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女嫌いの公爵様に嫁いだら前妻の幼子と家族になりました  作者: 青空一夏


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56/59

53-1 仲良くなる子供たち  

 皇帝夫妻のご滞在も三日目。

 この日は皇后陛下のご希望で、子供たち同士の小さな交流の場が設けられることになった。


「ぜひアベラール卿に、皇女たちと遊んでいただけたら嬉しいですわ。子供の心は素直ですもの。こうした機会こそ、大切にしたいと思っておりますの」


 そんな皇后のお言葉に、公爵も快く応じた。

 アベラールに説明すると、彼は目を輝かせてうなずいた。


「うん、ミュウもいっしょにいていい?」


「もちろんよ、ミュウも一緒に遊んであげましょうね」


 用意されたのは、公爵邸の広い室内遊戯室。

 柔らかな絨毯が敷かれ、低めの机と小さな椅子が並べられ、木製のおもちゃや絵本も揃えた。

 そこへはアリシアも招く。皇后の意向で、アベラールの親しい友人もぜひとのことだったから。


「アリシア、今日はよろしくね」

「はい、わたし、おひめさまたちとあそぶのをたのしみにしてきました」

 アリシアはにっこりと笑い、頼もしいお姉さんの顔をしていた。


 やがて皇后が皇女たちを連れて現れた。

 三歳の第一皇女ステファニーは、ふわふわの淡いピンクのドレス姿で、少し緊張した面持ち。

 六ヶ月の第二皇女グレイスは乳母に抱かれ、ふにふにと手を動かしている。


「さあ、ステファニー。こちらがアベラール様とミュウ様、それからアリシア様ですわ」


 皇后陛下が優しく声をかけると、ステファニーはアベラールとミュウ、アリシアをじっと見つめ、やがて小さく『こんにちは』とお辞儀した。


「こんにちは! ぼくはアベラール。このこはりゅうのこどもで、ミュウ。そして、そのとなりがアリシアだよ。さぁ、ミュウもあいさつして」


「ミュウ、ミュウ!」


「はじめまして、こうじょさま。わたしはアリシアです。なかよくしていただけたらうれしいです」


 アベラールとアリシアの優しくも明るい声に、ステファニーの顔がぱっとほころんだ。最初はおずおずとしていた彼女だったが、アベラールがそっと絵本を手渡し、膝をついて優しく話しかけると、すぐに懐いた様子を見せ始めた。その絵本は挿絵が鮮やかで、三才でも楽しめるような内容だった。アベラールがとても気を遣ったのがわかり、ほっこりする。


「このおはなし、とてもおもしろいんだ。 ぼくがもっとちいさいときにね、なんどもみたほんだよ。たのしいえがたくさんあるから、よんであげるね」

「……うん」


 アベラールの柔らかな声と仕草は、まさに小さな子供の心を安心させるものだった。

 アリシアも一緒にその本を読んであげ、女の子の声などを担当した。やがてステファニーがキャッキャッと楽しげに笑いだす。


 一方、グレイス皇女はミュウに夢中だった。

 小さな手を一生懸命に伸ばして、ミュウの尻尾を掴もうとする。


「ミュウ、やさしくしてね? こちらの皇女様はまだお小さいから」


「……ミュウ」

 ミュウはゆるやかに尻尾を揺らし、ちょうど赤ちゃんの指先がそっと触れられる位置で静かに止めた。途中、ムギュッと尻尾を掴まれたり、ハイハイで追いかけられていたけれど、ミュウは怒ることもなく嬉しそうに相手をしていた。


「白銀竜様は子守の才能がおありなのですね? 」


 その様子に皇后陛下も、うれしそうに目を細めていた。しばらく穏やかな時間が流れた頃、皇后陛下が私の方へそっと声をかけられた。


「……こうして皆が仲良くしているのを見ると、将来が楽しみになりますわね」

「はい。おとなになっても仲良しでいてほしいですわ。助け合える仲間がいるのは素敵なことですもの」





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 ※53話少し長かったので、2話にしました。 

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