表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】魔石精製師とときどき魔王 ~家族を失った伯爵令嬢の数奇な人生~  作者: きゆり
第2章《修行》編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/247

第69話 ゲテモノ料理!?

※さらっと描写ですが、食します。苦手な方はご注意ください。

 テーブルには乗り切らないのではというほどの皿の数がやって来た。


「こ、これ、全部食べるの?」

「? 当たり前だろ?」


 ディノがなに聞いてんだ、といった顔。え、これが普通ですか!? 慌ててイーザンに目をやると、イーザンは驚くでもなく、しれっと自分の注文した料理だけを手元に置く。あ、イーザンは自分が食べる分だけなのね……。


「ルーサは適当に食べたら良いぞ、残ったら俺が全部食べるから」

「あ、うん」


「はいよ、これで最後ね。うちの名物料理ピスプス唐揚げ!」

「!?」


 ドーンッ! と真ん中に置かれた黒っぽいものの山……ひぃぃい!! こ、これ……これは!! もしや!? ひぃぃい!!


「ごゆっくりねー」


 女将さんが満足げに去った後はテーブルのど真ん中にある黒い山が堂々と鎮座していた。


「じゃあ食べようぜ!」


 ディノはそう言うと勢い良く食べ始める。イーザンも自分の分を食べ始め、私はというと固まっていた……。


「ん? ルーサ食べないのか?」

「い、いや、ちょっと、あの……こ、これってもしかして……」


 目線を黒い塊にやり恐る恐る聞いてみた。


「ん? これ? ピスプスってサソリの一種だな。毒のないやつ」


 そう言って一つ摘まむとバリバリと食べるディノ。ひぃぃ!! 姿が!! 姿そのままが!! ディノの口から尻尾がはみ出してる!! 目の前には何匹も山積み!!


「この店、ピスプスの唐揚げが滅茶苦茶うまいんだよ。食ってみろよ」


 そう言って皿を突き出す。


「ひっ」

「ん? 嫌いか?」


 私が顔を引き攣らせているのが分かったのか、ディノが首を傾げた。


「こんなのよりもっとデカい奴を戦闘で見てるんじゃないのか?」


 そう言いながら苦笑するディノ。イーザンは黙々と食べているだけだし。


「戦闘で見るのと食べるのじゃ違うよ! そもそも戦闘で見るのも怖いものは怖いし」


 巨大な蟲というものはかなりの恐怖ではある。魔石のために仕方なく近付くが、それがなければ出来れば近付きたくないものだ。小さいからと言って大丈夫だと言える訳ではない。少しマシ、といった程度なのよ。それを食べるとか全く頭になかったから抵抗感があるに決まってる!


「んー、でも本当にうまいぞ? 一つだけでも食ってみたら? 駄目なら俺が食うし」


 なにが怖いのか分からないといった顔のままディノが言う。仕方がないので恐る恐る一つだけ取り皿へと移す。


 まあ見事な黒光り! 艶やかですわね! 今にも動き出しそうな見事な剥製ですわ! いや、違う。剥製じゃない。目が合いそうな気がして思わず、向きを変える。いや、どれが目か分かんないんだけど。


「プッ」


 ん? 私の肩から小さく吹き出す音が聞こえた。ギュンとそちらを向くとルギニアスが私から顔を逸らし小さな肩を揺らしていた。


「ちょっと! ルーちゃん、笑わないでくれる!? なんならルーちゃんが食べる!?」


 イラッとしてしまい、つい強い口調に……。


「俺はいらん」


 ルギニアスがボソッと答えた。そういえばルギニアスって普段食事はどうしているんだろう。食べている姿なんて見たことがない。


「ルーちゃんてなにも食べないの?」

「お前は今まで俺がなにも食べていなかったことはなんだと思っていたんだ」


 馬鹿かこいつ、みたいな顔をされて、またしてもイラッ。でも確かに今まで疑問にも思わなかった私の落ち度ですね……すみませんね、馬鹿で。


「今は別に必要としないから大丈夫だ」

「今は?」

「……俺のことは気にしなくて良いって言ってるだろうが。早く食べろ」


 ペチッと頬にパンチをされ、前を向かされた先にはサソリ……ぐふっ。


 顔を上げるとイーザンがジッと私とルギニアスのやり取りを見詰めていたため少したじろぐ。ディノは早く食べてみろ、とウキウキした顔だ。そんなイーザンの視線を誤魔化すため、という訳でもないのだけれど、意を決しピスプスの唐揚げに手を伸ばす。


 ディノが手掴みでバリバリと齧っているのを見て、同じように手掴みで口に運ぶ。なんだかトゲトゲしていて堅そうだ。恐る恐る一口齧る……


「?? 美味しい……」


「だろ!?」


 ディノが満面の笑みで身を乗り出した。


「サクサクしていて、なにか味付けがしてあるのか濃い味だから、まるでお菓子のように気軽に食べられるわね!」

「だよな! サクサクがうまいんだよ! 酒と一緒に食べたら最高なんだよな」


 うんうん、と一人で頷くディノ。そうかディノはもうお酒を飲んで良い歳なのね。確か十六から飲める歳だったはず。


「なら今も飲んだら?」

「ん? あー、いや、さすがに仕事中には飲まないな。明日の仕事に支障が出たら困るし」


 おぉ、そこは一応ちゃんと考えているのね。


「イーザンは唐揚げ食べないの?」

「私は脂っこいものは嫌いだ」

「…………」


 うん、美しい肌をされていますしね。イーザンが注文したものは脂身の少なそうな肉料理と野菜とスープ。とても健康的そうでバランスの良いものでした……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