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現実世界に現れたガチャに給料全部つぎ込んだら引くほど無双に  作者: ARATA
第五章 中国・ロシア攻略編

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第58話  スタンピード

 あの大群をこの人数で戦うのか!? さすがに無理なんじゃないかな‥‥‥どうしようかと迷っているとワンに声をかけられた。



 「五条! お前が強いのは分かってる。力を貸してくれ、被害はなるべく少なくしたいんだ。あの一番デカイのは私がやるから、他の魔物を頼む!」



 王は俺の力に気付いているようだ。頼むと言われて何もしないわけにはいかないな‥‥‥。



 「分かった。できる限りやってみるよ」



 王は俺の言葉に笑みを浮かべ、迫ってくる巨大な虎の方へ向き直った。大勢の魔物が黒い波の様に目前に迫ってくる。“朱雀”のメンバーは緊張した面持ちだ。


 俺は前に進んで集団の先頭に立つ。



 「おい! 新人、前に出すぎだぞ!!」



 さっき声を掛けてきたガタイのいい男が怒鳴ってきたが、俺はかまわず前に出た。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




 「五条!?」



 五条の力は信じている。全力を出して戦ってくれれば、この難局も最小限の犠牲で乗り切れるかもしれない。 


 そう思っていたが、彼は一人で前に出た。


 五条がいくら強くても、1人であの群れに向かって行くのは自殺行為だ!! 私が止めようとした時、信じられない光景が目の前に広がった。



 「えっ!?」



 千体以上の魔物が空中に浮かんでいる。


 なんだ!? 何が起こった‥‥?


 正確に言えば、五条の目前まで来た魔物が()()()来た方向に吹き飛んでいった!


 吹き飛んだ魔物は、こちらへ向かってくる魔物と衝突し上空へ弾き飛ばされた! そんなことが千近く繰り返されると、異様な光景となって広がった。


 何が起きたのか分からない‥‥‥。困惑していると突然、頭上から何か落ちてきた。


 けたたましい音を立てムクリと起き上がったのは、さっきまで前方にいた巨大な虎だった。


 虎自身も戸惑った様子でこちらを睨んでいる。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 




 魔物が目の前に来たとき、時間を止めた。


 世界が止まり、魔物の大群も完全に止まった。モンクと名乗っている以上、大っぴらに魔法を使うわけにもいかないからな‥‥‥。


 俺は一匹ずつ魔物を殴り飛ばし、蹴り飛ばしていく、武術スキルを極め“拳王”となったことで、どう体を動かし、どういう角度で打撃を放てば最大の威力を発揮できるのか手に取るように分かる。


 格闘技などまったくやったことが無いにもかかわらず勝手に体が動く感覚だ。


 その俺が放つ拳や蹴りは、魔鋼鉄を纏わなくても中級以下の魔物であれば一撃で殺すことができる!


 高速で戦地を駆け抜け、次々に魔物に一撃を与えていく! とりあえず目に付く範囲、大量の魔物を叩いた後、王が倒すと言った巨大な虎が目の前にいた。ここで殺すこともできるが王にまかせても大丈夫だろう‥‥‥しかし念には念をと思い全力で蹴り上げた!! これで体力はかなり削れたと思う。


 一呼吸した後、時間を動かした。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




 “朱雀”の団員は、前方にいた魔物の群れが突然消えたことに唖然となった。


 何が起きたのか誰も理解できなかったが、別のルートで進行している魔物はまだ大量にいる!


 数が減ったとはいえ、まだまだ大量に向かってくる魔物たちに気を抜けばやられてしまう! 全員が気を引き締め直し、迫り来る魔物に向き合った。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




 空に浮かび上がっていた魔物が次々落ちてきて地面に叩きつけられる! どの魔物もすでに絶命しているようだ。



 「これは‥‥五条がやったのか‥‥‥?」



 事態が飲み込めないままだったが、考えている場合じゃない! 目の前には“統率者”かもしれない虎の魔物がいる。


 腰を下ろし意識を集中して気功を練った! 棍棒の先にまで“気”がいき渡る。迫ってきた魔物を倒すため大きく跳躍し、すでに動きが鈍くなっている虎の魔物の額におもいっきり棍棒を突き刺した!!



