙げる。


 乗合馬車のなかで今回の試験の話をしつつ、やはりリラーナ同様に飛行艇の話に食い付くディノ。同じように目を輝かせている。


「プッ。私やリラーナと一緒、アハハ。やっぱり飛行艇が気になるよね!」

「気になるに決まってる! なんだよそれ! 見てみたい!!」


「私は一度だけそれらしきものは見たことがあるな」


「「えっ!?」」


「お前、見たことあるのか!?」

「イーザン、見たことあるの!?」


 イーザンの発言に思わず、ディノと二人して前のめりに食い付いた。


「あ、あぁ。依頼でエルシュに行ったとき、たまたま早朝に到着してな。ちょうど飛び立つ瞬間だった」


「「えぇぇ!! 良いなぁ!!」」


 ディノと二人、大声でハモッた。


「ディノはエルシュに行ったことはないの?」


 あれだけあちこち依頼で行っているらしいのに、エルシュには行ったことないのかしら? ふと疑問に思ったことを聞いてみた。


「あー、いや、エルシュには行ったことはあるんだが、そんな早朝に街をうろついたことがないからなぁ」

「えー、エルシュには行ったことあるんだ! 良いなぁ……じゃあ獣人の人たちは見たことがあるの!?」

「あぁ、獣人なら見たことあるな!」

「えぇ、羨ましい……」


 二人ともエルシュに行ったことがあるのかぁ。なんて羨ましい……。

 あまりに羨ましそうな顔をしていたのか、二人ともに「プッ」と笑われ、ディノには頭をワシワシと撫でられた。


「ハハ、国家魔石精製師にさえなれたら、独り立ちだろ? エルシュでもどこでも行けるだろ」

「う、うん、そうなんだけど……」



「お客さん、フェスラーデの森の近くだよ。ここで降りるんだろ?」


 話に盛り上がっていると、御者台から声がした。馬車がガタリと大きく揺れて停まる。


 フェスラーデの森は乗合馬車の乗り場はない。先へと行く乗合馬車を途中下車させてもらうのだ。そうでもしないとフェスラーデの森自体は危険な場所のため、一般人が向かうことはほぼない。砂漠のときのように強行して進む者もいるようだが、余程の強者か己の実力を知らぬ者かくらしかいないだろう。巨大な森は歩いて抜けるだけでも相当な日数がかかる上に、強力な魔獣や魔蟲がいる。魔獣たちが森から出ることはほぼないが、それでも森の周りには誰も近付かない。


 従って乗合馬車の乗り場など近くにはないのだ。帰りも通りかかる乗合馬車へ便乗をお願いするしかない。だから今回何度も行き来するのは面倒だったため野営という手段を取った。


「すみません、ありがとうございました」


 御者にお礼を言い乗合馬車から降りる。


「あんたたちも物好きだなぁ。気を付けてな」


 何度か乗ったことのある乗合馬車の御者だったため、顔見知りになっている。私の魔石採取のため、ということも何度か乗るうちに世間話で話したりもした。そのためいつも帰りにもこの辺りで少し様子を伺ってくれたりもする。


「ありがとうございます」


 御者に手を振り、去って行く乗合馬車の後ろ姿を眺めた。今回は何日か森で過ごすことを伝えていたため、御者は心配そうな顔をしながら去って行った。


「さて、行くか!」


 フェスラーデの森はもう少し歩く。ディノとイーザン、そして私は荷物を抱え、遠目に見える森を目指し歩いて行く。


 近付くにつれ、森の規模が良く分かる。森の端が見えることはなく、ひたすら続く木々。遠目から見ると、その森をさらに越えたところには背後に大きな山が聳え立つ。山を護るかのように前方に森が大きく広がる。


 鬱蒼と広がる森へと足を踏み入れると、昼間だというのにひんやり薄暗い。木々の隙間から光が零れ落ち、地面には影と光とで模様のようになっていた。


「今回はいつもより奥へ行ってみるんだよな?」

「うん、出来れば行ったことのない奥のほうまで行ってみたいと思ってる。でも危険と判断したらすぐに言って」


 ディノとイーザンは頷き、私たちはフェスラーデの森、最奥を目指しつつ、進んで行くこととなった。



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