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第六話 ダンジョンの中

「預かっといてやろうか?」


 つい先ほど返してもらった50万円を封筒に納めると、南雲さんがそう言ってきた。この封筒をダンジョンに持っていくのは非常に不安になった。ついさっき騙されたと言うか、()()()()()()()()。をやられた身としては警戒心が起きた。


「大丈夫だよ。その男、お金だけはアホみたいに持ってるから、今更50万盗んだからって、どうにもならないよ」


 俺はまだダンジョンショップにいた。レジのお姉さんはなぜか真っ赤な顔で髪が乱れ、隣にどう見てもエルフの特徴を持つ女の人がいた。尖った耳にたおやかな目鼻立ち。しゃべると口調が年寄り臭いこと以外は天上の調べのごとく綺麗な声。


 絶対普通ならありえない緑の髪は腰まで届いて、そして何よりその瞳が作り物めいて綺麗だ。そんなに綺麗なのに着ている服は大きくスリットが入っていて、 半分お尻が見えそうで、胸も半分見えるような布面積しかなかった 。


「あの誰ですか?」


 桐山さんも大概綺麗な人だし、レジのお姉さんも綺麗な人だ。しかしこの人の綺麗さは現実味がない。よくできた人形のようだった。


「そこの親切な男の知り合いで、卯都木文子(うつぎふみこ)だよ」


 思った以上に和風と言うか古風な名前だ。日本人でこの見た目ということは……。


「す、すごい! 転生(リインカーネイション)した人だ!」


 ダンジョンでレベルが上がり続けると、リインカーネイションというものができる。それをすると人は全く別の生命体になると言われており、人間の器ではそれ以上の力を持てないところまでレベルが上がると、できるようになるらしい。


 らしいというだけで、実際に見たのは初めてだった。


 テレビやネットにもこういう人たちはほとんど出てこない。そんなところでお金を稼ぐ必要がないほどすごくて、大抵、人より長命になる。リインカーネイション。それは世界規模のVIP、高レベル探索者の証だ。


 ここまで行くと探索者も差別されず、むしろ尊敬の対象になる。


「それを言うなら南雲もそうだよ。ま、南雲の場合はあんまりあの姿でいるの嫌がるけどね。私のことは『エルフさん』って呼んでいいよ。南雲とはパーティー仲間なのさ」

「へえ」


 こんな綺麗なエルフさんとパーティーを組んでいるとは、南雲さんという人は相当すごい人のようだ。と言うか、南雲さん転生してるんだ。


「南雲さん。じゃあ50万円預かっておいてくれますか?って、どうしたんです?」


 南雲さんはなんだかどう表現していいのかわからない顔をしていた。


「い、いや、なんでもねえよ。ちょっとこの世の闇を考えていただけだ」

「この世の闇?」


 この世の闇がなにかは知らないが、南雲さんは50万円を受け取ると手元に黒い異空間が発生して、その中に入れておいてくれた。多分アイテムボックスだ。やっぱりこの人、かなりすごい探索者だ。


