第40話 旅立ち
俺はボロボロの格好のまま瞬間移動で岐阜基地まで戻ってきた。
「五条さん!!?」
坂木さんと清水さんには、かなり心配されたが無事にダンジョンのボスを倒したことを報告した。
「そんなに強かったんですか?」
「ビックリするくらい強かったですね‥‥‥‥ちょっと危なかったかも」
俺たちが話していると何人かの自衛隊員が集まってきた。
「坂木1等空佐! 今、福岡と連絡が取れて交戦していた化物の数が激減しているそうです!」
「それ以外の地方からも化物の数が減っていると報告が入っています!」
どうやら“不死の王”を倒したことで、いい影響が出てきたようだ。今まで日本中を覆っていた“魔素”も少なくなり通信状況が改善され始めたと後から坂木さんから聞くことになる。
ほとんど半裸状態だったので自衛隊の宿舎で服を着替えさせてもらい、改めて坂木さんたちと話すことになった。
「自衛隊は今後、日本の立て直しに尽力することになるでしょうね‥‥‥五条さんのおかげで化物が激減したので、復興していくのは可能だと思います」
「幸いなことに日本は島国だからな。大陸から化物が来ることもないし、欧米では一つの発生源から、そこらじゅうに被害が広がってるみたいだけど‥‥‥化物に国境は関係ないからな」
「それに中国から仮に化物が来たとしても日本には五条さんがいますからね‥‥‥‥安心です!」
俺は少し考えてから、ずっと前から思っていたことを話すことにした。
「そのことなんですが‥‥‥他の国の魔物を倒すために日本を離れようと思ってるんです」
坂木と清水は一瞬、驚いた顔をしたが、その後考えこむようにうつむいた。
「そうだよな‥‥‥世界全体のことを考えたら、その方がいいかもしれない」
「分かりました、我々も全力で協力しますので」
その後の行動は早かった。
自衛隊の協力により旅に必要な物を一通り用意してもらう。水や食料などは、こちらでも貴重なはずなのにたくさん持っていってくれと言われた。
かなりの量になった食料と日用品に「どうやって持っていくのか」と聞かれたので一瞬で消して亜空間の中に入れる。
「なんでもアリなんですね‥‥‥」
呆れられてしまった。
空将補の山本も苦々しくこちらを見ていたが、官邸からも五条に協力するよう連絡が入ったみたいで何も言わなかった。
清水さんが「山本のおっさんは閑職に飛ばされることになった」って、笑いながら言ってたけど、ちょっと可哀そうな気もする。
「五条さん、これも持っていってください」
そう言って、渡されたのは一振りの”剣”だった。
「これは‥‥‥?」
「魔鋼鉄で作られた剣です、何かの役に立てばと思いまして‥‥‥」
これが魔鋼鉄の武器か‥‥‥‥俺は鑑定してみることにした。
ミスリルの剣 Rank B
純度は高くないが魔素を多く
含んだ金属で作られる。
鑑定文には“ミスリル”って出てるな‥‥‥そうか、これがミスリルなのか‥‥‥!
「ありがとう、すごく助かります!」
俺は最初にどの国に行くか清水さんたちと相談した結果、最も被害が大きく最強のモンスターと言われる“巨人”がいるアメリカに行くことにした。
そこにいるボスは“タイタン”と呼ばれ、核ミサイル7発を撃ち込まれても、ビクともしなかったらしい。
「ところでどうやってアメリカまで行くんだ。五条さん。いつものパッと消えるヤツか?」
「いや、距離が遠いんで飛んでいこうと思ってます。けっこう時間はかかると思うけど」
「そうか‥‥‥気をつけてな」
「いままでありがとうございました。ここから先は我々自衛隊が全力で日本を守りますので安心して行ってください」
坂木さんの言葉に清水さんも
「命の恩人だからな‥‥‥この恩は一生忘れない。世界を頼んだ!!」
俺は笑顔でその場を飛び立つ。
アメリカには行ったことがあったので瞬間移動で向かうこともできるのだが坂木さんや清水さんが見ている前ではあえて使わなかった。
何かあれば瞬間移動で戻ってこられるが、それを言うと坂木さん達の気が緩むかもしれないので黙って行くことにした。
そして“不死の王”を倒したことで賢者のレベルがカンストする。増加したステータスは‥‥‥
賢者 Lv99
HP 1416/1416 → 1512/1512
MP ∞/∞
筋力 554 → 582
防御 378 → 411
魔防 780 → 860
敏捷 420 → 441
器用 711 → 731
知力 1568 → 1649
幸運 563 → 604
【職業スキル】
魔術 Rank SSS 称号“魔術王”
回復術 Rank SS
複合魔術 Rank B
マッピング Rank C
魔道図書 Rank F → D
獲得“スキル” 魔力適性(Ⅰ)×2 念話(Ⅰ)×2
職業スキルの“魔導図書”がRank Dに上がった。念じれば手の上に3Dで大きめの辞書のような本が現れた、中に書かれているのは武器、防具、アイテムなどの説明や設計図などがあった。
まだ、本の序盤だけしか書かれていないが面白いスキルだと思う。だが正直、使い方がよくわからない。
設計図があっても材料が無ければできないし、どうやって作ればいいかも分からない‥‥‥後々、役に立つかもしれないが、今は役に立ちそうもない。
この職業を上げるのは後回しだな。
スキルを全て含んだステータスはこうなった。
賢者 Lv99
HP 1512/1512
MP ∞/∞
筋力 6111
防御 3699
魔防 1720
敏捷 882
器用 1316
知力 2803
幸運 114760
【職業スキル】
魔術 Rank SSS 称号“魔術王”
回復術 Rank SS
複合魔術 Rank B
マッピング Rank C
魔道図書 Rank D
【固有スキル】
時空間操作 全状態異常耐性 神眼
無限魔力 結界防御 不老不死
重力操作 超回復
女神の加護 剛力無双
【スキル】 【魔法】
千里眼 (Ⅶ) 風魔法 (ⅩⅧ)
魔力強化(Ⅶ) 土魔法 (ⅩⅧ)
成長加速(Ⅹ) 火魔法 (ⅩⅦ)
演算加速(Ⅷ) 光魔法 (Ⅶ)
模倣 (Ⅵ) 召喚魔法(Ⅹ)
加護 (Ⅸ) 雷魔法 (ⅩⅦ)
鑑定 (Ⅹ) 水魔法 (ⅩⅧ)
空間探知(ⅩⅣ) 闇魔法 (Ⅸ)
筋力増強(ⅩⅠ) 強化魔法(Ⅷ)
寒熱耐性(Ⅸ) 回復魔法(ⅩⅨ)
物理耐性(Ⅷ)
魔法耐性(Ⅹ)
魔法適性(ⅩⅢ)
隠密 (ⅩⅡ)
俊敏 (Ⅹ)
精密補正(Ⅷ)
威圧 (Ⅶ)
念話 (Ⅷ)
敵意感知(ⅩⅡ)
精神防御(Ⅵ)
“不老不死”はすごいスキルだな‥‥‥外的要因によって死ぬことはあるらしいが、“超回復”と“全状態異常耐性”がある俺はほぼ死なないよな。
あんまり実感ないけど。
新しい戦場に向かうが恐怖はない。それだけのスキルがあるからな、そう思って俺は瞬間移動でアメリカに向かった。
これで第三章は終わりです。丁度投稿してから1ヶ月で一区切りつけました。第四章も引き続き見て頂けると嬉しいです。




