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【神世界転生譚】 リセットしたいとは言ったけど、こうじゃないだろ?!神になるとか聞いてない!  作者: Resetter
第三章

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水晶の竜



 水晶谷は、文字通り水晶の谷だった。


 チカチカと網膜を淡く焦がす反射光のシャワーの中を進むと、時折洞窟のように抉れた空間があり、その中にはさっきの白い竜によく似た感じのデカイのが、まぁ……寝てる。


 てか、多分そんな感じのを10匹くらいは見た気がするが、全部寝てた。


 どういうこった? お昼寝の時間か? 保育園かなにかか? ここは。


 いやいや、白の一族の住処なんでしょうよ。そうやって聞いてきたぜ?


 あ、まさか、夜行性か? 今は普通に人間でいうところの深夜なお時間帯ですかね?


 そりゃ大変失礼なタイミングでお邪魔してしまった……のか?


 いや、単に眠りのスパンが長ーい可能性もあるな。


 そういえば、食事も100~200年単位みたいに聞いたわ。


 そうであれば、睡眠もそういう可能性があるよなぁ。


 もしそうなら、さっきの喋ってたやつ、起こしちゃった感じなんだろうか。そうだったら悪いことしたな。


 そんで、まぁ、そりゃわざわざ案内してくれるわけもないわな。


 と、まぁ全部仮説でしかないのだが……


 警戒を完全に解いているわけではないが、普通に歩いててもトラブルひとつない。


 いや、なくていいんだわ。なくていい。


 あるのが前提の前世だったし、今生もその傾向が強いからって染まってはダメだ!


 オレが目指してんのは平和で平穏で平凡なライフなんだから!


トラブルとかなくていいんだ!


 「レイ殿や。」


 「ん?」


不意にフウカに話しかけられた。このお方も"オレの心にトラブルを"。が、キャッチコピーかと疑わしきところあるからなぁ……。


 「これまで見た白い竜族は、みな寝ておるえのう。」


と、少し疑っていたが、普通の話だった。そうそう。わりと真面目なんだよな。族長だしな。


 「そうだなぁ。寝てるなぁ。あ、そうだフウカ。先代と戦ったっていう竜族の色って覚えてるか?」


 「……ああ、色かえ。確か、禍々しい……赤黒い色だったように思うぞえ。」


 ふぅむ。この前対峙して退治したのもそんな感じの色だったなぁ。


 「フィーネ。今まで戦った竜族って、白いのいたか?」


 「あらぁ~~ん? ワタシとお話したいのかしらぁ~~ん? ぐふふふぅ~~!」


 いや、ちがうぞ。聞きたいことがあるんだ。決して話したくはない。ああ。話したくはないんだ。その顔やめろっ!


 「もぉ~~ん! なぁに~~? そのか~おっ! ツンツンしちゃうわよ~~ん?」


 コイツ、懲りねぇなぁ……


 と、思った瞬間には当然のように、アマネが動いていた。


 「ひょっ?! ちょちょちょちょちょっとぉ?! やめてやめて~~~ん?!」


黒刃をフィーネの喉元に突きつけるアマネである。いつものように速すぎて見えないんだよなぁ、一連の動作。


 「……ご主人様に近づかないでくださいませ。」


 アマネは容赦ないんだから、そろそろ覚えたらいいのに……


 あ、覚えれねぇのかな……? まぁそうかもなぁ……こんな調子だもんなぁ。


 「しっ……白いのは初めてみたわぁ~~ん! ほらぁ、答えたわよう~~?! 下ろしてそれぇ~~ん!」


 ポンポンと軽く頭を叩くと、アマネはふいっと刀を仕舞う。少し満足そうな表情である。やり切った! みたいな感じだろうかね。


 ふむ。しかし、竜族と戦い続けてたってフィーネが知らないとは、白の一族は珍しいのかな。


 それとも、襲いに来ないのか……? だが、そんなことあり得るのだろうか?


 だとすれば、どうやって生き永らえているのかって話になるが……


 まさか、食わなくてもいける系なのか?


 「客トハ……珍シイ……」


 ん?


