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第十話:爺さんと異世界チンピラ紀行

まあこれもテンプレ展開。

「出来たぞ」


 そう言ってワシは二人の前に簡単な料理を出す。単なるフルーツサラダだ。


「こんなんで? こんなんなら毎日でも食べてたけど?」

「だが、父親がいなくなって、母親が働くようになると食べるのも減っとんたんじゃろ?」

「果物じゃ腹は膨れないからなあ」


 生活が苦しくなって食べてたのはパンが中心。そして野菜は全部子どもに食べさせていたという訳だ。なんとも世知辛いのう。


「ささ、食べなされ」

「いただきます……新鮮ですね」


 市場で買ってすぐに異空間収納に収めたからのう。中では時間が止まっとるらしい。


「この食事を続けとったら一ヶ月以内に大丈夫になるじゃろう」

「本当に? ありがとうございます!」

「嘘と思われたらいかんからの。どれ、この年寄りが様子を見てやるわい」


 やれやれ、これはフィリップ殿に言っておかねばならんの。何も言わずに別れるのも忍びないしのう。


「そういう事でしたらしばらく滞在しましょう」

「ふむ、急ぎの旅では無いのですかな?」

「実はこの街の統治者の貴族……メリッサ嬢の父君なのですが、その者に相談をもちかけられてましてね」

「そういう事かの。それではまあお世話になりっぱなしもいかんし、宿は安い所に」


 と思って宿屋の受付に言ったら「タダで良いから滞在して欲しい。他にも料理を教えてくれ」と言われてしもうた。やれやれじゃのう。


 その日からその子どもの家に日参する事になった。最初は寝込んでいた母親じゃったが日に日に良くなっとるのが分かる。


 五日ぐらい経った頃じゃろうか? 家の前に厳つい男たちがたむろしておった。


「オラ、金を返せ!」

「こっちは利息も溜まってんだぞ!」

「そんなの法外です。最初借りたのは金貨一枚だったのに……それがなんで五十枚にまで膨れ上がるんですか!?」

「借りた金には利子がつくんだよ。どうしてもってんなら器量良しのテメーの身体で払うか?」


 どうやら随分ときな臭い話になっとる様じゃな。


「あー、もしもし? ちょっとええかの?」

「なんだあ? ジジイは引っ込んでろ」

「話を聞いとると金貨一枚貸して法外な利息を取り立てようとしとるようじゃが?」

「ジジイには関係ねえだろ? それとも代わりに払ってくれんのか?」


 まあ金貨一枚くらいなら払っても良かろうが、ワシの稼いだ金ではないしのう。いや、向こうの世界で稼いだのを換算したのじゃから稼いだことにはなるのか。


「証文を見せてもろうたらの」

「証文だあ? そんなもの持ってる訳ねえだろ!」

「ほほう? ならば単なる無理強いという訳じゃな」

「てめぇ……」


 どうやらおこらせてしまったようじゃな。まあ仕方あるまい。女性をだまくらかして女衒の様な真似をされてはのう。


「おい、こいつを片付けるぞ」

「でも、そんなジジイを殺ったところでなんもねえじゃねえか」

「バカか? このままだと騒がれてまずい事になるだろうが。頭を使え!」


 了解とばかりに五人ほどがワシにつかみかかってきた。当然やる事はひとつじゃな。


「バリア」

「ぶふぅ!?」


 まともにバリアに突っ込んだチンピラ。なにが起こっとるんかわからんのじゃろう。辺りをキョロキョロしておる。


「何やってんだ!?」

「分かりません! 何故か壁にぶつかった様でして」

「壁だあ? なんもねえじゃねえか。昼間っから酒でも飲んでんのか?」


 カンカンになるリーダー格の男。今度はそいつ自らワシに攻撃をしてきた。


 ガキン!


 鈍い音がして攻撃が空中で止められた。


「そんなもの効かんと言うておるに」

「なんだ、お前は……」

「通りすがりの単なるジジイじゃよ」

「ちっ、覚えてろ!」


 そう言うと男は部下たちをまとめて去っていった。


「大丈夫かの?」

「ええ、私は。あなたこそ大丈夫なのですか?」

「これくらいはなんともない。それよりなんで金なんぞ借りたのじゃ?」


 話してくれたのは母親が父親の世話になってたとかいう奴が生活に困ってるだろうと利子も無しで貸してくれたそうな。確かに利子は取らないと約束していたのだが、いつの間にやら「期日に遅れた時は倍額払う」というものになっていたらしく、気付いた時には膨れ上がっていたそう。


 それでも一生懸命働いて返していたが、働けなくなって借金が膨れ上がったそうな。なんともえげつない話じゃて。


「そういう事ならまずそっちからじゃの。お前さんらは気にせずちゃんとした食事をとっとれ」


 どうもこの街には悪意が強い人間が多そうじゃからなあ。メリッサ嬢では貫目が足りんのかもしれん。そうなれば割を食うのはワシみたいな一般市民じゃからなあ。この老いぼれに何が出来るかは分からんが悪党退治くらいはしてみようかの。


 そう思ってワシは奴らが去った方向に歩き出したのじゃ。

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