 「ガァァアアーーーーーッ!!」



 甲高い叫び声を上げて暴れ出す! 振り落とされないように額に刺さった棍棒に必死につかまりながら、右手に”気”を集中させる! 虎の動きが一瞬緩慢になったのを見逃さず、棍棒の柄の部分に力一杯、掌底を叩き込む!!


 鉄の棍棒は更に深々と虎の頭に突き刺さっていく! 虎は悲鳴を上げ、もんどりうって地面に倒れ込んだ!!


 仰向けに倒れた虎は、もう動くことはなかった‥‥‥。



 「仕留めたぞ‥‥‥」



 副長の劉が駆けつけてきた。他に襲ってきた魔物は“朱雀”の団員が倒したようだ。



 「王! 大丈夫か!?」


 「ああ、私は大丈夫だ! それより団員に負傷者がいないか確認してくれ」



 さて、問題はこの虎が“統率者”かどうかだが‥‥‥‥近くに五条がいることに気付いた。



 「五条! ちょっといいか? こっちに来てくれ」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




 王に呼ばれて近づいていくと、見事にのされた大虎が仰向けに倒れていた。



 「五条、どう思う? “統率者”だと思うか!?」


 「どうして俺に聞くんだ?」



 王は真剣に目で俺を見つめていた。



 「日本では“統率者”が討伐されたそうだな‥‥魔法使いと自衛隊が協力して倒したと聞いている。お前は討伐に参加した自衛隊員じゃないのか?」



 近くに集まりだした“朱雀”の団員もぎょっとした顔で俺の方を見た。



 「まっ‥‥まあ、そんな所かな‥‥‥」



 本当は違うが説明するのが難しいのでやめておいた。



 「だとしたら本物の“統率者”を見ているはずだ。どうだ? この虎は“統率者”か?」


 「‥‥‥違うと思う。俺が見たものはもっと強くて威圧感も半端なかった」


 「‥‥やはり、そうか‥‥‥」



 王は残念そうにしているが、“統率者”ではないことは直感的に分かっていたんだろう‥‥。



 「おいっ五条! お前“統率者”を討伐した自衛隊員だったのか! スゲーじゃねえか!!」


 「だったら俺たちの先輩になるな! さっきは馬鹿にして悪かった」



 俺につっかかってきたガタイのいい男、張と李が謝ってきた。たぶん根はいい人間なんだと思うが‥‥‥顔が厳ついんだよな‥‥‥



 「王! 団員が2人いなくなってる。今の戦闘の後から見当たらないんだ!!」



 副長の劉からの報告に、王はすぐに指示を出した。



 「すぐに捜索する! 準備してくれ!!」



 王たち“朱雀”のメンバーが捜索に向かおうとした。その時――



 空が七色に輝いた。



 まるでオーロラのような芸術的な光景に、その場にいた全員が見とれてしまう。



 「なんだ‥‥これは‥‥!?」王が戸惑って言った。



 その輝きの中心部からゆらゆらとこちらに降りてくる光がある。それは青い炎をまとい、こちらを見下ろすかのように悠然と羽ばたいた。



 「魔物が逃げていた原因はコレか‥‥‥」



 俺は()()()を何と呼ぶのか知っている。漫画やアニメで何度も見たからだ! 多くの人はこう呼ぶだろう――






 ――不死鳥フェニックス――と

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― 新着の感想 ―
時止めて一体ずつちまちま殴り飛ばしてるの想像したらおもろい
[一言] 中国なら不死鳥ではなく鳳凰では?
[気になる点] 世界の時間を止められて素手で倒せるならなんで 入団試験前にモンクや他の職業カンストさせなかった? 時止めが死に設定すぎる まだ無限魔力がなければ説明がつくのに 主人公がアホみたいになっ…
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