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リンパ浮腫  作者: 手古奈
6/22

圧迫療法~包帯 1~

 前回あげた圧迫療法あっぱくりょうほうについて詳しくお話したいと思う。

 どうして圧迫療法が効果的かというと、逆流を抑えるからだ。

 何らかの原因で流れがとどこおったリンパ液は逆流して、リンパ管から組織へと戻ろうとする。

 これを圧迫することにより、組織の圧を高め、リンパ管内の圧力より高めることで逆流を防ぐ。

 逆流を防ぐことが第一歩。何が何でも圧迫、というのはこういうことである。


 圧迫にはやはり包帯が一番である。その方の脚の形状、状態に合わせた圧をかけることができるからだ。そのときどきの状態に合わせ、オーダーメイドの圧をかけるということである。

 一番基本的な包帯の巻き方について脚の場合を例にし、今から述べさせていただく。


 まず、保湿クリームをたっぷりと塗る(包帯が油分を吸ってしまうので、たっぷりと塗る)。

 ガーゼのような筒状の包帯を足先から脚の付け根まで着ける。

 指に包帯を巻く。

 綿わたの包帯を足の甲からひざ下まで巻く。(お肌の保護のため)

 ウレタン製のスポンジを足の甲からひざ下まで巻く。(お肌の保護のため・圧迫の効果もぐんと高まる)

 弾性包帯とよばれる伸張性の低い(あまり伸びない)包帯を巻く。(ここからやっと圧をかける包帯が始まる)

 一本目、二本目で足の甲からひざ下まで巻く。

 ※まだまだ終わらない。次は太ももの方に入る。

 膝から脚の付け根まで綿包帯を巻く。

 膝から脚の付け根までウレタン製のスポンジを巻く。

 白い、サラシのような大きい包帯を膝から脚の付け根まで巻く。

 三本目の包帯で膝から太ももの中ぐらいまで巻く。

 四本目の包帯でひざ下から脚の付け根まで巻く。

 圧バランスを整えながら、五本目を巻く。(だいたい、足首から太ももの中ぐらいで終わることが多い)


 患者さんはドン引きである。

 こ、こんなに巻くんですか……。と信じられない顔をされる。

 足はひとまわり大きく、普通の靴は当然履けない。大きめのクロックスか、介護用の靴を履かれる方が多い。

 何か問題があっては困るので写真は載せないが、書店でリンパ浮腫関連の本を見ると載っているだろうし、ネットでもリンパ浮腫・包帯と検索するとその姿が出てくるのでどうぞ皆さんもご覧あれ。


 ドン引きだろうと思う。

 まるで、ミイラのよう。

 どんな大怪我をしたんですか、と言う感じだ。


 当然、患者さんは次のような質問をされる。


『夏でも、まさかこれを巻くんですか?』


 巻いてほしいんです。できれば。

 このくそ暑い、湿気の多い殺人的な日本の夏に!


 無理である。私なら絶対、無理。


 それでも巻かれる方はいらっしゃる。

 クーラーをガンガンつけて夜間だけ、とか。本当になんて皆さんえらいのだろう、といつも思う。

 もちろん、夏バージョンとして綿わた包帯を抜いたりすることもあるが、それでも暑い。


 やはり患者さんの多くが夏は包帯を巻くのがつらく、浮腫は悪化される。

 状態を維持された患者さんなんて、本当に努力の賜物である。

 夏は悪化し、涼しくなるにつれて改善し……という一年をほとんどの患者さんは繰り返される。


 圧迫療法を始めた時期、というのはその後の経過におおいに関与する。

 暑い時期に開始された患者さんは、なかなか改善がむずかしい。当然である。

 冬期に開始された患者さんはやはりスムーズにいく。



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