 マジックバッグと呼ばれる死ぬほどお高い収納道具もあるのだが、自分で異空間を発生させられるアイテムボックスを持っているということは、空間魔法が使える証拠。


「じゃあもうさっさと行くぞ」

「あ、はい。よろしくお願いします」

「坊や。頑張ってね」


 鈴の鳴るような綺麗な声で、エルフさんがニコニコと手を振ってくれた。俺も嬉しくて手を振り返した。


「知らないって幸せだな」

「なにがですか?」

「いんや、それよりお前丸裸だな」


 素っ裸ではないのだが、米軍の装備がすべてなくなり、セーターとカーゴパンツを履いて、上に厚手のコートを着ている。


 ここに来る前から背負っていたバックパックは背負っているが、何しろ武器も防具もないのだから、ダンジョンに行くと考えたら丸裸みたいなものだ。


「そりゃ言われるままに全部返しちゃいましたし。おすすめの装備があれば今からでも買ってきますけど」

「いやあのクソババアを二度見したくないし、今日は俺のを貸してやる」

「クソババア? おばあさんなんていましたっけ?」

「いたよ。ダンジョンに出る山姥が」

「やまんば?」

「あ、いや、あんまり言ってるとどこで聞いてるかわからんからやめとく。それより――」


 なぜか背中に寒気がした。ともかく南雲さんの手元に再び黒い異空間が現れた。


「それってアイテムボックスですか?」


 南雲さんが首飾りを一つと十字槍を一つ、その空間から出した。喋りながら外に出る。朝日が昇り始めていたが、それでもまだ外は寒くて薄暗かった。


「ほら、これ使え」

「これ、貸してくれるんですか?」


 なんだかすごく高価なもののように思えるのだが、そんなの俺に渡すわけないよな。


「首飾りは11階のガチャで手に入れた安物だ。HP換算でダメージ100まで、受け止めてくれる防御アイテムだな。頭とか関係なく守ってくれるから結構便利でいいぞ」

「……そ、それってめちゃくちゃ高いものなんじゃ?」

「そんなことねーよ。俺のつけてるこれと比べたら1/100ぐらいの値段だぞ。それにこっちの十字槍に関しては、ダンジョンアイテムじゃない。俺の趣味で集めてる日本刀とか槍とかの一つだ」

「い、いいんですか? なんかどっちも高そうにしか見えないんですけど」


 少なくとも俺が購入しようとしていた装備より絶対高い。特に全体防御を与えてくれるアクセサリー。それって外国の要人とか日本の首相とかがつけてるやつじゃなかったっけ? 南雲さんがつけてるアクセサリーよりは安いんだろうけど……。


 探索者はレベルが上になってくると金銭感覚がバグるって噂だ。十字槍だってその刃はめちゃくちゃ切れ味が良さそうで、柄の部分もやたらと意匠が凝っていた。これは本来飾っておくもので使うものではないのでは?


「どっちもアイテムボックスの中で眠らせてるだけだしな。気に入ったのならやるよ」

「く、くれるんですか?」

「いらんのか?」

「い、いるけど、とてもお金払えませんよ」

「やるって言ってるだろ。金には困ってないしな。正直もうちょっといいもんやりたいところだが、あんまりやりすぎるとな……。クソババアがうるさいし、それ以前に、俺が付き合えるのは今日だけだ。明日からは自分で頑張らなきゃいけないんだ。そう考えたらあんまりいいもの与え過ぎてもダメだろ」

「そりゃそうだけど」


 これ、十分いいものでは? 多分この十字槍でも1000万は絶対するぞ。アクセサリーの方は、1000万なんかじゃ絶対売ってないと思う。


「まあ1階層ぐらいなら、その装備でなんとかなる。じゃあ入るか」


 ダンジョンショップの前にある大きな洞窟の入り口が、人を暗闇へと誘うように口を開けていた。全部で10個並んでいる入り口。初心者は北から1番目のダンジョン1階層につながる入り口からだ。桐山さんと話す前に俺が手だけ入れてみた入り口だ。


「1番目に入らないんですか?」


 南雲さんは特に何も考えていないように、ダンジョンショップから出てすぐの6番目から入ろうとした。


「うん? あ、そうだったな。6番目に入ってもお前じゃ仕方ないよな」

「え、ええ。南雲さんと一緒なら俺も入れるんでしょうけど……、南雲さんはいつも6番目なんですか?」

「まあそうだな」


 6番目は51階層の入り口だ。俺が入れるのなんて何年先のことか。それまで生きてるかどうかすらわからない。


 南雲さんは行き先を変えて1番目の入り口へと入った。置いていかれてはまずいと俺も慌ててダンジョンの入り口を潜った。入り口は暗闇で、そこに足を踏み入れた瞬間、 周囲がゆがんだような感覚にとらわれた。


「ここがダンジョン……」


 その瞬間、何か明確な違いがあったわけじゃない。なのに景色が一瞬で変わった。目の前に草原が広がっていた。それはアフリカのサバンナのような草原。かなり遠くまで見渡すことができ、障害物らしいものもない。


