第四十八話 Side美鈴⑥2階層クエスト
「絶対、何か考えてそうね」
エヴィーが祐太のことであっさりと引き下がった。自分もちゃんと好きと言われたことはないのだが、それでもあの場で負けたくない一心で言ってしまった。祐太はそれを訂正することもなく、自分を選んでくれた。
嬉しくてあの日以来、寝る時間になると、ほとんど祐太とくっついている。エヴィーは驚くほど静かで何も言ってこない。祐太がはっきりと私を選んだから、もうそういうことをしないと決めてくれたのか。
「それなら嬉しいんだけど」
一応こまめにスマホの地図アプリはチェックしていた。エヴィーが祐太と接触した様子はないし、エヴィーの位置情報も移動を続けている。スマホをリーンに預ければ、隠れて祐太に逢うことができるけど、いくらなんでも無茶だ。
そんなことをしたらエヴィーはスマホを持たずに、2階層を移動しなきゃいけなくなる。そうすれば確実に迷子になる。この広大な空間を地図アプリもなしで移動する。
「いくらなんでもそんなことしないよね」
あんまり心配しても仕方ない。疑えばきりがない。祐太を信じるしかない。
「でも祐太、意外と浮気症なんだ。ちょっとエヴィーにおっぱい触らせてもらったらフラフラフラーって」
燦々と照りつける太陽の中、サバンナの草原には陽炎が浮かんでいた。これほどまでに暑いのに熱中症や夏バテにならなかった。レベルも5になってくるとほとんどの身体的不調から解放される。肌を見ると日焼けもしてなかった。
レベルアップとは凄いものである。レベル1000とはこの200倍。
「果てしない道のりだな……」
つぶやきながら私は祐太たちとゴブリンライダーを殲滅したエリアを抜けていた。まだかなり距離はあるがゴブリンライダーの群れを視界に捉えた。ゴブリンライダーは伴侶となるライオンとともにキリンを捕食していた。
これを放置しておくとこのエリアの草食獣すべてを狩り尽くしてしまいダンジョン崩壊の原因にもなるらしい。一応周囲を確認して他の群れがいないか探した。米粒ほどにも見えない離れた場所にゴブリンライダーの群れがもう一つあった。
離れすぎていて、こちらに近づいてくるとは思えなかった。マジックバッグから双眼鏡を取り出した。この両方ともエヴィーに借金して購入している状態だ。
「さすがにちょっとは許してあげないと悪いかな……」
探索者の常識としては、パーティーの中で男が一人だったり女が一人だった場合、それを独占することは厳禁と言われていた。それに折り合いがつけられないパーティーはたいていどこかで崩壊する。
自分だって分かってる。でもどうしてもエヴィーと祐太が仲良くしているのを見ると胸がざわつく。そしていつのまにか声にしてしまっている。
「もういっそ私のわからないところで……」
そこまで考えてやっぱり祐太とエヴィーが絡まり合っている姿は、想像したくなかった。
「嫌なもんは嫌なんだから仕方ないよ」
自分が悪いのか。本当は祐太だってエヴィーと仲良くしたいのに私に遠慮してるだけなのか。私のことを心が狭いと思って嫌いになったりしないか。レベル1000にはどう考えてもパーティー仲間がいる。
今の段階ならエヴィーが抜けてもまだ換えはきく。しかし伊万里ちゃんが来て今度は自分が換えられたらどうする。ガチャ運5の男のパーティーに入りたがるハーレム容認をする女はいくらでもいる。
祐太がもしDランに通っていたら、それこそ簡単にハーレムパーティーをつくれたはずだ。
自分には恋愛感情がないんじゃないかとさえ思っていたのに、今では祐太のことを考えるだけで体の芯が疼いてくる。スマホに入れた祐太の画像を引っ張り出した。以前デートした時に撮った写真。
祐太のまだレベルが上がっていない頃の姿になった写真。今のレベル5になった祐太からは想像できないぐらい冴えない男子。フレームに収まった顔は自信がなさそうで、同じクラスにいたはずなのにそれほど印象にも残ってなかった。
「ごめんね祐太」