 声が頭の中に響いた気がした。キョロキョロと辺りを見回すが、オレたちと水晶の壁くらいしか目につかない。


 いや、少し離れた背後には、寝ていた白い竜がたくさんいたはいたが……


 「我ニ……何カ用カ……?」


 やっぱりめっちゃ聴こえるな……? こりゃ気のせいじゃないぞ。


 「えっと、どこだ? 一応用は用だし、話せるようだし話したいが……」


 と、口に出してみつつ、周りを再び見回してみるも……やっぱり分からない。まさか、フウカの術みたいな感じか?


 「何ヲ言ウカ……ココニ居ロウガ。上ヲ見ルガ良イ」


上……?


壁しかなかった気がするけどなぁー……と、思いつつも、言われた通りに上を向くと……


「おお……? なんだこりゃ……」


「ご主人様……。これは……」


「なんと……!」 「ニャッ?! アレが喋ったのかニャ!?」


「わー! きれーだねー!」


「こんな竜族いたかしらぁ〜〜ん?」


そこは、水晶の壁かと思いきや。


水晶っぽい竜とでも言うべきか……竜っぽい水晶というべきか。


巨大な輝く水晶竜がいた……というかあった。かなり鉱物っぽい感じだが、動けるんだろうか?


さすがに皆驚きの声を上げている。


「敵意ハ……無イ様ダガ……何用カ?」


そして、水晶っぽい竜。どっからどう声を出してんだか知らんが、とても響きよる。頭に。


「いや、神狐の郷って知ってるか? そこが、赤っぽい竜族に襲われたんだよ。まぁ、話せる感じでもないから退治したんだけどさ。こっちとしては、あんまり殺し合いみたいなのは好きでもないし避けたいんだ。で、空の浮島に来てみたら、緑っぽい竜族に襲われたんだよな。」


「ホウ……シテ、竜ハドウシタ」


「ああ、それなら、コレだ。」


卵を取り出して見せる。


「……? ドウイウ事ダ? ソレニ襲ワレタノカ?」


「ああ、襲われたから、襲えないようにしたんだ。卵に戻した。」


あんまり能力については話したくはないんだがなぁ……。仕方ないよな。


「コレハ異ナ事ヲ……。ソノ様ナチカラヲ持ツト言ウカ……」


「まぁ、そうだな。そういう能力がある。で、その緑っぽい竜族がさ、白の一族がどうとか言っててさ。敵対してるっぽかったから、ここに来てみたんだ。話でもできないかなって思ってね。」


しかし、話はしたいんだが、遥か上を見上げっぱなしはキツイな、首が。オレはお子様サイズなんだからよ。もうちょい目線をだな……合わせてくれまいか、とちょっと思う。


ほら、おもちゃ売り場みたいにさ、子供の目の前に売りたいモノ置く的なさ!


「ソウカ……」


水晶竜はそう言ったきり、しばし沈黙した。


ちょっと溜めすぎじゃないか? ミリ〇ネアのみ〇もんたじゃねんだからさぁ、早くなんか言ってくれよなぁー。


「ム……。スマヌ。ソノ、戻ス能力ヲ……我ニ使ッテクレヌカ。動ケヌヨウニナッテオル。」


ふぇ? やっと喋ったと思ったら、ソレ?! ま、まぁいいけど……。


仕方がないので、リクエスト通りに……


と、水晶に歩み寄って、ひたりと手を触れる。


あー。なるほど……。


頭の中に流れ込む過去映像。中々のボリューム感ではあるが……ひたすらに長いだけで、あまり出来事的なものはないな……。


とにかく探りに探りまくって、コイツが動いていたっぽい辺りを見つけだして……神力を流して、リセット!


「オオ……?!」


カッと光に包まれた小山程もありそうな水晶竜は、光が収まったころには……


「ウム。すまぬな。」


わりと普通に話せる感じの、透明感すごい白い竜になり。


さらに……


「しばし待たれよ……」


パッと光り出したなーと思ったら。


「ヨシ。コレで話し易かろう。」


ドラゴン娘とでもいうのかな。背中に羽の生えた、太いしっぽと角を持つ、ウェイビー白髪ロングヘアな、全裸のお姉さんになっていましたとさ。


お前もかよ!!

お読みいただけまして、ありがとうございました!

今回のお話はいかがでしたか?


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また、連載のモチベーション維持向上に直結いたしますので、すぐ下にあります☆☆☆☆☆や、リアクションもお願いいたします!


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