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【神世界転生譚】 リセットしたいとは言ったけど、こうじゃないだろ?!神になるとか聞いてない!  作者: Resetter
第三章

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121. 性別不詳なら中性的なのがたぶんいい。




 ――ピキピキッ!


 白かった卵が、強烈な光を発したなって思ったら、何やら割れてるような音がした。


 これ、意外と早く孵化したのか?!

 


 つっても……眩しすぎてっ! 目がァー! 目がァー!

 

 くっ?! 卵抱えてるから目が塞げねぇっ!?


 

 「ご主人様……!」


 どうやら光を防ごうとしたんだろうな。パシャっという水音。そんで、プニョンとした感触が、オレの顔に……?!

 


 ちょ……アマネってば、どこで目ぇ塞いでんのよ!?


 ソレはよくないだろ!? 仮にも、うら若き美少女がだよ?! 実年齢はまぁ……だけどさ!! そりゃ控えめな大きさだけど!! ちゃんと柔らかいしさ!! 弾力もあるんだよっ!! ああああもうっ!!



 と、内心焦ってる間にも、卵からはパキパキと剥がれていくような音が続いている。



 そして。


 


 「キュアアーー!!」



 閃光の中から聞こえた……たぶんコレ、産声よな……。



 「ご主人様……これは……」


 「お、おお……」


 アマネの控えめな双丘に顔を挟まれたオレ。そんなオレの、これまた控えめな双丘に挟まれた、何だか変な感触の……なにか。


 どんな状況やねん。


 くっ?! 目が見えねぇってのが不便なのは神も人間も変わんねぇな!


 ……いや、オレがまだまだ未熟なのか。神力の流れだけで色々把握出来る……んだよなぁ、神族はさ。


 

 「ミュイー?」


 む? どうやら動いたぞ? 首を傾げているのか?



 「ご主人様! 動いています!」


 「えっ? うん……ソウネ……」


 珍しく。本当に珍しく。アマネが焦ったような声を出した。やっぱ、竜族嫌いなんだろうかな?



 てかまぁ、そろそろ目も慣れてきたぜ!


 というわけで、なんとか薄目を開けてみると。

 


 相変わらず微妙に光ってやがるソイツは、白い小さな竜だった。


 そんで、瞳と鬣っぽいのが、紫っぽかった。


 なんでだろ。真っ白って話じゃなかったっけ? 白の一族の長、ちゃんと漂白したって言ってたような?



 「ミッ? ……ミィ!」


 「いっ……たくはないか」


 

 何やら、チビ竜。軽く齧りついてきてた。


 いや……オレ、母乳とかでないぞ? じゃれついてきてるのか? ついクセで痛っとか言っちゃうけど、痛くはないんよなー。


 とはいえ、このままガジガジされてんのもなー。ちょっとなー。


 「ご主人様、この竜族……神力が混ざっているような……」


 「ふぇ? なんて?!」



 

―――― 

―― 


 

 

 「ミィー」


 「ふぅむ……。こなたも竜族についてなど、あまり知識も持ち合わせてはおらぬえ……。しかして、感じる神力はレイ殿と同じものと……アマネ殿のものが少し混ざっておるように感じるえのう……」


 とりあえず、あの後――服を着て、チビ竜をフウカに見せにきた。


 

 フウカは顎に手を当てながらマジマジとチビ竜を見ている。


 そんな仕草ですら、やたらと色っぽいんだよなぁ、このエロ狐……。いや、神力修行の先生ではあるんだけどさ。


 

 「先ほどアマネ殿も卵に触れたと言っておったえ。おそらく、それであろうえ。いずれはこの竜のものとして統合されよう。見たところ、不都合は今のところ感じぬぞえ」


 ふむ? フウカ先生的には問題なし、と。


 まぁ……じゃあいいのかなぁ。アマネの神力の影響で、真っ白じゃないってことね。


 


 「私の神力とご主人様の神力が……そ、それって……」


 なんだか、アマネが目を丸くしながら、頬を赤く染めているようだなぁ。珍しい顔だわ。


 いや、今後はこうやって色んな表情をするのが普通になるんかなぁー。それはそれでいいことだなー。


 

 「して、どうするのかえ? この竜に名付けでもするのかえ?」


 「ミュ?」


 おおん? そうか。名前かぁー。いるっちゃいるかぁー。


 ううむ。


 ペットの名前ってそういえば考えたことないな。ルビィはルビーってのをちょっと変えただけだしなー。



 「名前いるかな?」


 「こやつをどのように扱うかであろうえ。白の長の言うように、味方とするならば、このままでは……あっさり冥界であろうえ」


 「そ、そっか」


 まぁ、そうよなー。生まれたてだし、感じる力もまぁ……知れてるもんな。


 この前戦った二体の竜族ほどの威圧感は感じない。


 竜族と戦うのに連れていけば……うーん。ダメだろうな。



 「ミュー! ミュー! クェー!」


 チビ竜は、何だか訴えかけているように、ぴょんぴょん跳ねたり、てしてし前足を地面に打ち付けている。


 ふむ。鬣しかないし、もふみが足りないが……これはこれで悪くないかも知れんなぁ。



 「ご主人様。名付けをされるのですか……?」


 「うーん。まぁ、考えるかな―。アッサリ逝かれてもだしさー」


 「そう……ですね……」


 アマネはなんだか歯切れが悪かった。やっぱ、竜族嫌いなんかねぇ?


 

 ってか、そういえば、コイツはオスなのかメスなのか……? しまった。ドラゴン娘に、そのあたりのこと聞いておけばよかった!


 と、とりあえずどっちでもいいの考えるか……?



 じーっとチビ竜を見る。


 わりとイメージ通りの子竜だな。背中に小さい羽。トカゲみたいな顔。硬そうな鱗。


 でも、頭から首にかけて馬の鬣みたいなのがある。黒紫で、艶やかだ。瞳孔が縦長で、爬虫類っぽくはあるが、黒のような濃い紫の瞳もよくよくみれば多色に輝いているようで、白い鱗にマッチしてて、わりとカッコいいかも知れん。


 なんだっけ? なんかそんな黒だけど透かすと多色な希少石、あったな……。



 ふと思い出して、神スマホを取り出す。


 ぽちぽち検索すると……


 ふむふむ……

 

 おお、この語源、いいなー! これにすっか。


 ちょうど竜って言ったら洋風だしな。なんか横文字っぽいのがいいだろ。



 「ミュ?」


 何かを察したのか、チビ竜が首を傾げていた。


 そっと、掌を頭の上に置く。


 「ミュー……」


 撫でられてるとでも思ってるのか、スリスリしてきよる。


 ふむ。硬い。



 「決めたのかえ?」


 「おお。決めた。……この者に、セレンディピティの名を与える!」

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