最近、この姿を見ているだけで申し訳なくなる。この頃の祐太を私が助けていれば……。スマホの画面に向かって昔の祐太にキスをした。今の祐太も好きだが、この祐太も愛しい。この姿で一緒に寝てくれないかと頼もうかとすら思った。
「嫌がるよね」
ようやく祐太は格好良くなれたんだ。それを否定するようなことを言えば嫌がるに決まっている。それでもこの姿で抱きしめられてキスして眠ってみたい。
「はあ」
はしたない女だ。こんな女になってしまった。いや、元からこんな女だったのか。スマホで地図アプリをまた開いた。祐太と距離が近かったら逢いに行こうか。しかし祐太の位置は前とほとんど一緒だ。
「というか動いてない? 祐太も止まってるってことは……ああ、もう! いい加減にしろ自分! 本当に集中しよう。でもそっか、そ、そうだよね。『男の子は1人になる時が必要だ』って芽依お姉ちゃんが言ってた。祐太ったらもう言ってくれればいいのに……」
祐太だって15歳の男子だ。平気そうに振る舞ってたってかなりたまってる。
「ああ、もう、本当にダメダメ」
切り替えて私は改めて当初の目標に戻って、双眼鏡を取り出した。ゴブリンライダー17騎。かなりの数であるが、特別多い訳でも無かった。15騎~20騎と言われるゴブリンライダーだが、実際のところ15騎で群れていることはほとんどなく大抵はそれ以上で群れている。
20騎を超えている時もあり、レッドゴブリンが2騎いるというケースもあった。私が今見ているのは、最もよくいるゴブリンライダーの群れだ。自分のステータスをもう一度確認しておく。
名前:桐山美鈴
種族:人間
レベル:4→5
職業:探索者
称号:新人
HP:23→31
MP:19→23
SP:25→31
力:22→26
素早さ:22→27
防御:21→24
器用:25→31
魔力:20→23
知能:18→20
魅力:49→52
ガチャ運:1
装備:ストーン級【髪飾り】
ストーン級【胴鎧】
ストーン級【脛当て】
ストーン級【小手】
ストーン級【肌着】
ストーン級【護符】×2
ストーン級【弓】
ストーン級【短刀】
ストーン級【履き物】
ブロンズ級【アリスト】(バリア値100)
サファイア級【天変の指輪】
魔法:ストーン級【レベルダウン】(MP3)
スキル:ストーン級【精緻一射】(SP2)
ストーン級【剛弓】(SP3)
「【精緻一射】と【剛弓】の組み合わせで射てるのは6回か。本来5回だったのがやっぱりSPの果実の分が大きいな。祐太と考えた作戦通りにやればたぶん大丈夫だよね」
今回のクエストがこなせれば、【二点矢】が手に入る。それが手に入れば私は一人でも安定してここでの狩りができるようになる。だから今回のクエスト達成に関して本当の意味で採算を度外視する。話し合いでそう決まっていた。
私はしゃがんだ。そして念のために購入したギリースーツを着る。草原の中に紛れることができるように、草原とまったく同じ色の草を取り付けたスーツである。軍隊で狙撃兵がよく着用するものだ。
そして糞尿の匂いがする香水をかけた。補給に来たデビットたちにクエストをこなすための意見を求めたら、ゴブリンライダーの目を欺くなら、目も耳も鼻も悪いゴブリンよりもライオンに警戒するべきだと教えてくれた。
そしてそのために一番確実なものがこの香水なのだと言う。サバンナは動物の糞尿がよく落ちているから、これを付けとけば絶対に見つからないと教えてくれた。
「臭い……はあ、女の子なんだけどな」
一瞬からかわれているのかと思ったが、2人はいたって真面目な様子だった。
「絶対、使うのは今回だけ。それに祐太と合流する前に絶対に臭いを落とさないと」
そうは思うが、このクエストだけは失敗できない。サバンナエリアでは草が生えていない場所も多く、ゴブリンライダーから隠れても発見される時も多かった。そういう時、デビッドたちはこうしてサバンナと一体化していたそうだ。
