圧迫療法~包帯 1~
前回あげた圧迫療法について詳しくお話したいと思う。
どうして圧迫療法が効果的かというと、逆流を抑えるからだ。
何らかの原因で流れが滞ったリンパ液は逆流して、リンパ管から組織へと戻ろうとする。
これを圧迫することにより、組織の圧を高め、リンパ管内の圧力より高めることで逆流を防ぐ。
逆流を防ぐことが第一歩。何が何でも圧迫、というのはこういうことである。
圧迫にはやはり包帯が一番である。その方の脚の形状、状態に合わせた圧をかけることができるからだ。そのときどきの状態に合わせ、オーダーメイドの圧をかけるということである。
一番基本的な包帯の巻き方について脚の場合を例にし、今から述べさせていただく。
まず、保湿クリームをたっぷりと塗る(包帯が油分を吸ってしまうので、たっぷりと塗る)。
ガーゼのような筒状の包帯を足先から脚の付け根まで着ける。
指に包帯を巻く。
綿の包帯を足の甲からひざ下まで巻く。(お肌の保護のため)
ウレタン製のスポンジを足の甲からひざ下まで巻く。(お肌の保護のため・圧迫の効果もぐんと高まる)
弾性包帯とよばれる伸張性の低い(あまり伸びない)包帯を巻く。(ここからやっと圧をかける包帯が始まる)
一本目、二本目で足の甲からひざ下まで巻く。
※まだまだ終わらない。次は太ももの方に入る。
膝から脚の付け根まで綿包帯を巻く。
膝から脚の付け根までウレタン製のスポンジを巻く。
白い、サラシのような大きい包帯を膝から脚の付け根まで巻く。
三本目の包帯で膝から太ももの中ぐらいまで巻く。
四本目の包帯でひざ下から脚の付け根まで巻く。
圧バランスを整えながら、五本目を巻く。(だいたい、足首から太ももの中ぐらいで終わることが多い)
患者さんはドン引きである。
こ、こんなに巻くんですか……。と信じられない顔をされる。
足はひとまわり大きく、普通の靴は当然履けない。大きめのクロックスか、介護用の靴を履かれる方が多い。
何か問題があっては困るので写真は載せないが、書店でリンパ浮腫関連の本を見ると載っているだろうし、ネットでもリンパ浮腫・包帯と検索するとその姿が出てくるのでどうぞ皆さんもご覧あれ。
ドン引きだろうと思う。
まるで、ミイラのよう。
どんな大怪我をしたんですか、と言う感じだ。
当然、患者さんは次のような質問をされる。
『夏でも、まさかこれを巻くんですか?』
巻いてほしいんです。できれば。
このくそ暑い、湿気の多い殺人的な日本の夏に!
無理である。私なら絶対、無理。
それでも巻かれる方はいらっしゃる。
クーラーをガンガンつけて夜間だけ、とか。本当になんて皆さんえらいのだろう、といつも思う。
もちろん、夏バージョンとして綿包帯を抜いたりすることもあるが、それでも暑い。
やはり患者さんの多くが夏は包帯を巻くのがつらく、浮腫は悪化される。
状態を維持された患者さんなんて、本当に努力の賜物である。
夏は悪化し、涼しくなるにつれて改善し……という一年をほとんどの患者さんは繰り返される。
圧迫療法を始めた時期、というのはその後の経過におおいに関与する。
暑い時期に開始された患者さんは、なかなか改善がむずかしい。当然である。
冬期に開始された患者さんはやはりスムーズにいく。