 少し離れると森林や湖なども見えたが、ぼやけていて何kmも離れていそうだ。ダンジョンと言っても、その先は洞窟などではなく完全に異空間と繋がっている。


 上空は太陽が輝いて草原に陽炎が立ち上る。暑くて先ほどまで寒かったのに、額から一気に汗が吹き出してくる。日本は真冬だっただけにその違いに驚いた。


「最初に来たらまず暑くてビックリするだろ?」


 おまけにサバンナと同じ動物がいた。キリンにシマウマにクロサイもいる。ただ肉食獣はいないと言われていた。その役割をこの1階層ではゴブリンがしているのだ。


「うわーゴブリンだ」


 とがった耳に緑色の肌。若干猫背で大人の人間よりも少し身長が低い。醜悪な顔で日本刀を持っている。 5匹の集団でうろついていた。


「気をつけろよ。 俺にとっては羽虫みたいなもんだが、未だに一番人間を殺しているモンスターはゴブリンのままだからな」

「わ、分かってます。別名ヒューマンキラー。女は犯す。男は殺す。ですよね」


 1階層にいるモンスターはゴブリンだけなのだが、そのゴブリンに毎年毎年山ほど人が殺されている。ダンジョンに夢を見た男も女もこのゴブリンに夢を砕かれる。その恐ろしさは戦って見ればわかると言われていた。


「それにしても暑い。本当に夏みたいだ」

「さっさと脱げよ」


 南雲さんは勝手知ったるといった様子で最初から薄着のシャツとダメージジーンズだ。俺もコートなど羽織ってられないと脱いでリュックの中に入れ、『漢気』と書かれたロンTと下は元からカーゴパンツを履いていたので、そのままにしておいた。


「1階層は暑いって聞いてたけど、こんなに違うもんなんですね」

「ダンジョンは季節がないからずっと暑いまんまだ。知ってると思うが、5階まで全部サバンナだからな」

「特級ダンジョンでも初級ダンジョンでも作りは一緒なんですよね?」

「そうだ。ほとんど変わらん。全てのダンジョンは同じ仕組みで、 直径100kmの円形になってて、初級でも何級でも5階まではサバンナだし、出てくるモンスターも1階層から3階層までどこでもゴブリンだ」

「3階層がゴブリン集落、2階層がゴブリン偵察隊、そしてこの階層が下っ端ゴブリンですよね?」

「よく勉強してるじゃねーか。ダンジョンごとの違いと言えば深度とガチャで出てくるアイテムぐらいだな。って、これも知ってるよな?」

「え、ええ、ダンジョンについて調べている時に、一番見たのがゴブリンに殺される男の人と、ゴブリンに捕まってる女の人ですから」


 ゴブリンはサバンナでたとえシマウマなどを襲って食べていても、人間を見つければ、人間を優先して襲ってくる。そして人間がゴブリンに負けると、男は殺され食べられる。女は生きたまま自分たちの集落にお持ち帰りされる。


「まあ調べてるとは思うが、ゴブリンについておさらいしとくぞ」

「助かります」


 今は学校でもダンジョンについては絶対教えている。 ダンジョン教育は日本では中学2年から始まり、中3ではモンスターに襲われた時の本格的な対処法まで教えられる。そしてダンジョン高校(Dラン)では実際にダンジョンに入るのだ。


「1階層のゴブリンには140cmぐらいの体格のやつから、人間の大人並にでかいやつもいる。そして全員、好戦的で逃げない」

「全然ですか?」

「全然逃げん。おまけに3匹以上の集団で現れるし、探索者の落とした武器を使うケースも多い。人間より頭は悪いが、弓や拳銃を使う個体もいて、そういう奴らはゴブリンアーチャー、ゴブリンガンナーとも呼ばれてる。メスの個体がいなくて、代わりにどんなに違う生物のメスでも孕ませることができる。もちろん人間の女も例外じゃない。というか人間の女が特に好きで捕らえたら集落で大事に飼う」

