神スマホ新機能!
神鳥フィーネの騒々しさで、竜族に見つかってしまったわけだが。皆の連携で竜族の翼を落とし、拘束することに成功した。
そこでオレは対話を試みようと思い立ったわけなんだが。
「なぁ。竜族さん。」
「グ……グオオ……」
「言葉は分かるかい?」
「グゥオオ……」
竜族は、アマネの重力から逃れようともがくばかりで、こちらを見ようともしなかった。
ううむ。難しいか……? 対話……。
「もぉ~~う! 無駄だってばぁ~~! 竜族なんて……」
「フウカ。」
「うむ。静夢幻……」
「はぁ~~~い! だまりまぁ~~~す!」
その黙りますが既にうるせぇんだっての。他の竜族がどんどんきたらどうすんだよ。脳筋騒音焼鳥め。お前は死んでも復活できるかもだが、オレたちは違うんだぞ。冥土の旅編始まるっつーの。
まぁいいや。とりあえずは竜族だ。手早く済まそう。
どうもグオオしか言わないっぽいが、言葉が通じないのは想定済みだ! そんな時のためのコレ!
てってれー!
神スマホ~~。
ん? 今までと同じじゃないかって?
ふっ。侮るなかれ。これは今までの神スマホにあらず。ちゃんと新アプリ的なものを入れてもらったのさ!
その名もGod's翻訳だ! 音声からもレンズからもテキスト入力からも翻訳出来ちゃうスグレモノさっ! まぁ、別に名前は特にないけどな。翻訳としか書いてない。それも日本語である。
うん。まぁ、テキスト……というか、文字……この世界では今のとこ見たことないんだよな……。
とりあえずテイルヘイムの獣族は文字どころか服すらないし。
アースガルズでは、文字あったのかもだが、傭兵だったオレには無縁だったから真相はわからんが……戦って死ねってだけの教義で支配された星だ。文字なんかない方が都合よさそうではあるんだよなぁ。
多分、どっかの星には文字使ってるところもあるんだろけどさ。
まぁ、それはさておき。早速翻訳アプリに活躍してもらいましょ。
「オレはレイリィ。一応神族だ。竜族さんよ、名前はあるのかい?」
『シンゾク、ガ……ナゼイル』
お、わかるぞ! すげぇな。ちゃんと会話が耳に届くぜ。さすが創造の女神様だなぁ。
「ちょっと交渉というか、対話? 出来ないかなと思ってね。」
『カエレ……』
「なぁ、子供生まれたりとかしたのか?」
『カエレ……イルナラ……クワセロ……』
おおっと? 言葉は分かるようだが、会話が成立しないぞ?
「オレは子供が生まれたかって聞いてんだが……まさか、意味通じてないか?」
『クワ……クワセロ……シンゾク……』
いや、食欲すげぇな!? 肉体的なものもあって神力の塊でもある神族とか、絶好の餌って感じかねぇ……?
「ご主人様。」
「ん?」
竜族縛り中のアマネが声を上げた。疲れたのかな。
「聞くに堪えません。処分しましょう。」
違った。いつもの物騒なやつだったわ。
「ボスー。これ、たべていい?」
「いや、ルビィだめだぞ、これは食えないんだ。フウカが言ってただろ?」
「そうぞうえ。」
「ええー。」
ルビィ、オレのドラゴンステーキの話だけ覚えてたんだろうか……? 危険物は食ってはいかんぞ。
「んニャ! フウカ様のアレがいいかもニャ!」
ウィトがなにやら閃いたらしい。
フウカのアレとは……? 郷で訓練してた時になにかあったのか?
「ふむ。なれば……アマネ殿。縛りを解いてもらえるかえ。して、ウィトや。解け次第"波"ぞえ。」
「はい。」 「はいニャ!」
フウカには伝わったようで、何かする気である。まぁ、このままでも埒が明かんし、お任せしてみるかねぇ。
「呀音!」 「静夢幻……弐の型・夢現」
アマネの重力が解けた瞬間、ウィトの波の能力で再度竜族の感覚を狂わせると……フウカの持つ薙刀が妖しく仄かに光った。
『グオオ……ワレ……シンゾク……クッタ……ウマイ……』
「おお?! どうしたこれ?!」
「夢を見せておるのえ。こやつに都合のよい夢をの。」
へー。それが弐の型ね。ふーん……。
こわっ。……オレに使わないでね?