見張りをしているゴブリンライダーから300mのところで止まる。ここから匍匐前進に切り替え200mまで近づいた。レベルが3から5になり、射程は200mまで延びていた。だからこれでゴブリンライダーが射程距離に入った。
一度心を落ち着けようと深呼吸する。大丈夫。今は何も余計なことは考えてない。矢筒から赤い矢を取り出した。
私のクエスト内容は、弓でゴブリンライダーの群れを一人で倒すこと。拳銃など現代兵器は使えない。危なくなれば使うが、使えばクエスト達成にはならない。だからこっちを使う。祐太と買い物に行った時に購入した赤い矢。
火魔法のエンチャントがついた魔法矢で、本来はストーンガチャの銀カプセルから一本だけ出てくるガチャアイテムである。なんと一本25万円する。馬鹿かと思うぐらい高い。これを必要経費として20本購入した。全部使っちゃえば500万円の出費である。
今回のクエストで使い切ってもいいと言われているができるだけ抑えたい。必要経費だから後で私の借金にはならないのだけど、500万円ってよく考えたら高級車が買える値段である。本当に探索者のアイテムはお金を湯水のごとく使ってしまう。
「なんか金銭感覚おかしくなりそう」
おまけに今私がこれを使えるのも祐太のガチャで資金が潤沢になるまで一時的とはいえエヴィーが資金提供をしてくれるから。本当に私はおんぶに抱っこな人間だ。
「ふふ」
失敗すれば死ぬ状況なのに、また余計な事を考えているのが可笑しくなった。
私は草むらにしゃがんだまま、もう一回深呼吸してスキルを唱えた。
「【剛弓】【精緻一射】」
同時に火の魔法矢を放った。鋭く。そして真っ直ぐ赤い矢が飛んでいく。その矢が見張りをしていたゴブリンライダーの太ももに突き刺さる。狙い通りだ。そのままライオンの胴体にまで火の魔法矢が入り込んだ。瞬間。
「ギャアアアア!」
ゴブリンライダーの断末魔が聞こえる。火魔法のエンチャントがかかった魔法矢を食らったことで、ゴブリンライダーのゴブリンとライオンの両方が燃え上がった。これにレッドゴブリンが反応した。奇襲を受けていると判断したはずだ。
他のゴブリンライダーに命令して周囲の警戒を強くする。ゴブリンライダー残りの16騎が一斉に警戒を始める。しかし、
「よし、こっちに気づいてない」
見張り役のゴブリンライダーの死角から矢を放った。そして矢を受けたゴブリンライダーは一瞬で炎に包まれた。全身が焼かれる痛みにライオンが暴れた。そのことによって、どこからの攻撃なのか把握できていない。
周囲を警戒するゴブリンライダーが一気に増えたが、だからといって散り散りになって探索するというわけでもなかった。
「この間に離れる。匂いは臭いけど糞尿の香水のおかげでライオンにはバレないと。ふふ」
きっと私が美人になったと嫉妬していたクラスの女子たちは、こんな私の姿を想像もしてないだろうな。私は祐太とエヴィーと話し合って決めた作戦を思い出していた。
『攻撃されたことにゴブリンライダーはすぐに気づく。でもどこから攻撃されたかは判断できないはずだ』
『ミスズ、焦らずにゆっくりと仕留めていきなさい。一体、一体確実に数を減らして行くの』
『10騎にまで減らすことができたら、絶対に勝てる』
『このやり方ってステータスに影響出ないの?』
『多分、大丈夫だよ。ただ全部それで倒したら駄目だからね』
祐太はそう言ってくれていた。エヴィーもアドバイスしてくれたが、あんまりエヴィーの言うこと聞くのは好きじゃなかった。それでも彼女はちゃんと教えてくれるから、私もちゃんと聞く。
どうしてステータスに影響が出ないのか祐太に聞いたら『ごめん、感覚的には何となくわかるんだけどうまく説明できない』と言われてしまった。私は一騎だけ仕留めて、再びゴブリンライダーから距離を置いて、500mまで離れた。
『美鈴、俺は美鈴が心配だけど、これは一人でやってもいいと思う。俺やエヴィーだとできないことだけど、美鈴なら遠距離戦ができる。そしてこのクエストには時間制限がない。ゴブリンライダーは殺しても次にリポップするまで24時間かかる。だから時間をかけるつもりでクエストを達成するんだ。ヒット&アウェイ。ひっついては離れる』