「南雲さんって最初どうしたんですか?」

「最初?」

「は、はい。南雲さんって多分、第1世代の人ですよね?」


 ダンジョンが現れてダンジョン高校ができるまでの3年。


 その間に、ダンジョンに挑んだ人たちのことを第1世代と呼ぶ。ダンジョンのことが、まだほとんど分かっていない頃にダンジョンに挑んだ人たちは、大量に死に、大量に重傷者を出し、無事だったものは恐怖でその道を諦めた者たちだけだとすら言われた。


 しかし、それすらも生き残って今も探索者を続けている第1世代は、生存競争を勝ち抜いた凄まじくしぶとく高レベル探索者が多い。そして第1世代は世界中で問題を巻き起こし、軍隊にも平気で盾突くことから、恐れられてもいたし、英雄視されてもいた。


「第1世代とか言われるのはあんま好きじゃないんだけどな。まあ俺は結構最初の方からダンジョンに潜ってたよ」

「じゃ、じゃあ、 15歳からですか?」

「ふん、そうだ。お前と同じだ。まあ、お前もこんなとこ来るぐらいだから、学校あんま楽しくないんだろ?」

「ま、まあ、はい」

「俺もそうでな。15歳で、中3の時だ。最初は一人でダンジョンの中に入った。ダンジョンについて何もわかってない時だ。全然怖さなんて分かってなかった。ただただ学校よりはるかに夢のある場所だと思った」

「よく一人で生き残れましたね。最初にダンジョンに間違えて入っちゃった人とかって、ほとんど死んだって聞きますよ」

「偶然なのか何なのか知らんがダンジョンの中で落ちてた槍があってな。それを拾ってとにかくゴブリンを突き殺して死に物狂いで頑張った。俺はアニメとかマンガが結構好きな子供だったから、こういうところでレベルアップするってこと知ってたんだよ」

「へ、へえ、あ、あの、レベルアップって夢がありますよね」


 なんだか人とダンジョンのことについて喋れるのがうれしくて俺はついつい饒舌になった。


「まあな。最初はゴブリンを10匹倒すとレベルが1上がってな。それで身体能力が上がるんだが、それが思った以上に助かった」

「魔の10匹ですね」


 魔の10匹。最初はレベルが一つ上がるだけで、体の動きがかなり変わると言われていた。そして、それにはゴブリンを10匹倒す必要がある。しかし、その時に一番初心者が死ぬのだ。


「お前はレベルが3になるまではとにかく慎重にやれ。それを乗り越えたら、かなりゴブリンを簡単に殺せるようになる。でもそれ以上になりたかったら、2階に降りろ。どうしてか分かるな?」

「階層ごとのレベル限界ですね」

「そうだ。探索者は死んで諦めるより、生きてて諦める奴のほうが多い。何しろレベルが上がったら弱いモンスターを無限に倒してレベルアップなんて安全策を取れない。その階ごとにレベルの上昇限界がある。1階でレベル3まで、2階だとレベル7までしか上がらない。だからレベルをあげようと思うと必然的に下に降りるしかなくなる」

「それってダンジョンが下まで来いって言ってるみたいですよね」

「かもな。ダンジョンってのは不思議なところだ」

「そりゃもう不思議の塊ですよね」


  なぜこんなものができたのか、なぜこんなに不思議なアイテムが出てくるのか。もしこれを創った人がいるのなら、 人間をレベルアップさせて、一体どうするつもりなのか。何一つとしてわからない不思議な空間。


「そういうありきたりな不思議という意味じゃなくてな。高レベル探索者になるような奴らはなぜか、縁に巡り合う」

「縁ですか?」

「ああ、ダンジョンに好かれるやつというのがいるんだ。そういう奴は決まってダンジョンで縁に巡り合うんだよ。俺も最初、ダンジョンに一人で入ったが、結構すぐにずっと一緒にいることになる仲間と出会った」

