第二百八十六話 訓練期間
俺は帰ってきて迦具夜や弁財天に甘えるのもほどほどに訓練に入ることにした。ただその前に確認事項だけは確認しておいた。
「じゃあ大丈夫なんだな?」
迦具夜が呪怨を自分から離している時、迦具夜は俺と融合しても寿命が縮むことはない。そして迦具夜の命はこれ以上縮まない限り、残り三ヶ月である。そのことだけはしっかりと確認しておいた。
どの道、迦具夜を呪怨から解放すると決めていた。しかしダンジョンの中では何が起きるかわからない。実際予定通りに行かないことがよく起きる。だから俺が"失敗"しても、迦具夜の生き残る手段は考える必要があった。
そんなことを考えていたら弁財天が口にした。
「帰るのに二ヶ月かかると考えて、今から一ヶ月以内にカインの排除ができれば、迦具夜は今のままでも大八洲国に生きて帰れる。そういうことよね?」
「早く帰ったからって、他の三種の神器がなければ同じよ」
迦具夜が現実的なことを言う。日本は最大戦力をこの戦いに投じた。それでも三種の神器を全て日本と迦具夜が独占できる可能性は、どこまであるか。
「そこはもう俺たちがこれだけ早く手に入れられたんだから、他の人も手に入れられると期待するしかない」
ユグドラシルに到着して2日ほどしか経っていない。自分でもたったそれだけで一番日本が欲しそうな【千年郷】を手に入れられたことがすごいと思う。何しろこの【千年郷】があれば日本の避難先として使える。
【千年郷】は大きさといいタイミングといい、日本にとって理想的だ。しかしそれを日本が存分に使うには、迦具夜が神になって、日本に貸してもらわなきゃいけない。なれなかった場合でも一年は貸してもらえる契約を結んではいる。
だがやはり三つ揃えられるのが理想だ。ただ、迦具夜が呪怨から完全に解放された場合、残りの寿命が伸びる可能性も考えられ、そうなると迦具夜は必ずしも残り三ヶ月という時間に縛られる必要がなくなる。
迦具夜が生きてさえいれば、たとえ迦具夜がまだ神になっていなかったとしてもも、三種の神器の貸与期間は二年、三年と伸ばせる。やはり密かに俺が考えていることは、日本にとっても迦具夜にとっても良いことに思えた。
「最初は織田ももう少しゆっくり動くつもりだったでしょうけど、私たちが急ぐのを見て一気に私達のペースに合わせてきた。近藤家もおそらく同じ動きをすると思う。そして白禿家もきっとそうするわ」
「まあそこが問題なんだよな」
「そして一つでも逃したら私たちは負けだものね」
敵に一つでも手に入れられて逃げに回られたら、その間に迦具夜が死ぬし、俺も死ぬ。そして日本自体が長期間はもたない。弁財天はそう思ってる。でもそうじゃなくなる方法があるんだ。
「ともかく俺たちは俺たちのやるべきことをやるしかない。俺自身が後二つの三種の神器を手に入れてる余裕がないのは明らかだしな」
どうにも俺のダンジョンからの好かれ方は異常。それは今回の件でもわかる。かなりのリスクを背負ってそれが成功すると、あらゆる時間的制限を飛び越えるほどの結果を見せる。でも後の二つは他の人たちに任せるしかない。
自分よりもはるかに強い人たちに任せる。本来はとても安心できるはずのことなのだが、どうにも不安が拭えなかった。
「そうね。あとの私たちの役割はカインだけ。カインさえなんとかなれば……」
「祐太さんの目が奪われることだけは避けたいですしね」
「そんなことになったら祐太君に抱かれるたびに気になって仕方ないわ」
そしてこの三人は一番心配してるのは俺のことのようだった。考えてみれば目が取られるだけって、日本全体のリスクを考えたら大したことはない気がする。それでも迦具夜たちの最優先は俺の目のことだ。
