圧迫療法~包帯 3~
腕のむくみの方の場合、脚と同様に包帯を巻く。(圧をかける弾性包帯はだいたい2~3本)
腕の方は当然だがご自身で巻くときは片手で巻かれるのである。
利き腕のほうにむくみがある場合、利き腕ではない方の手を使って包帯を巻くのだからかなり難しい。
だがこれも慣れであり、コツをつかまれれば壁や自分のおなか等を使うなりして器用に巻けるようになる。
腕のむくみの方(だいたい乳がん術後患者)は脚のむくみの方を
『脚のリンパ浮腫の方は両脚むくまれる方もいらっしゃるし、包帯を巻く本数も多いし、大変ねえ』
とおっしゃり、脚のむくみの方は腕のむくみの方を
『片腕で包帯を巻かなきゃいけないんだもの。大変よねえ』
とおっしゃる。
腕のむくみの方は脚のむくみの方より重力の影響を大きく受けないものの、日頃炊事、洗濯、手洗いなどによく使用する手が包帯や弾性着衣(スリーブ、グローブ)で制約をうけるのは大変だ。いちいち外したり、上からゴム手袋を着用するのは、かなりわずらわしい。
脚のむくみの方は重力の影響をダイレクトに受けるものの、包帯や弾性着衣をしていたとしても腕の方よりは日常生活にそう支障はない。
とても効果の高い包帯。硬くなった組織の柔かさを出すのにも効果的である。
綿包帯の上に凸凹の面をしたスポンジ等を当て、同様に上から弾性包帯を巻くと凸凹のあとが体につき、硬い組織が柔らかくなる。マッサージよりも効果が出ることがある。
実はリンパ浮腫の方にとって、むくんでいる部分の太さ、というのはあまり重要視しなくてもいい。やっぱり太さ=周径値の左右差、というのが患者さんにとって気になることだと思うが、それ以上に組織の柔かさ、というのを一番気にしてほしい。
硬い組織というのは非常に炎症をおこしやすい状態でもある。(パンパン、カチコチの状態になる方もおられる)
明らかに太さに左右差があったとしても、組織がふわふわと柔かければリンパ浮腫の状態としてはバッチリ良好、安心なのである。そんなに太さに左右差がなくても組織が硬ければ浮腫状態は悪く、心配である。
柔かい組織状態を保っていくことが、リンパ浮腫患者さんの一生の目標となる。
この改善をはかるのに一番効果のある包帯。
もちろんできない方もいらっしゃる。
一人暮らしのご高齢の方。本当はしっかり巻きたい状態であってもやはり、無理である。こういう方の場合は、簡易的な圧迫法をご紹介するしかない。効果は落ちるが、ほどほどの状態を保つことを目安に圧迫を試みるしかない。
ご家族に介護の必要な方、小さいお子様がいらっしゃる方。
まずご自分のために時間を割けない。どうしても自分のことは後回しになってしまう。
包帯を巻いた脚で、介護をしたり、小さい子共が走り回るのを追いかけるのは無理である。
やはりできる範囲での圧迫をしていただくしかない。
数年前、大地震が起こった後、怖くて包帯を巻けずに状態が悪化した患者さんが急増したそうだ。
包帯を巻いた脚では、とっさの時に逃げられないからである。




