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【神世界転生譚】 リセットしたいとは言ったけど、こうじゃないだろ?!神になるとか聞いてない!  作者: Resetter
第一章 : テイルヘイム編

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1.30話 心境の変化?

https://47211.mitemin.net/i968106/

リアル風抜刀時

 ……身体痛ぇ!


 と、感じて、起き上がろうとするも、上手く動けない。瞼は開けたのだが……視界はボヤけている。

 目を擦りたいが、腕すら動かせない。とにかく全身が、物凄く痛い。

 特に……背面が痛い。


 なんでだ……??


 徐々に視界が鮮明になって来ると、黒い石の天井が見えてきた。


 あー、館……だな。


 どうやら背中の痛みは、固い石の上に寝かされてるからっぽいな。全くもって弾力性の無い感触が、背中から伝わってくる。


 んー。多分、神狐の間だ、これ。


 おそらく、神力切れだな……。

 うん。少しずつ、状況が理解出来てきた。


 首もあんまり動かせないようで、仕方なく、目線のみで右手側を見る。


「……フウカ?」


 絞る様に出した声は、カスカスで、変声期より酷い声だった。


「……む?レイ殿!目覚めたかえ!」


「ご主人様!」


 左手側から、お師匠さんの声もした。


「……あー……オレ、どう……なってんの?これ……。動け……ないんだけど……」


「覚えておられませんか?神力枯渇で、倒れられたのです。」


「……やっぱそうか。」


 オレの問いに対し、お師匠さんとフウカは、出来る限りの説明をしてくれた。


 なんでも、獅子人との戦いの時、オレは「ムカついた」と言って、神能を全力で使ったようだ。その辺りまでは、薄ら憶えてるが……そこまでだ。


 どうやら、神能を全力で使った結果……神狐の民全員(お師匠さん、ルビィ含む)は、概ね一、二時間程前の状態と場所に戻り、大猫族は、その殆どが子供か赤子に戻ったとの事。大猫の長とかいう獅子人は、胎児の状態だったらしい。マジか。

 リセット……エグいなー。思ってたよりヤバい能力なのかも。


 で、オレは、その獅子人の爪を受けてなのか、現地で倒れていたそうな。神力も枯渇してて、危篤だったらしい。


 更には、


「あれから、一月(ひとつき)も寝ておられたのです。」


 という事みたいだ。


 神狐の間の、例の石の上に一ヶ月……。そりゃ、背中も痛いわなぁ。


「目覚めたのであれば、じき起き上がれようえ。

 此度の事、誠に感謝致すえ。」


「いや、普通にアイツ、ムカつく奴だったからさ……。」


「ご主人様。お護り出来ず、申し訳御座いませんでした……。」


「いやいや、お師匠さん、強かったじゃない。ちゃんと護ってくれてたしさ。ありがとうね。」


「そんな……。」


 お師匠さんは、それきり俯いて黙ってしまった。

 最後のは、オレが勝手にやった事なんだから、気にしなくていいのにな。


「ルビィとリンコは?」


「今はいつもの様に、修行の時間でございます。」


「無事ならいいんだ。

 あ、そうだ。大猫族は、どうしたんだ?」


「子供になった者達は、自ずから住処へ帰ったぞえ。

 赤子は、こなたらが面倒をみておるぞえ。」


「そうなのか……。そんなんでいいのか?」


「問題無いえ。クコの森は、恵が豊富ぞえ。それに、こなたらには、実質的に被害は()()()()()()()()()故な。」


 それは、心が広いでございますな。まぁ、当人達がいいならいいさ……。



 ――


 翌日。


 治癒を使えるくらいに回復したので、やっと起き上がる事が出来た。


 神力が回復したら、身体的なリハビリが要らないとは、便利な身体である。

 前世で二ヶ月入院した時は、その後のリハビリが大変だったもんなぁ……。


 そういえば、火の山で倒れた時は、その原因になった時の夢見たな。

 今回は、夢すら無かったけど……。何でだろ。


 うーん……。

 まぁ、考えても分かんないから、いいか。


 そんな事より、朝食だな!