ゴブリンライダーを一気に殲滅しようとすると、私一人だとどう考えても、殺されてしまう。しかしこの方法だとほぼ間違いなくゴブリンライダーの群れを殲滅できる。そして二点矢を手に入れることができればこっちのものだ。
そこからはこんなまどろっこしい方法を取らなくても、ゴブリンライダーを正面から殲滅できるようになる。私はそこからゴブリンライダー達が警戒を解くまで30分待った。そして再び接近して、ゴブリンライダーをまた1騎仕留める。
幸いなことにゴブリンライダー達は、同じゴブリンであるはずのリーンほどは頭が良くない。30分ほどすると仲間が殺されたことを忘れたように元に戻ってしまう。
「相手が人間なら絶対こうはいかないんだけどな」
バカで良かった。相手が人間なら2回連続やられた時点で違う行動をするだろう。警戒して周囲に索敵をするためのゴブリンライダーを放ったりとか、色々方法はある。しかし2階層のゴブリンライダーならまだそこまではしない。
私はそのままゴブリンライダー達を1騎、また1騎と仕留めていった。そして数が10騎にまで減る。ここまで一発も外すことなく行けた。この距離で一発も外さずにここまでいけるとはスキルとは改めて恐ろしいものだ。
再びゴブリンライダー達に近づいた。
「ようやくこの臭い匂いともおさらばかな」
ペロリと唇を舐めた。レッドゴブリンがギャーギャーと何か騒いでいる。また攻撃されると思っている。しかしそのために何をするべきかを明確には分かっていない。このまま同じことをしていたら、いずれは全員死ぬことだけはわかってるみたいだ。
死にたくないのは生命ある存在として誰でも同じだ。だから確実に数を減らされていき焦っている。レッドゴブリンを残したのは、エヴィーからのアドバイスだった。
『どんなやつらでもそうだけど頭を失うと、急に統率が取れなくなるわ。そうなるとゴブリンライダー達の行動が読めなくなる。だからレッドゴブリンは、最後の方まで残しておきなさい』
こういう作戦を考えることはエヴィーの方が一枚上手だ。実際ざわついてはいるが、ゴブリンライダー達は統率を失ってなかった。おかげで固まっているので、こちらとしても狙いやすかった。
「さてと、このまま全部殺してもいいけど、それだとA判定は無理だよね。そろそろ行くかな」
このままゆっくり狩っていけば一番安全だ。しかし、安全策ばかりをとればステータスの上がり方が非常に悪くなる。それは嫌だ。だから私は邪魔なギリースーツを脱ぎ捨てて堂々と立ち上がった。
「【剛弓】【精緻一射】!」
「【剛弓】【精緻一射】!」「ギギャー!」
「【剛弓】【精緻一射】!」「ギャギャ」「ギャギャ」「ギャギャ」「ギャギャ」「ギャギャ」
「【剛弓】【精緻一射】!」
「【剛弓】【精緻一射】!」「ギャギャ」「ギャギャ」「ギャギャ」「ギャギャ」「ギャギャ」
「【剛弓】【精緻一射】!」
私は立ち上がって堂々とスキルを唱えて弓を放った。最初から警戒をある程度していたのだろう。レッドゴブリンが叫んだ。それに残りのゴブリンライダーが反応した。今までどうして仲間が燃え上がっていくのかわからなかったゴブリンライダー達は、原因を見つけた。
最初から騎乗していた5騎が、一気にこちらに走り寄ってくる。
『一気に仕留める段階になった時は、見張りのゴブリンライダーから200mで矢を放つんだ』
『それだと一番遠くのやつには当たってもあんまり効果ないよ?』
『大丈夫。絶対あいつらは怒ってる。そんな心配しなくても』
「向こうからやってくる」
どんどんとこちらへと距離がつまっていく。祐太の言った通りだった。ものすごい勢いでゴブリンライダー達が私の元へと襲い掛かろうとしている。ライオンはゴブリンを乗せてすさまじい速度だった。みるみる彼我の距離が0になっていく。
私はSPがなくなったので、マジックバッグの一番出しやすい場所に入れてたSPポーションを取り出して素早く飲んだ。
