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現実世界に現れたガチャに給料全部つぎ込んだら引くほど無双に  作者: ARATA
第五章 中国・ロシア攻略編

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第63話  武神

 魔獣キマイラは俺に向かって猛スピードで駆けてきた。だが、ダメージの影響で明らかに動きが遅く、目で追うことができる。


 それでも俺より、ずっと速いが“神眼”を使えば、ある程度の速度の差など関係ない!


 俺はギリギリでかわし、腹のあたりに3発ぶち込む!! 魔獣は口から血を吐き、たたらを踏む‥‥‥。


 今度は一転、逃げ出そうとするが、時間を止めて先回りする。時間を動かし、目の前にある魔獣の鼻っ柱を“気功”を纏った拳で思いっきり殴り飛ばす!!


 魔獣は何が起きたのか分からず、よろめくがその隙に左足に“気”を込め魔獣の右前脚を蹴り飛ばした!


 辺りに、ミスリルの破片が飛び散る。


 俺がもう一発殴ろうとした時、死角から何かが襲ってくる。とっさに“気功”を纏った左拳で打ち払う!!

 

 それは、蛇のような形をしたキマイラの尻尾だった。


 尻尾はこちらとは逆方向に飛んでいく。その時、魔獣の向こう側に王が突っ込んでくるのが見えた。俺に打ち払われた蛇の形の尻尾は軌道を変え、そのまま王に襲いかかる!!


 魔獣との戦いに集中しすぎて、周りが目に入ってなかった。そのため王が近づいてくることに気付けず、時間を止めるのが一瞬遅れた――




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




 私や“朱雀”の団員たちは、その戦いにくぎ付けになっていた。五条が銀色に光るライオンのような魔物と一対一で戦っている。


 どちらも凄まじい速さで異能者である私でも目で追えないほどだ。


 特に驚愕するのは五条が纏う“気功オーラ”の量だ。全身から溢れ出し、白く輝くようにハッキリと見える。あれは私の“気功オーラ”の優に数倍はあるだろう。


 戦いは五条が押してるようだ‥‥‥あまりの強さに見とれてしまった。まさに私が憧れた強さ。ああなりたいと願った強さだ!


 まるで武神のような、その拳に、その一撃に自分の理想を重ねてしまう。


 だが、この戦いは五条1人に任せるわけにはいかない。相手は“統率者”だ! なんとか加勢しないと‥‥‥そう考えていると魔物はこちらに背を向け五条と向き合っている。


 これは又とないチャンスだ。今ならアイツは五条の方に意識を集中している。うまくすれば一撃を与えられるかもしれない。


 仮に失敗しても魔物の注意が私に移り、五条が有利になるだろう。 


 そう思い一歩を踏み出した。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 


 キマイラの尾に襲われた後、棍棒をつかんだままの()()()()が地面に落ちる。


 俺は時間を止め、すぐに王を抱きかかえ、その場から離れる。回復魔法を掛けてやりたいが、時間を止めたままではできない。


 下手に時間を動かすと魔獣が逃げだす可能性がある。王を劉の近くまで連れていった。


 劉は“モンク”だから回復魔法を使える。劉がいれば王の傷も、ある程度は治してくれるだろう。


 俺は魔獣と決着をつけるために、奴のもとへ歩み出した‥‥‥‥。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




 「かはっ‥‥!」



 何が起きたんだ!? まったく分からない‥‥‥どうなった?


 腕が熱い‥‥‥見ると自分の両腕が無かった。なんだこれは‥‥‥現実とは思えない。



 「王!? お前、腕が‥‥‥!」



 すぐ後ろに劉がいた。確か魔物の近くまで行ったはずだが‥‥‥どうして?



 「じっとしていろ! すぐに回復させるから」



 劉は私に回復魔法を掛けてくれた。大量に出血していたが、徐々に血は止まり始める。



 「五条は‥‥」


 「人のことより自分の心配をしろ! あいつは大丈夫だ」



 地面に寝かされ動けない状態だったが、劉の体越しに五条が見えた。空中に浮かび上がった魔物の前で、爆発的な“気功オーラ”を放っている。


 


 ◇◇◇◇◇◇◇◇




 蛇の形をした魔獣の尻尾を手に取った。その尻尾を地面に置き、真上で片足を上げ時間を動かした。


 足に“気”を纏い、全力で尻尾を踏み潰す!!!



 「グガァァァアーーーーーッ!!?」



 尻尾は原型が無くなるほど、ぐちゃぐちゃになっている。魔獣は必死になって俺から逃げようとした。瞬間移動で先回りする。


 見えてさえいれば、俺がおくれを取ることなどありえない!


 目の前にある魔獣のアゴを思いっきり蹴り上げた!! 空中で1回転し再び顔をこちらに向ける。両方の拳と身体に纏う“気功オーラ”を最大限まで高めていく!



 「うおぉぉぉおーーーーーっ!!!」



 数百発のこぶしが魔獣の身体にめり込む! 金属の体表は砕け、血を噴き出しながら吹っ飛んでいく!!


 木々をへし折りながら、山の斜面にある岩に激突する!! 辺りには砕けた岩と金属の破片が散乱していた。



 「テイム!!」



 魔法陣から溢れ出した光がキマイラの身体を包んでいく。テイムのリストボードには確かに“キマイラ”の名前が表記された‥‥‥。



 「やっと終わった‥‥‥」



 疲れがどっと出てきた‥‥もうフラフラだ。 

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― 新着の感想 ―
[一言] うーん ポセイドン(巨人) ロデム(キマイラ) ロプロス(不死鳥× 火竜王〇 )?
[一言] 延々と浮かせハメすればいいのに。。。
[良い点] おもしろく一気に読ませていただきました。 [気になる点] 王さん、劉さんが三国志の登場人物のよう性格付けなのでしょうか。現代の中国人からは想像できないです。
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