「三人とも。迦具夜の寿命のことも考えると、俺の準備期間は一週間だけでいい。今更ジタバタしても仕方ないのかもしれない。それでも迦具夜と融合した場合、使えるスキルや魔法を一つでもいいから教えてほしい。どうあっても勝たなきゃいけない。勝つためにそれを教えてほしい」
カインを壊せというレガの言葉に思うことはあった。そもそもカインは間違った存在ではない。おまけにヨーロッパ的には絶対に生きててほしい存在。そのことも何度も考えた。ただそれを言えばエルフさんだってそうだった。
だから思う。自分が正しいことをしている瞬間など、戦争においてはほとんどないのだと。せいぜいが自分の国と大事な存在のために戦うだけである。
「分かったわ。まず私からでいいわね?」
弁財天が前に出てきた。最初に訓練をつけてもらった時もそうだったし、今回も最初は弁財天からだ。
「ああ、頼む」
以前と同じく額を合わせた。弁財天の綺麗な顔が目の前にある。しっかりと体を密着させて、その状態で魔力を交わらせる。さらに着物を脱ぐと素肌が密着してあらゆる部分も結合した。そのことにもはや迷いもなかった。
弁財天と深く繋がったまま、やり取りを開始する。迦具夜と融合した俺はできることが全く変わる。理解力は格段に上がるし【異界化】ですら普通に使える。また使える火の魔法も全く変わる。水素を融合させて核魔法ですら使える。
迦具夜の知識も入り込んでくるから、大丈夫とは思うが、それでも魔法の専門知識は弁財天の方が強い。とてつもない快楽の中でどこまでもどこまでも弁財天と俺が自分の中を共有していく。レベル900代で使う魔法は、情報量が違う。
《祐太君がレベル900になれば私の魔法はきっと何でも使える。その中で祐太君と迦具夜に合わせて私の魔法を一つだけカスタマイズしておいたわ。多分覚えられるのはその一つだけだと思う》
《一つだけ?》
思ったよりも少ないと思った。
《ええ、今から迦具夜と融合した状態にはなれないし、この魔法は超位魔法とでも呼べるものよ。レベル400だと知識を入れておくだけでもそれが限界になってしまう。言っておくけど【異界化】よりも難しいからね。その代わりこの一つは必ずカインに心臓に届くわ》
《弁財天は俺がいくつも覚えるよりもその方がいいと思ってくれたのか?》
《ええ、そうよ。いつもあなたのことを一番に考えてる私がそう思ったの》
《それならそれでいい。ありがとう》
《お礼なんて言わないで。あなたのためにできることは何でも楽しいのだから。伝えるからしっかりとね。かなり負担は大きいわよ》
《分かった》
覚える魔法を一つだけに絞って、どんな召喚獣が出てきても俺が対応できるように、弁財天がさらに知識を流し込んでくる。徐々に弁財天が伝えてくる魔力量に体が悲鳴を上げ始めると俺は自分の首を落とした。
物理的に落としたのだ。そして義体と入れ替える。これでさらに無茶ができる。
《もう。簡単にそういうことをする》
これで本当の意味では交われなくなったことにも不満そうだ。
《ごめん。でも、迷ってる暇はない。弁財天。何があっても勝たなきゃいけないんだ》
《それは分かってるけどね。あなたが傷つくと、私も痛いと思ってる。自分だけではないんだと思って、自分の体を大事にしてね》
優しく言われると弁財天が知っているルビー級の更に上、サファイア級のレベル1000を超えたものが使用する魔法の知識が入り込んでくる。迦具夜と融合すればこれも使えるようになるのか。脳みそだけは何とか壊れないように気をつける。
膨大な情報量に頭が痛くなる。途中で耐えきれなくなって嘔吐してしまう。それでもすぐに再開した。
《祐太君。正直これを教えても私はまだ不安。それぐらいレベル1000を超えた半神というのは厄介なの。でも私のために必ず勝ってね。そして私のところに帰ってくるのよ》
《ああ、ちゃんとここに帰ってくる》
そんな叶える気のない約束を俺はした。
