【幕間】休日のベルセルカと黒猫と(2)
◇ ◇ ◇
「っていうかファラン。。。
なんで一回一緒に籠城しただけで、おともだちになってるのにゃ。
このコミュ強! パリピ! リア充! カースト上位!! オレと陛下に謝れにゃ!!」
「ファラン、この猫、何言ってんだ?」
「すみませんオレも意味わかんないッス」
「ノストラダムス前に死ぬからにゃ!! この過労死脳筋人魚!! ガチの陰キャ的には、彼女持ちよりも、誰とでもすぐ仲良くなれる男がムカツクにゃ!(魂の叫び)」
「ナル。やめましょう。
何だかよくわからないですが、どんどん敗北者のオーラが濃くなってます」
一同、昼間から、酒場?のような飲食店に入り。
カルネに抱き抱えられたナルキッソスは、ふーふー言いながらファランに吠えている。
「もう、ナルキッソス!
お店の人に迷惑よ。
いいこにしなさい!」
そして11歳児に怒られる黒猫。
「それにしてもドレイク、ありがとうございます。
約束どおりカルネと一緒に旅してくれてるんですね?」
「レイナートに圧力かけられてだけどな?
……まぁ、姉上がいなくなってひとりだったし、意外と悪くはねぇよ」
ベルセルカの問いかけに、ドレイクは、ぐびぐびと酒をのみながら答えた。
「でも、そういえば、ドレイクこの間もファランと飲んでたんですよね? 明け方まで飲んでたそうですけど、まさかカルネも道連れに?」
「いいえ、ちがうわ。
ドレイクとファランは、お店が終わってからも飲み足りないからってお酒を買って、私たちが泊まってるお宿でずっと飲んでたのよ。
うるさくて何度も起きちゃった」
「うわー。
だめな大人にゃー。
反省しろにゃ」
「(ところで、エレナ嬢)」ドレイクが、こそっとエレナにささやく。
「(レイナートが国王なことと、俺が王族なことは、カルネには隠してるのでそこのところよろしくな?)」
「(大体察していましたわ。お二人ともそういうご趣味ですの?)」
「(趣味って言うなぁぁぁ!!)」
ドレイクとエレナの内緒話には気もとめず。
おとなしくなったナルキッソスを撫でながら、カルネは続ける。
「この間、ファランに声をかけたら、ベルセルカたちはまだ外国から帰ってないってことだったから。
今日はレイナートは?」
「あ、えーと。お仕事です!」
「そうなのね……じゃあ」
カルネが続いてなにかを言いかけたその時。
「しかし、王妃なかなか決まらねぇなぁ。
賭けは一回ご破算にするか?」
同じ店の他の客の声が飛んできた。
「「「「「………………!!!」」」」」
候補者2名含むベルセルカ一行は、約1名を除いて一気にいたたまれない気持ちになりながら、全力で酔客の会話に耳をすます。
「いやぁ、喪が明けたらすぐにオクタヴィア王女様と結婚すると思ってたんだが……」
「だーから、ぜってぇアレだって。
王女様と、なんだっけ幼なじみの姫騎士? その2人の女の戦いの決着がなかなかつかないんだって」
「王女と騎士なら、力関係明白だろ。なんですぐ決まらない?」
「それは、アレよ。王様が姫騎士様にぞっこんで、きっと家来たちの反対を押しきって無理矢理王妃にしようとしてんだろ?」
「だとしても、普通だったら、王女様か他の国の姫君を王妃にして、幼なじみが愛人っていうのが」
ベルセルカは、カルネの耳をふさいだ。
「え? ベルセルカ?
どうしたの?」
カルネがキョトンとしている間にも、客たちは笑い続ける。
「だって、たくさん貴族が死んだし、国王陛下が種馬なみにこどもつくらねぇと、断絶する家とか、たくさん出てくんだろ?」
「ハハッ。カバルスの種馬陛下ね。夜の名馬ですってか」
「そうだよなぁ。目ぼしい貴族がいなくなったわけだし。貴族令嬢のきれいどころが軒並み国王の愛人になったりとかするんじゃ?」
「まぁ、ムカツクけど、仕方ないよなぁ」
聞いていたベルセルカは、顔をファランの方に向ける。
「ファラン。ドレイク。なんでこのお店にしたんです。。。。」
「……え!? 悪いのオレたち!?」
幸か不幸か、そこで客たちの話は終わり、ベルセルカはカルネの耳から手を離したが、一行、非常に気まずい空気に包まれた。
「よく聞こえなかったんだけど、王妃様の話をしようとしてたの?」
「………カルネ。それをこの空気で聞くとは、将来有望ですよ」
「そ、そう?
でも、王妃様を選ぶときって、確か、お城で舞踏会を開いて国中の女の子を招待して選ぶのよね?」
「それは、物語のなかだけですね」
「そうなの?」
「そうですよ。
だって、もしカルネがその舞踏会にいたら、嫌でしょう?
舞踏会でたまたま王子さまが気に入っただけの、どこの馬の骨ともわからない、絶対自分の方がいいのに!って女の子が選ばれたりしたら。
せめてどこかの国の王女様とかであってほしいですよね?」
「え? 全然?
むしろ夢みたいじゃない!
王子様と王女様の結婚でもべつにいいけど……」
しばらく、考えていたカルネは、「そうね、でも、思うのは」と、続ける。
「王様と王妃様が愛し合って末長く幸せなら、どんな人と結婚してもかまわないわ」
◇ ◇ ◇




