リンパ浮腫 今と昔
リンパ浮腫が世に知られ始めたのは本当につい最近である。
この間は、たけ◯の本当は怖い家庭の医学、でちらりと取り上げられたことがあった。
NHKでは、以前からちょくちょくと出ていた。
それでもまだ日本には知らない方がほとんどだと思う。
だから一昔前の患者さんは、気の毒であった。
がんの手術で一命をとりとめたはいいが、その後なぜか腕や脚がむくんできて心配になり、病院の先生に聞いても。
「なんでかなあ? とりあえず、脚高くして寝ときなさい」
と言われるだけ。
それもそのはず。
昔の医学の教科書にはリンパについては数行しか書かれていなかったのだ。(現在は違う)
だから、医師にも原因が分からない。
浮腫はどんどんひどくなる。どうしたらいいか誰にも分からない。
心配になって病院に何回も行くも、手立ては何もない。
挙げ句の果てには
「命が助かったから、いいでしょ」
「(外聞が悪いから)もう来ないでください」
と言われる始末。
傷ついた、と患者さんが語ってくださるよくある昔話である。
『いくら命が助かったといっても、こんな身体で残りの人生送ることを考えたら……』
ぽつりと言われる患者さんもいらっしゃる。
昔の患者さんは放置され、びっくりするような重症になられる方が多くおられた。
インターネットでリンパ浮腫、と検索すると画像で出てくるのはそういう重症例の写真であり、患者さんは恐怖を持たれる方が多いが、今ではよほどほったらかしにしないかぎり、ああはならない。安心してほしい。
現在は重症の患者さんは本当に少なくなっている。
手術前には、リンパ浮腫になる可能性があるということをお話しし、術後は日常生活の注意点や簡単なセルフリンパドレナージを指導する(予防ではなく早期発見のために自分の身体を触る癖をつけるという意味で)ようになったからである。
早期発見される患者さんが増え、なんらかの処置を受けることができるようになったからである。
しかし、医療機関によってケアや指導のレベルはまちまちであり、一定の水準を満たさない医療機関も数多く存在する。
例えば、指導の点について例を出すと。
手術をした患者さんに発症予防の為に弾性着衣を着用させている病院もある。
以前にも話したが、リンパ浮腫とは予防できないものだ。
未発症の患者さんに、すでに発症されてる方が着用されるような弾性着衣を着用させることは無意味であるし、受ける必要のない苦痛を受けさせることになる。そうまでして、結局発症してしまったら、患者さんのショックははかりしれない。
未発症の方の場合、一般の方が履かれるメディキュッ◯やスリムウォー◯を、立ち仕事が多い日は履かれてもいいかもしれませんね、ぐらいの指導で十分である。
ケアの点では。
患者さんがリンパ浮腫を発症された場合、その方に弾性着衣を出すのみ、という対応が多くの病院が出来る関の山であろうか。
包帯を巻いたり、リンパドレナージをしたり、というところはまあ少ない。
そういうケアが必要な患者さんには、そういうケアを行っている医療機関を紹介したり、または自分で探してそこへ行ってくださいね、というのが大方の病院の対応である。
ちなみに私の治療院に患者さんを紹介してくださるドクターの九割は若いドクターである。(ありがとうございます)
大御所の先生からはまず来ない。
(やはり若い世代の先生が学んだ時分には、教科書にリンパ管のことがしっかりと載っていたからだろうか)
患者さんが自分で調べて、この治療院に行きたいので情報提供書を書いてください、と主治医に頼んでも断られることもよくある。
主治医の先生にとっては自分にはよくわからない療法を行う得体のしれない治療院を患者さんに紹介するのはやはり勇気が要るし、責任がある。
それを押し切って、今日中に書いてくださいね! 今すぐ行きたいから! と強く主治医の先生に言い切れるような患者さんしか私の治療院には来ないということになる。
だから来られた患者さんは当然ながら意志が強く、ご自身の目標というものをしっかりと明確に持っていらっしゃる。
そういう患者さんというのは改善が早く、セルフケアを早々に会得し、巣立っていかれる。(前回の話に戻る)……切ない。
ドクターの信頼を得るのは難しいが、改善例を重ね続けて報告を繰り返すしかやはり方法はないんだろうな。
とほほ。頑張ろうっと。