という気持ちを込めてフウカを見ると、にこぉーっと蠱惑的で煽情的な笑顔であった。
よし。オレ帰りたい!
『グオオ……コレデ……ワレモ……ヤツラニ……カテル……』
おん? なんか勝手に語りだしてるなぁ……。どうやら夢の世界が進行中のようだ。
「やつらって?」
『シロノ……イチゾクニ……キマットロウガ……』
シロノイチゾク……白の一族? 竜族にも派閥的なモンがあんのか? 生態がまるで謎なんだよなぁ。なんで誰も興味ないのよ、こんな危ないやつらにさ。神族的には自分たちに害がなければどうでもいいって感じなんかねぇ。
……まぁ、気持ちは分からんでもない。
オレも平和な日本出身だ。遠い異国の戦争とかみたいな自身に関わりのない事になんて、そんなに真剣に考える事なんかなかったしな。
人間が思う神だなんだという存在も、ただ人間の理想を押し付けた姿でしかないんだろうしな。神族に大々的に仕掛けでもしない限りは、竜族なんかにわざわざ何かするってこともなかったのかもなぁ。
……はぁ。
ま、オレはオレに出来ることをして。オレの理想の生活を手に入れないとだしな。ちゃんと聞くこと聞きますかね。術も効いてるようだしさ。
「白の一族ってなんだ?」
『……イマイマシイ……ワレラガ……テキ……ダロウガ……』
忌々しい我らが敵? 竜族同士で敵ってか。ふーん。ガチの争いなのか、冷戦みたいなもんか分からんが、敵……ね。
「んで、白の一族ってのはどこにいるんだ?」
『……ナンダ……ソンナコトモワスレタノカ……スイショウ……タニ……ダロウ……』
竜族は段々と呂律が回らなくなってきたのか、少し翻訳しずらくなってきていた。眠りが深くなってきたんだろうか。
「それ、どのへんだっけ?」
『……ヤマ……アイ……グオオ……』
む。このグオオはイビキ的なやつか。鳴き声もだが、イビキもグオオなのね。
さて。
まぁ、対話は無理だと分かったが。竜族にも派閥があるという事らしい。白の一族とか言っていたな。神狐の郷を襲いに来たのは赤色っぽい竜族だった。で、こいつは緑っぽい色だ。
赤っぽい奴らと緑っぽい奴らは、敵性と見ていいだろう。で、そいつらと敵対しているかもしれない、白の一族。敵の敵は味方理論がもしかしたら通用するかもしれない。行ってみるのはアリだろうな。闇雲にこのまま暴れるよりは、よっぽどいいだろう。
つっても、場所のヒントが少ないな。スイショウ、タニ、ヤマ、アイ。
水晶谷、山間、何だろうが……それってどこだよ。
周囲を見渡してみるが、ここはちょうど見つかりにくい地点である。当然、目の前の小山が邪魔をして、全景を拝むことは出来ない。
あ、そうだわ。ひとまず便利道具設置しなきゃな。
「ちょっとオレ、道具設置すっからさ。みんな警戒たのむわ。静かにな。」
「かしこまりました。」 「任せるぞえ。」 「はーい!」 「はいニャ!」
「んも~~う! そぉ~んなにワタシを求めちゃってるのねぇ~~ん? しかたないわねぇ~~!」
ああ、うるせえのがいるわ……。
「ああ~~ん?! だまるっ!! だまるわぁん!? それしまってぇ~~ん?!」
アマネが無言でフィーネの喉元に刀を突きつけていた。だから、その黙るがうるせえんだっての!
と、ちょっとうんざりではあるが、とりあえずオレは道具設置を急ぐことにした。
水晶谷ねぇ。まぁ、この空の浮島、かなり美しい風景だったし、クリスタルな山があっても不思議はないよなぁ。
これ終わったら、コソコソっと探すかね。
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