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現実世界に現れたガチャに給料全部つぎ込んだら引くほど無双に  作者: ARATA
第六章 グレートブリテン王国・ドラゴン編

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第81話  人ならざる者

 俺がカルロに声を掛けた直後、上空を覆い尽くしていたワイバーンに万の(いかづち)が降り注ぐ!! 空は稲妻で埋め尽くされ、数千はいたであろうワイバーンが次々と地上に落ちていった。


 目を開けられないほどの光と轟音が辺りを支配する。


 身をかがめ、なんとか目を開けて辺りを確認すると地面に落ちて動かなくなったワイバーンの死体が散乱していた。



 「どうなったんだ!?」



 隣でルカが戸惑っていた。辺りを見回して仲間の無事を確認する。空にいるフレイヤも大丈夫そうだ。そして――‥‥



 「五条?」


 

 他のメンバーは身をかがめているのに五条だけは杖を持って立っていた。今のは五条が使った魔法なのか‥‥‥? だとしたら、ここまでの広範囲魔法は見たことがないぞ。


 まだ数十体残っていた地上のドラゴンに向かって五条は杖をかかげた。



 「雷炎!!」



 赤い稲妻がドラゴンに襲い掛かる! 雷撃を受けたあと激しく燃え上がり、ドラゴンはそのまま絶命した。‥‥‥あれが複合魔法か‥‥。


 瓦礫の中に潜んでいたドラゴン三体が五条に向かって走っていく! 魔導士は接近戦に弱い。「危ない!」と声を上げたが‥‥‥。ドラゴンは五条に近づいた瞬間、()()()吹っ飛んでいった。



 「なんだ? 何をしたんだ!?」



 ルカが困惑した表情で五条を見ている。



 「速すぎて見にくかったが‥‥‥素手で殴ったぞ」


 「素手で!?」



 俺の言葉でルカはさらに困惑したようだ。吹っ飛んだドラゴンはピクリとも動かなくなっている。



 「おいレオ! 何かおかしいぞ」


 「ああ、五条が使ったのは“気功武術”だ。王が言っていたが、本当に“モンク”の職業を持っているらしい‥‥‥」


 「そんなはずない! 大魔導士は魔法使いの上級職だ。モンクは武道家と僧侶の上級職、両方の職業になったなら職業スキルは5を超えているはずだ!!」



 ルカの言う通りだ。我々のように特殊な武器を持っているなら話は別だが、五条はそんな物持っていないだろう。 


 しかも“複合魔術”と“気功武術”は高度な職業スキルと言われている。この二つをまともに使える異能者は、ほとんど見たことがない‥‥‥。



 「ルカ‥‥‥グレスを連れてこい」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




 「ひょえ~アレだけいたワイバーンを倒すなんて‥‥五条は本当に強いんだな」



 ドラゴンが片付いたところでカルロが話しかけてきた。



 「当然だな。五条ならこれくらいできても不思議はない! それにしても五条、攻撃魔法も使えたのか? なぜ言わない」



 確かに王の前で攻撃魔法を使ったことは無かったな‥‥‥それにしても、なぜ王は自慢げなんだ?



 「いやいや、“魔法使い”なんだから攻撃魔法使えるの当たり前でしょ」


 「五条は”モンク”だ! 魔法使いはサブ的な職業だろう」


 「そんなわけないっしょ!」



 カルロと王のかみ合わない会話はなんなんだろうか‥‥‥まあ説明してない俺のせいなんだが‥‥‥。


 他のメンバーと合流しようとするとレオやルカの姿が見えなかった。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




