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【完結】魔石精製師とときどき魔王 ~家族を失った伯爵令嬢の数奇な人生~  作者: きゆり
第2章《修行》編

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第19話 ウィスさんの作業場

 ウィスさんの作業場は表通りから少し外れた場所にあるそうだ。リラーナと共に王都を歩く。

 朝からすでに食事の出来る店などがすでに開店していた。パン屋からは香ばしく良い匂いが漂ってくる。朝食は食べたのに匂いに釣られてしまいそうだ。美味しそう……。


 賑わう人々を避け、路地のなかへと進んで行く。商業区と居住区の境辺りにあるらしく、作業場と居住部屋を兼ねているそうだ。

 しばらく歩いていると居住区らしい、三階建ての建物が多く現れた。見上げると窓からは花に水をやる人や洗濯物を干す人、朝食を取る人などが見て取れた。


 その一角にある二階建ての横に長い建物。どうやらここがウィスさんの作業場のようだ。


「ウィスさん、おはよう!」


 リラーナは一つの扉の前へ行ったかと思うと、その扉を叩き開けた。おずおずとリラーナに続き部屋のなかへと足を踏み入れると、笑顔のウィスさんが出迎えてくれていた。


「やあ、よく来たね。おはよう、リラーナちゃんにルーサちゃん」

「おはようございます!」


 部屋のなかは大きな作業台と周りには棚がたくさんあり様々な魔石や本などが置かれていた。

 部屋のなかは太陽光が差し込まないため薄暗いが、魔導ランプで明るさは保たれていた。物珍しくきょろきょろと周りを見回していると、ウィスさんが笑いながら色々と説明をしてくれる。


「この作業場は三人の友達と共同で借りていてね。隣にも同じ部屋があるんだ。同じように魔導師仲間でね、彼らも僕と同じように一階を作業場、二階を居住にしているよ。

 そして、この部屋に置かれているものが僕の仕事道具たちだね! 魔導書に買い取った魔石や魔力付与の依頼をされた魔石たちがある」


 大きく両手を広げ、自慢するようにウィスさんは言った。


「魔導書……」


「気になるかい?」


 ボソッと呟いた言葉にウィスさんが反応した。


 気になる……気になるに決まっているわ! 魔導書なんて見たことがないもの! どんなことが書いてあるのか興味津々だった。


「気になります! 見せてもらっても良いですか?」

「アハハ! 正直! 良いよ、好きに見てくれたら」

「ありがとうございます!」


 お許しをいただき、棚にある魔石や魔導書を眺める。何度も読み込まれていそうな古くなった魔導書。それを手に取りぺらぺらとページを捲る。

 中には私には到底理解出来ないような専門的なことが書いてあるようだった。まあそもそも魔法を使えない人間からしたら魔導書なんかを見ても意味が分からないんだけれど。


 それでもどういった魔法がどうやって発動し、どれほどの威力があるのか、や、魔法同士の相性や魔物に対してどの魔法が利きやすいのか、といったことが書かれているのはなんとなく分かった。

 そして魔法陣の絵も書いてある。たくさんの魔法陣。陣の形によって発動する魔法が違うことが説明されていた。


「魔法陣かい? 綺麗だろ? 陣の形によって発動魔法も違うし、単独で発動させる魔法よりも陣を媒体として発動する魔法のほうが規模の大きな魔法が出せるんだ」

「規模の大きな?」

「うん、例えば……」


 ウィスさんがよく分からない言葉を唱え始めると、足元に魔法陣が現れた。青白く光る魔法陣。


「綺麗……」


 フフ、と笑ったウィスさんはさらに唱え続け、魔法陣は大きく輝き出した。


 魔法陣に気を取られていると、リラーナがツンツンと腕を突いた。


「?」

「ルーサ、ウィスさんを見て」


「わぁ!!」


 魔法陣から目を離し、ウィスさんを見ると、魔法陣から足を離し、宙に浮いたウィスさんがいた。


「アハハ、どう? びっくりした?」


「すごーい!! 浮いてる!!」


 部屋のなかのためそれほど高く浮いている訳ではないが、それでも天井に届くだろうくらいのところまでウィスさんは浮かんでいた。


「今は部屋のなかだから制限をかけているけれど、色々応用したら空も飛べるよ」

「空も!?」


 そう言いながら降りてきたウィスさんは魔法陣を消した。


「うん、空も飛べるし、他にも空間移動の出来る魔法陣だったり、結界を張ったり、威力の大きな攻撃魔法を放つ魔法陣だったりもあるね」

「空間移動……そういえば大聖堂から女神の神殿へ向かうときも魔法陣で……」


 そう言いかけて、お父様とお母様のことを思い出してしまい言葉が尻すぼみになってしまった。


「あぁ、そうだね。大聖堂で行う転移の魔法。あれも魔法陣から発動させる空間移動の魔法だね」


 ウィスさんは私の様子を特に気にするでもなく、そのまま説明をしてくれた。良かった、少し寂しくなってしまったことに気付かれていないわよね。

 リラーナは少し心配そうな顔をしてくれたけれど、笑って見せたら安心してくれたようだ。


 色々と魔法陣の説明や他にも魔法の説明をしてくれて、色々勉強になり楽しかった。


「さて、では魔力付与見てみるかい?」

「見たい!!」


 食い気味に返事をするとウィスさんもリラーナも大声で笑った。



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