「それは俺には無理かな」


 生まれてこの方、仲間というものに恵まれたことがなかった。友達と言い換えてもいい。遊んだことのある友人はいた。でもそれが友達だったのかどうかと言われるとたぶん違う。相手は俺より仲の良い人間がいたし、俺は暇つぶしに遊んでもらってるだけだった。


「どうかな。俺は多分お前はそうだと思うぜ」

「そうやって言ってもらえるのは嬉しいですけど、南雲さんの時とはまた違うと思うけどな」

「どうしてそう思う?」

「だって初心者の人、今のダンジョンにはいないでしょ? 俺はそれが煩わしくなくていいと思ったんです」


 Dランができてから初心者は全員そっちに行く。何しろ入学には年齢制限なども特になく、極端な話100歳の人間でも入学しようと思えばできる。そして今ではダンジョンに入りたければまずDランが常識だった。


 逆に俺みたいにDランに入らずに勝手にダンジョンに入る人間がかなり少なくなった。それは何のサポートもなしにダンジョンに入って生き残れる確率が少ないからだ。 未だに3割は死ぬと言われていて、 残りの7割にかける人たちは少ない。


「まあ確かにな。たまに新人がいても、あのクソ女みたいな政府の人間にうまいこと言われてダンジョンに潜れなくされてしまう。まあ死ななきゃ政府がマスコミから叩かれることもないしで、あの辺のやり口は黙認されてるな」

「死ななきゃいいってことじゃないのに、生きてるだけじゃ意味ないのに」

「ああ、()()()()()()()()って思うんだろ?」

()()()()()()()()()()()()()()()()んです」

「俺もそう思う。俺は探索者が好きだ。世間からは人外とか、化け物とか色々言われるが、何にも縛られず、強さを追い求めるだけで、とことん自由に生きられる。その自由をなんとか型にはめようとするあの女みたいな奴らが思った以上に俺は嫌いだったんだな」


 まるでそれに今気づいたみたいに南雲さんは言った。


「ま、こんなこと言ってるが俺も今日だけだ」

「わかってます」

「そうか。お前がそれをわかってやってるならいい。俺が教えようとしてることは、あのクソ女より酷いことかもしれないが、恨むなよ」

「恨みません」


 たとえそれで死んだって恨まない。伊万里にだけは悪いと思うが、俺は精一杯生きてから死にたい。生きながら死んでいたような今までの学生生活が死ぬほど嫌だったんだ。


「ま、レベル3のままでゴブリンをひたすら倒してガチャを引いて、一山当てたって奴もいるけどな」


 南雲さんがクイクイっと後ろを差した。

 ダンジョンの入り口となっている土が盛り上がった場所、その横にガチャゾーンと呼ばれる建物が建っていた。白い円筒形の建物で、中にはガチャ台があって、ガチャを引くことができる。外にあるダンジョンへの入り口から入れば、必ず横にガチャがある。


 あまりにも ゴブリンの方に目が行き過ぎて、ガチャ ゾーンに気づいてなかった。探索者にとっての唯一の楽しみであり、主な収入源なのに今気づくなんて、思った以上に余裕がなかったようだ。


「お前はせこいコイン稼ぎなんてメインにしないんだろ?」

「そのつもりです。ガチャは楽しみだけど、それよりレベルアップしたいんです」

「なら行くぞ。お前の頑張り次第だが、逃げ出さない限り、今日中にレベル3までしてやるよ。そこから先、どうするかはお前が考えろ」

「は、はい!」


 俺は南雲さんからもらった十字槍を強く握った。

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― 新着の感想 ―
読み直し―で気づいたけど、初レベルアップがゴブリン10匹とかかなりハードですね。 あと銃でEXPほぼ入らないとあったけど、銃で深手を負わせて接近戦武器でとどめ、なら普通にEXP入るのかな。
南雲っちに出会えたことがすでに最速に縁をゲットしたこと言って欲しかった
[一言] 「そうやって言ってもらえるのは嬉しいですけど、南雲さんの時とはまた違うと思うけどな」 武器と装備、凄いのをタダで貰えたのに否定するんや。
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