二日間に渡る苦行だった。48時間眠ることなく、休みは最小限に、赤い髪の執事が食事を勧めてきたがそれも断り、弁財天に教えてもらい続ける。蒼羅様の中でのような艶事は途中から完全になくなった。
ただただ集中し、自分の肩に日本が乗っかっていることにプレッシャーを感じながら急ぐ。吐いたり体が腐ったり、そんなこと気にもならないほど俺は集中した。またこんな時こそ集中しなければいけない時だった。
釣瓶落としのように時間は容赦なく早く通り過ぎていく。実際には時間にどこまで余裕があるかなんてわからなかった。だから1週間と自分が最初に思った時間を守ろうと思った。その結果弁財天と48時間——。
「二日で教えられることはこれで終わり」
ずっと弁財天と繋がり続けて、離れると妙に寂しさを感じた。俺は再びこの手の中に弁財天を感じられる時が来るだろうか。できるようにしなければいけない。迦具夜だけじゃなくいろんな人たちとまた笑顔で会えるように頑張ろう。
「本当にありがとう。弁財天が教えてくれたおかげできっと勝てる」
「祐太君。もっと教えてほしかったら本当にちゃんと帰ってきてね」
何か気づいているように言われた。俺が覚えられた魔法は一つだ。それ以上はどうしても、知識として頭に入れるだけでも入れられなかった。それぐらい神が使う魔法というのはまだ人でしかないこの体には厳しいのだ。
「祐太さん」
千代さんが次の訓練を与えてくれる。そして最後が迦具夜だ。弁財天と千代さんにできるだけルビー級最上位になった時、戦えるようにしてもらい。最後に融合する迦具夜と一番長く時間を取って、訓練することとした。
「千代さん。お願いします」
正座してちゃんと頭を下げておく。洋室でそれをするとどうも妙な感じになるが、千代さんも正座してそれに応えてくれた。俺は最初体を元の自分のものに戻した。最初は千代さんの体のぬくもりを感じたかったし、千代さんも俺の体を望んだからだ。
そして弁財天と同じく着ているくノ一の衣服を脱ぐと額を合わせて、体のあらゆる部分を結合させた。二人だけの時間が始まる。外部からの声はシャットダウンして、ただ千代さんが伝えてくる全てを受け止めることに集中する。
《では私からも教えます。その前に一言だけ。祐太さん愛してます》
千代さんの真剣な思いが伝わってきた。
《急にどうしたの?》
《祐太さんはどうですか? 私を好きでいてくれてますか?》
《もちろん好きだよ千代さん。愛してる》
視界も聴覚も嗅覚も触覚も味覚もあらゆる肉体的感覚がなくなり、ただ意識の中にだけ二人が浮かび上がる。この中でずっと二人で全てを交わらせ続ける。
《ふふ、そう言われるるってことが本当に幸せです。それに私この時間が大好きです。でも楽しんでばかりじゃいけませんね。祐太さんにとってとても辛いと思うけど耐えてください。私から教えるのは【超自然】と【切絵】この2つです》
それは信長相手に使っていた千代さんのスキルだった。どういうスキルなのか正直見ててよくわからなかった。信長と戦ってる時の千代さんの姿は見えなかったし、技には華々しさもなかった。ただシンプルに人を殺す。
対人特化だという千代さんのまさに人に向けられる最大の刃だと思えた。そのことは鮮明に記憶として残っている。だがどうやってそれができたのかだけは理解できないのだ。
《いいですか。まずこれを教えておきたいのですが【異界化】という魔法には弱点があります。何か分かりますか?》
《弱点? そんなのあるの?》
【異界化】は唱えることだけでも難しい。しかし、唱えればほぼ100%の確率で敵の攻撃を無効化できる。消費の問題も迦具夜と融合すればほとんど考えなくてよくなるし、カインとの戦いでもかなり使う気でいた。
でも完全につながっている今の状態だと千代さんが何を思ってるのか伝わってくる。【異界化】はすごい魔法ではあるし、ルビー級最上位の戦いになると必要不可欠な能力にもなる。しかしそれだけでは問題がある。