 「連れてきたぞ! レオ」



 俺の前に来たグレスは、どこかオドオドした様子だった。



 「レオの旦那、何か用ですか‥‥?」


 「五条についてだ。なぜ嘘を言った?」


 「お、俺は何も‥‥」


 「しらばっくれんな!!」



 ルカがグレスの胸ぐらを掴んで上に持ち上げた! グレスは足をバタつかせて苦しんでる。



 「苦じい‥‥違うんだ‥‥」


 「五条は半端な強さじゃなかった! 最初から分かってたら戦略だって変わったかもしれないんだぞ!」



 ルカは頭に血がのぼってるようだ。俺がやめるように言うとグレスを下に降ろしたが、掴んだ手は放そうとしなかった。



 「あいつは‥‥五条は強すぎるんだ!! 異常なほどステータス値が高いんだ!」


 「能力が高いだけなら、むしろいいだろう! 何故言わなかった!? 何を隠してるんだ!!」



 ルカは再び胸ぐらを締め上げた。苦しそうにグレスが声を絞り出す。



 「本当のことを言えば、レオの旦那は五条と戦おうとする。そうなれば必ず殺される!」


 「なぜ俺が五条と戦うんだ? 戦う理由が無いだろう!」


 「俺は今まで、()()()()‥‥あんな異常なステータスを見たことがある‥‥五条は()()を超えてるんだ!!」 



 一瞬、グレスが何を言っているのか分からなかった‥‥‥二度? アンゴラとグリーン・ランドの“統率者”のことか?‥‥‥だとしたら‥‥‥その意味が分かった時、背筋が凍り付くのを感じた。



 「まさか‥‥‥“統率者”‥‥‥人型の“統率者”か!?」



 三人とも沈黙した。人型の“統率者”の可能性は以前から言われていた。人と同じ知能を持ち、人と同じ姿をしている。そんな“統率者”が本当にいたならドラゴンを遥かに超える脅威になる。



 「グレス‥‥お前は確信してるのか?」


 「それ以外で、あんな異常な強さになる理由が思い付かない‥‥‥あいつは人間の外側にいる‥‥‥化物だ!!」



 ルカが間に入ってきた。



 「だけど、そうと決まった訳じゃないだろ? 実際、五条は俺たちを助けてくれてるんだ。味方の可能性の方が高いんじゃないのか!?」



 ルカの言うことはもっともだ。しかし‥‥‥



 「ここは敵地のど真ん中だ。俺たちに取れる選択肢は二つしかない‥‥討伐を中止して五条を相手にするか、五条を仲間と信じて作戦を続行するかだ」



 五条が“統率者”だとしたらなんらかの目的を持って俺たちと一緒にいることになる。ドラゴンと人、二体の“統率者”を同時に相手にすることはできない。



 「グレス‥‥俺が五条と戦った時、勝てる可能性はあるか?」


 「無い、殺される」


 「聖域の騎士団(サンクチュアリナイツ)が全員で戦えばどうだ?」


 「皆殺しにされるだけだ‥‥」


 「だったら生き残る方法は一つしかない‥‥‥五条を信用して前に進む。作戦は続行だ! 他のメンバーには知られないようにしろ。余計な混乱が広がる」



 グレスがエリアスたちのもとへ小走りで戻っていった。



 「あいつがもっと早く言ってれば事前になんとかできたんじゃないのか?」



 ルカが憤慨しているが‥‥‥。



 「いや‥‥もし早く言われていたら俺は間違いなく五条を殺そうとしただろう、そしてグレスが言うように殺されていた」


 「だが五条が“統率者”かどうかなんて証明できるのか?」


 「証明する必要はない」


 「え?」


 「その可能性があるだけで排除するには充分だ」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




 「あっ!」



 ステータスを確認すると“大魔導士”がカンストしていた。


 複合魔術のランクも“B”から“A”に上がっている。複合魔術は役に立つからな、ありがたい。次はなんの職業にしようかな‥‥‥。


 聖戦士の職業ボードをタッチした。エリアスの使う“結界術”を見て気になっていたからな‥‥‥大魔導士ではなくなるけど、いちいち俺のステータスを確認する奴もいないだろうし‥‥‥。


 全員が集まって出発する。


 いよいよ“深淵の穴”まで、あと少しだ!

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― 新着の感想 ―
「勇者」様ロールに酔ってますか?
ハァ・・・・・ 五条さんの手を煩わせないでよ...
[一言] まともかと思ったのにバカだったのか… 自分たちだって、一般人から見たら常識の外に居るのに、自分たちから見て常識の外に居る奴は認められないとか、狭量にも程がある。 こんなのが勇者って何処が…
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