 今日のメニューは何だろなー!と、神狐の間を出た所で、


「ご主人様!もう歩かれて平気なのですか!」


 おそらく様子を見に来たのであろうお師匠さんと出くわした。


「おはよう!お師匠さん。もう大丈夫みたい。心配かけてごめんね。」


「いえ……そんな。」


「食堂行こうかー!てか、皆は?」


「皆様は、集まられておられるかと……。」


「お、じゃあ、早く行かないとだなー。

 てか、そういえば、オレの分、あるかな……?」


 うーむ。

 食堂行くのも久しぶりなわけだし?用意されてない可能性が濃厚だなぁー。濃厚なのは、ラーメンスープだけにして欲しいが。ま、無かったら、何か作ろうかな。


「ご主人様……。お願いがございます。」


「ん?なに?」


 振り返ると、普段からあまり表情の変わらないお師匠さんが、やたらと神妙な面持ちをしていた。


 思えば、お願いなんかされた事無いな……。な、何だろう……。あんな思い詰めた感じで言わないといけないような事なのか……。

 そういえば、お師匠さんって言っても、今日は何も言わなかったぞ……?こ、これ、よっぽどの事なんじゃないのか?!

 オレで叶えられる事だといいけど……。大丈夫かなぁ……。


 内心、戦々恐々としつつ、次の言葉を待つ。

 その僅かな時間が、永遠かの様に感じてしまう。


 そして、少し間を置いて……消え入る様な声で紡がれた言葉は、


「私に……名を、お授け頂けませんか……。」


 という事だった。

 ……おおう。拍子抜けだ。


「……え?何?そんな事?!

 勿論いいよ。改まって言うから、もっと凄いお願いかと思ったよー。」


 何だよー。そんな事かぁー。ビビらせてくれちゃってぇ。はぁー、吃驚したぜー。


 てか、実は前々から名前の候補、色々考えてたりしたんだよなぁー。漸く、その気になってくれたのね。


 よーし!じゃあ、まぁ、朝食はまた明日だなー。


「じゃあさ、神狐の間、戻ろうか。

 実はもう考えてあったからさ!」


「え……?あ、はい。」


 ――


 神狐の間、石台の前。フウカに名前を付けた時の様に、鬼の少女が目の前で片膝をついている。


 ずっと拒んでいた、名前を付けるという話を、何で急に受けたのか……。よく分からないが、気が変わらない内に済ませてしまおう。

 そう考えて、朝食を諦め、儀式をしてしまう事にした。


「よし!では!始めます!」


「はい。」


「この者に、闇御津羽天弥媛神クラミツハアマネヒメノカミの名を与える!」


 この少女の名前を考える時、ソールフレイヤ様が、オレにやたら長い名前を与えた理由が、ちょっと分かった気がしたんだよな。

 意味や願いを込めると、長くなるわなー。

 酷い女神なのかと、ちょっと思ってたけど、そうでも無いのかもな。


「おぉ、きたきた。」


 目の前の可憐な少女は、宣誓と同時に淡く輝きだす。

 その輝きは、白、黒、碧、翠、黄、紫……と、様々な色彩の粒となり、螺旋を描き立ち昇りながら、徐々に光度を増していく。

 光度が増すに比例して、力が抜けていく感覚に全身が支配されていく――


 フウカの時よりイルミネーションが派手だ。いきなりぶっ倒れなくて良かったー……。

 と、思いつつも……光が少女に吸収される様にして収束する頃には、やはりオレは立っていられなかった……。


ありがとうございました! 少しでもご興味いただけた、ちょっとは応援してやってもいいかなというお優しい皆様!☆評価☆やブクマ、是非よろしくお願いします!

https://book1.adouzi.eu.org/n0039hp/

心境の変化に到った経緯は↑こちら!

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