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第二百七十七話 ダンジョンに好かれる

「こちらになります。入った瞬間体に違和感を感じると思いますが、少しばかり我慢をしてください」


 執事が扉を開いて部屋の中へと招かれる。部屋の中は真っ暗で、目の前には何かあるように見えなかった。ただ足元からほんのりとした光を感じる。下に何かある。目を向けようとした瞬間だった。扉がバタンと閉まった。


 それと同時に執事に言われた通り、体に違和感が起こる。体が締め付けられるような感覚。そうするとどういうわけか自分の体がどんどんと縮んでいく。真っ暗闇の中でどんどんと足元の光が俺を吸い寄せていくようだ。


 ほんの数秒で体が完全に縮んでしまう。目の前にキングサイズのベッド。豪華な椅子とテーブル。テーブルの上に香が焚いてあり甘い匂いがする。暖炉には火が灯され薪の音が部屋に響く。外は暗くなっていてランプの炎が揺れていた。


 他にも魔導具と思われる異様な牙や羽。本物の星が浮いているように見える天球儀。六芒星をかたどった大きな宝石。俺の姿が写っていない妙な鏡。苦しむ人の顔が浮かんだ壺などのアイテムが所狭しと並んでいた。


《華、頼むぞ》


 残る俺の守りは華の魔法護符だけだ。シルバー級でどこまで通用するかは分からないが声をかけておいた。


《お任せください。っと言いたいところですが、相手の方が格上なので正直あまり役に立ちません。多分このお爺ちゃん。全部わかってます》

《……お爺ちゃん》


 そう言われてテーブルの方をもう一度見た。白い髭と頭髪のない老人が席に座っていた。そこから黒い淀みが俺の方に襲いかかってくるような気配がして息を呑む。実際には何も襲ってきていない。ただ老人を見た瞬間そう思えたのだ。


「すまないな六条祐太。体のサイズを少しばかり変えさせてもらった。それにしても、ダメと言ったのについてきたか」

「うん?」


 何のことかと思ってふいに後ろを振り返ると、俺の身長の10倍はあろうかという扉があった。そのことにギョッとするとともに、俺と同じサイズになってる女性がいた。かなりきわどいスリットの入ったくノ一の服、というか、


「何でまだいるんだよ」


 完全に姿を現して千代女様がいた。


「どうして……」


 千代女様は自分の姿が隠れていないことに驚いて体を見ていた。


「力を操れない。この感覚……魔力もダメ。【封印術】?」

「左様。ひねくれた悪い女だ。何とか忍んで入り込もうとしたのだろうが、無駄だよ。この部屋はこのワシの領域。ワシ以外の人間は魔法もスキルも使うことができん。小娘よ。そんなに六条が気になるか?」

「それはもちろん。私の見ていないところで死ぬかもしれないと思うだけで生きた心地がしません」

「そうか……。ならばいても良いが邪魔をするなよ」


 頭髪のない老人は、自分の豊かに蓄えられた髭を撫でた。そう見ると好々爺のようにも見える。しかしその瞳は真っ黒に染まっていて、痩せ細った体から抑えきれない妖気がたゆたう。一緒にいるだけで息をするのもしんどく感じた。


「邪魔はしません。ここではできないようですし」

「ではこれから先しゃべるなよ。六条。ワシが今回ヌシを招いたこの館の主、小人神レガ。どうぞ座りたまえ。ヌシと話がしたかったのだ」


 促されるまま2つ用意されていた椅子の右に座り、左に千代女様が座った。レガはまるで最初から千代女様がここに座ると分かっていたように飲み物も用意されていた。それはあまりにも赤い飲み物で"血"にしか見えない。


「血ではないぞ。ワインだ」

「えっと……」


 雰囲気的に若い女の血でも入れてるのかと思ってしまった。そして思っただけで心がわかるようだった。それは翠聖様を思い出させた。


「さすがにあそこまで化け物ではないよ。あれはもう万を超えて生きとる。ワシはそれには届かん。それでもルルティエラ様から『世界を滅ぼせ』と命をいただいたあの日から、こう見えてこの国では3番目に長生きだ」

「『世界を滅ぼせ』。そんなことを言われて生まれる存在があるのか?」

「未だそれは叶わぬがな。我を不甲斐ないとルルティエラ様も嘆かれていることだろう」

「いや、ちゃんと聞きたい。ルルティエラ様は世界を滅ぼしたいのか?」

「そうだよ。六条祐太。ルルティエラ様はそれを望まれている」

「自分で創造した世界なのに?」

「そなたは自分の作った砂山を潰したいと思ったことはないか?」

「それは、あるけど」


 というか実際に潰したことがある。でもそれは砂山だからだ。


「ワシは思うのだ。ルルティエラ様にとってはこのダンジョンも気まぐれに創った砂山に等しきもの。少しばかり見栄えはいいがそういうものほど不意に壊したくなる。だから我らにその役目を与え命をくださったのだと」