千代さんはそう思っている。
《そもそも【異界化】はルビー級最上位だとほとんどの人間が使えます。そして魔力を消費しすぎるので発動したことを隠すことが困難です。おまけに相手も唱えれるので、無効化される確率も高い》
《そうか……お互いに唱えた状態だと、お互いの攻撃が当たらないだけになる?》
すぐにそのことが頭に浮かんだ。千代さんと交わっているから余計そのことが実感として伝わってきた。
《そうです。すごい魔法ではあります。ルビー級だからと言って必ず唱えられる魔法でもありません。しかし、個体差の出にくい魔法だとも言えます》
《考えてみればそうか……。【異界化】という魔法には別に威力があるわけじゃない。そうなるとカインが【異界化】を唱えられたら、こっちは唱えても千日手になるんだ》
そうなってきた時に一番物を言うのは、単純なMP量であり、持続時間にもなる。迦具夜との融合には時間制限があり、単純化した力技勝負になって困るのは俺たちの方だ。
《そうなんです》
俺が頭の中に浮かんだ言葉も伝える気がなくても、千代さんに伝わった。だからこの状態で訓練というのは、蒼羅様の中にいなくても非常に効率的だった。
《そこで必要になるのが【超自然】です。自然と一体になるこのスキルはルビー級にもなってくると消費をほとんど無視していいレベルです。回復力の方が上を行くほどなので、私なら1年間ぶっ通しで唱え続けることもできます》
つまり永続魔法として常駐させることができるのか。12英傑でも千代さんの相手は怖いという。その最大の理由がきっとこれなのだ。まだ若い12英傑は千代さん級に気配を消されると、それをつかめる能力を持ってない。
つまり自分たちを斬れる刃を持ち、それが常にどこから飛んでくるかわからない。どれほど強くてもそんな相手は怖い。青蛙の時にも気配を消すことは教えてもらったが、それをもっと高いレベルで教えてもらう必要がある。
《【超自然】というのは消費は少ないですが、その分非常に難しいスキルです。2日で覚えるのは正直無理でしょう。ですから【自然化】のレベルをどこまで上げられるかです》
《それでカインに通用する?》
俺が既に持っているスキルである。そのレベルを上げるだけでいけるだろうか?
《カインは若い神です。真性に至るどころか半神としてもまだまだです》
《でもカインの強さのほとんどは召喚獣だよね?》
《召喚士がまだまだなら召喚獣もまだまだなのが常識です。カインには一番気配を隠すことに特化している狼人間の召喚獣がいるのですが、これも【自然化】以上のスキルは持っていません。何度か私がその姿を確認したことがあるので、それは確かだと思います。向こうは私を分かっていませんでした》
エヴィーを見ていても思ったが、召喚士というのは何でもできるが、それでいて全てが中途半端に陥りやすい。
《つけ入る隙はあるってことか……》
《召喚士は大器晩成です。時間をかければかけるほど、召喚獣がそれぞれに一流へと育っていき、それぞれが神と同等の実力を発揮しだす。むしろあの若さで召喚士のカインが12英傑に入れたことが奇跡です》
《カインの召喚獣にはビッグネームが多いよね》
ヨルムンガンドにビヒモスにバハムートにレヴィアタン。ダンジョンが現れる前から有名だった伝説上のモンスターだ。カインは有名になった時それをすでに持っていたのだという。
《そうです。カイン持っている召喚獣が破格に良い。何者かに手助けされたのでしょうが、よほど気に入られたのでしょう》
《やっぱりアフロディーテ?》
《おそらく……。ただ少し疑問は残ります》
千代さんは別に言うつもりもなく考えた。ヨルムンガンドなどは本来悪神側のモンスターとして有名なのだ。それをどうして神のカインが召喚できるのか。そのことは以前からカインを見て不思議に思ってたらしい。