ライオンがこちらとの距離をゼロにできるのは10秒かかる。スキルを唱えて矢を放つのに今の私で6発で7秒。練習してそこまで持ってきた。SPポーションを飲むのに3秒。6騎をなんとか仕留めたと思ったら目の前にレッドゴブリンがいた。
「ギャアアアアアア!!!」
そんなに恨みいっぱいの顔で睨まないで欲しい。こっちはか弱い乙女なんだから怖くなってしまうじゃないか。私はバックステップを踏んで弓を構え、レッドゴブリンの騎乗しているライオンめがけて火の魔法矢を放った。
『いいかい。リーダーのレッドゴブリンは多分【剛弓】でも打ち払ってしまう。だから慌てずにライオンを狙うんだ。そうしたら』
「燃え上がる」
「ギャアアアア!!!」
ライオンから燃え広がった炎が、レッドゴブリンに引火する。いくらレベル8でも体が燃えたらひとたまりもなかった。レッドゴブリンの体が炎に包まれると、後ろからさらに駆けてきていた3騎のゴブリンライダーが迷いを見せた。
『ゴブリンは人を見ても逃げないけど恐怖がないわけじゃない。特に無意味に死ぬことを怖がる。それでも攻撃してくるけど相手の強さに動揺する。特にレッドコブリンが死んだときに一般兵は自分がどう行動していいかわからなくなって迷う。残りの3騎をその間に仕留めるんだ』
「わかったよ祐太」
素早く2射した。2騎が燃え上がる。最後の1騎が動揺から立ち直りかけている。これ以上魔法矢を消費するのは非常にもったいない。しかしここで仕留め損ねたら何のためにこんなことをしてるかわからない。
「3時間かかったけど終わりよ!」
最後の矢を放つ。ゴブリンライダーが私の狙いに気づいて、メスライオンから飛び降りようとする。異種族とはいえ、伴侶である女の子を見捨てるなんて最低だ。でも飛び降りたゴブリンライダーはただのゴブリン。普通の矢で最後は額に当てて仕留めた。
【クエスト達成のお知らせをします。第2階層クエスト。A判定での達成を承認。スキル【二点矢】習得。A判定ボーナスにより主要ステータスを加算します】
「ありがと」
【了。力、素早さ、器用、SP+3が加算されます】
「やったね」
【二点矢と精緻一射を統合します。構いませんか?】
「お、お願いします」
スキルの統合。そういうものがあるとは聞いていたが、こんなふうに女の人の声がこちら側に尋ねてくるんだと初めて知った。
【了。二点矢、精緻一射統合。精緻二射になりました】
「ふう、よっし!」
クエスト達成のアナウンスが頭の中に流れる。嬉しくてすぐにステータスを開いた。
名前:桐山美鈴
種族:人間
レベル:4→5
職業:探索者
称号:新人
HP:23→31
MP:19→23
SP:25→31→34
力:22→26→29
素早さ:22→27→30
防御:21→24
器用:25→31→34
魔力:20→23
知能:18→20
魅力:49→52
ガチャ運:1
装備:ストーン級【髪飾り】
ストーン級【胴鎧】
ストーン級【脛当て】
ストーン級【小手】
ストーン級【肌着】
ストーン級【護符】×2
ストーン級【弓】
ストーン級【短刀】
ストーン級【履き物】
ブロンズ級【アリスト】(バリア値100)
魔法:ストーン級【レベルダウン】(MP3)
スキル:ストーン級【精緻二射】(SP4)
ストーン級【剛弓】(SP3)
クエスト:2階層A判定
「A判定してくれるなんて、嬉しいな。素早さが3人の中で一番になったじゃない。まあ祐太がもうクエスト達成してるだろうから、今だとあっちの方が上だろうけど、嬉しいな」
思わず顔がにやけた。クエストには達成に対する報酬がある。そしてその達成の仕方も問われる。最高の形で達成したと判断されるとS判定、かなり良い形で達成したと判断されるとA判定がもらえる。その他は全部クエスト達成の報酬が貰えるだけだ。
「Aでもなかなか出ないって話だし、かなり良かったってことだよね」
当然のように私はスマホを手に取ると祐太にまず電話した。そして何よりもまず匂いを落としに行った。