 相手の瞳はどこまでも暗い。それを見つめると吸い込まれていきそうだった。


「あ、ん……」

「祐太ちゃん、相手に呑まれないでしっかり、お姉ちゃんが隣にいますから」


 千代女様が手を握ってくれた。そのことでかなり心強く感じた。


「怯えさせるつもりなどないぞ。まあ落ち着くためにワインでも飲むことだ。このニザヴェッリルのワインだ。100年もので、魔法を使って特殊な熟成をしている。このワインはワシが結構こだわって品種改良を施している。年代を経るごとに血のように赤く甘くなめらかになる。なかなかに良いものだぞ」


 毒など入っていない言葉を信じ、俺は手に取ると一気に飲み干した。


「うっ」


 そして思わずむせ返った。何度もごほっごほっとしてしまう。


「六条祐太。わしの言葉をしっかり聞いておかねばの。ここでは魔法もスキルも使えんぞ。つまり、どのような強きものも普通の人間と変わらぬ存在になる。探索者としてのアルコール耐性などないぞ。まだ誕生日は来ておるまい。つまり15歳の体そのままということだ」

「先に言ってくれっ喉が灼ける!」

「アルコール度数を言おうと思ったのに先に飲むからだ。ついつい刺激を求めてしまいアルコール度数を極限まで上げてしまった。なんと87%だ。ちと15歳には早かったか」

「それで……」


 急激に体全体までカッとは熱くなってくる。普通に飲めていたお酒が、今は強烈な酔いを起こさせた。目の前がぐらつく。それ以前にワインで87%のアルコール度数とか可能なのか。いや、まあ魔法だから何でもありなのか。


 それに確かに甘みとまろやかさを感じ、芳醇な美味しさはあるような気がした。もったいない。もうちょっと味わって飲めば良かった。


「もう一杯飲むか? 小人神レガの古酒といえば、神がこっそり買い求めるほどなのだぞ」

「いや、いい。これ以上飲むとただの酔っ払いになってしまう」

「ふぉっ、ふぉっ。本来のヌシはあまり酒には強くないようじゃの。小娘は強いようだ」


 俺が飲んだのを見て千代女様も口に運んだようだ。しかし特に酔っ払った様子もなくむせ返るわけでもない。


「忍びの里で毒物は散々経験しましたから、私はこれぐらい平気です」

「毒ではないと言うておろうに。しかしヌシは格好がつかんの」

「う、うるさい。すぐにおさまる」


 なんとか呼吸を整える。そしてもう一度レガを見た。ワインをいっぱい飲んだだけである。そこまで完璧に酔いが回ってきたわけじゃない。しかしこれ以上飲まない方が良さそうなのは間違いなかった。味。そんなの楽しむ余裕はない。


「せっかく上手い酒が台無しよ」

「その話は終わりだ。用事があったから呼んだんだろう?」

「そうだ」

「それなら、ちょうどよかった。俺も小人神レガに聞きたいことがあるんだ。そっちの用事を先に聞くから言ってくれ」


 レガは女と酒を用意してくれた。ワインに妙なものが入っていたわけでもなく、もてなされてることは間違いない。しかしただの15歳に戻れば、この自分がひどく頼りなく思えた。俺は千代女様の手を必要以上に強く握った。


「ふむ。六条。この爺はこれからヌシにとって少々酷なことを言うことになるぞ。聞けばヌシは悩むこと間違いなしの内容だ。だがワシはそれでもヌシにこの話を聞いてもらいたいのだ」


 老人の完全に全てが黒い瞳が俺を捉える。その目を見ているだけでどこまでも奈落に落ちていきそうな感覚がした。いや瞳が黒いんじゃない。そもそもあるべき場所に瞳がない? この悪神、ひょっとして目がないのか?