《カインの持っている召喚獣は正直、悪神にとっても大事な戦力となりそうなほどの召喚獣です。おまけにカインに与えれば弱くなってしまうのにそれでも与えてる。これも不思議なことなんです》
《本来だとかなりカインは意味がわからない状態なんだ》
《まあ今はこのことに言及しても仕方がないのでやめておきます。召喚獣が異常に強いカインは舐めてはかかれませんが、本人が未熟な故に勝ち目がない相手でもない。1日かけて【自然化】を教えます。残りの1日で【切絵】を渡します。では始めましょう》
千代さんが俺も同じように気配を消していく。だんだん自分がなくなっていくようなこの感覚。レガの屋敷の中、その空気の一部、絨毯の一部、家具の一部、そうなっていく。
今落ち着いて千代さんと合わせてみて、気配を消すために何が必要か。空気とは何か水とは何か土とは木とは家の中にあるつまらない家具の一つ。
《人が人をそう見える瞬間が大事なのです》
千代さんの息がかかってくる。それなのに俺の目にも耳にも鼻にも口にも何もかもに千代さんが感じられない。この世にある全てのものが自然なのだと。重力すらも操り、何もかも手のひらの上に置き、誰も見えなくなる。
【異界化】に頼らない長く時間をかけてきた研鑽の結晶。【超自然】は千代さんの強さの真髄が一番込められてる。それを惜しみなく伝えるのは、これが初めてだと千代さんから伝わってくる。
そもそも千代さんは長く生きていても、誰かにこれほど与えたいと思ったことがない。正確に言えば一人だけいたけど、弟はそれを全く受け取る気がなかった。
《今ではあの子に感謝してます。おかげで私はあなたに全部捧げられる。私はあなたのものにしてください》
《……千代さんを少しだけ理解できる》
《どういう風に?》
《俺を好きだと思いすぎていることとかかな》
《それはまだ足りないぐらいです。それで?》
千代さんは肝心のことを理解できたかと聞いてきた。
《俺自身も周りと変わらないものでできてる。だからあらゆる状況に本来は順応できる》
《その通りです。祐太さんはきっと私より筋がいい。だからなんとか覚えてみてください。カインはまだ召喚獣が11体います。先ほどはこれが弱点のようにも言いましたが実際のところカインはとても殺しにくい相手です。召喚獣全てが他の足りないところを補う。すべて揃い踏みしてこちらに襲いかかってきたら厄介ですよ》
《そこを何とか殺しきる》
今まで俺は何度か千代さんの【超自然】で死にかけている。そのことによって体で気配を消すということを覚えてきた。消すというよりも自然と一体化する。ルビー級でも本当に限られたものだけが使える技。
それを1日かけて頭の中に流し込んでいく。戦いの中の隙間ならば俺の【自然化】でもかなりカインは捉えにくい。そうして何とか11体の召喚獣を超えて、カインを直接叩かなきゃいけない。
そして1日が経過する。俺はまだまだ完璧ではなかったが、1日前よりは知識としては【自然化】について詳しくなれた。後は融合した後で実際使えるかどうかである。
《——では最後です》
最後に次元ごと断ち斬る技。【切絵】を教えてもらった。
《【切絵】に斬れないものはありません。あらゆる物理的強固なつながりを全て断ち斬る。信長のように次元ごと元に戻すなどということができるものは滅多にいません。当たれば必殺。ポーションがあっても治しにくい傷になります》
次元を斬るというイメージがまず大事なのだという。普通に斬るのとは違う。空気も水もそこにある空間そのものが繋がりを斬り離される。離された命は普通終わる。それでも終わらないのがレベル1000を超えるということ。
だからこそ、それすらも断ち斬る完全なる切断。【切絵】の詳細が俺には必要だった。