 俺はもう一度息を呑んだ。


 この異様な老人に何を言われるのだろう。


 後四ヶ月後に死ぬ姿が見えるとかそういうことか。


 このレガという老人から言われるとそれは本当になりそうだ。お酒を飲んだせいか心臓が高鳴る。どうにも気分が落ち着かない。ダンジョンの中であれほど度胸がついたと思ったのに、手足が震えてそわそわしてる。


 千代女様に頼りたくなってくる。抱きしめてもらえばずいぶん気持ちが楽になる。それでもダンジョンの中で自分は何を学んだのか。何よりも死ぬことを怖がる場合ではない。子供のままではもういられないのだ。


 千代女様から手を離した。ぎゅっと自分自身で手を握って、レガのどこまでも深く闇の奈落に落ちてきそうな何もない瞳をできるだけ正気で見つめた。


「言ってくれていい」

「15でこのレガの虚ろな瞳をまっすぐ見れるならばまあ大丈夫じゃろ。伝えたいことはな【そなたはこちら側の人間。そのことを理解してほしい。ダンジョンの全てを壊す。そなたはその運命の子供なのだ】」

「……」


 息が詰まりそうになる。その言葉を聞いた瞬間。息が余計に荒くなる。どうしてか嘘だと思えず本当だと思った。頭の中で何かがスパークしたように繋がり始めたからだ。今までおかしいと思っていたことが全て繋がった。


 ダンジョンの全てを壊す。


 俺が悪神側の人間。


 その言葉が頭の中で何度も何度も響き出す。そうするほどに繋がる。勇者は最もダンジョンに嫌われているもの。それでいて勇者は勇者と名乗っている。機械神は平等。女神は不平等。それならば勇者を嫌っているのは機械神ではなく女神。


 ダンジョンに好かれているもの。ダンジョンにそう呼ばれている存在は女神から好かれている。勇者の逆は何だ。機械神が平等に正しく名前を与えているのなら、俺は……。翠聖様や迦具夜でも、俺のダンジョンからの好かれ方は異常と言う。


 伊万里の裏切りを知らせたのは女神……。


「な、何を言ってるんですか!?」


 俺が言葉を返せずにいると千代女様がレガに聞き返していた。


「そなたは口を挟まぬ約束であったな? いやそもそもしゃべるなと言っておいたはず」

「そんな嘘を言われても祐太ちゃんも困ります!」

「それを判断するのは小娘ではない」

「……あなたは祐太ちゃんを嘘で傷つけるつもりですか?」

「嘘ではない」

「嘘です!」

「2度目だぞ小娘。お前が口を挟むことではない」

「私は彼の姉です」

「ふん、おままごとの姉であろう。同情心から付き合ってもらっているだけが何を抜かす」

「殺す」


 千代女様が動こうとした瞬間、椅子から触手のようなものが伸びてきて千代女様を捕らえた。そのまま縛り上げ、ギチギチに千代女様を微動だにできないように関節すらも外せないぐらいに雁字搦めにしてしまう。


「何を!」


 その言葉も塞ぐように触手が千代女様の口も塞いだ。千代女様のうめき声だけが聞こえる。千代女様がレガからそんなことをされているのに俺は言葉を返せなかった。ただ今の言葉を考え続けた。


 考えて考えて考えて何とか答えを見つけようとする。どうしても考えなければまともな言葉を返せる気がしなかった。【思考加速】を使えればいいのだが、それすらも封じられていてただ考え込むことしかできない。



「——どれほど考え込んでいた?」


 ふと顔を上げた。気づけば思考の海に沈み、かなり長い時間何も喋っていなかった。横を見ると千代女様まだ縛られたままだった。


「六条、そなたの時間の中では32時間43分56秒。実際には1時間23分11秒といったところだな。途中で待つのが面倒になって、少し力を返してやった。まあ本来なら5分ほどで終わったと思うがな。六条。どの道完全に敵意がないと判断できていない相手の前ですることではないな」

「そうか……失礼をした」

「そなたにとってはショックだったろうということは容易に想像できる。探索者となり【思考加速】で膨大な量の情報を一瞬で考えられるようになった弊害とも言うべきか。大抵のものはワシの部屋に入ると呆れるほど長く考え込みだす。レベルが高いものほどそうだ」


「ううん!?」


 千代女様がまだ縛られたままで俺を心配そうに見てきた。かなり藻掻いていたのだろう。いつも涼しい顔をしている千代女様が衣服まで汗でぐっしょり濡れていた。俺は自分が大丈夫だと彼女の手をしっかりと握った。


「解いてはやらんぞ。暴れられてもワシは大丈夫だが、ここには大事なコレクションが溢れている。壊されては適わん。それに小娘は拘束を解いた瞬間私を殺してやろうとまだ考えておるままだ。世界などどうでもよく、六条祐太。ヌシを傷つけるもの全てを許さぬ。その思いだけでいっぱいだ。まあ小娘自身が、今回の件に思い当たる節が全くないわけでもないから余計であろう」

「ううん!」

「大丈夫だから。そんなに心配しないで。ちゃんと自分で話せる。それと殺すのはダメ。勝てないのが分かってるでしょ?」

「ううん!」

「大事に思ってくれるのは嬉しいけど今は俺に任せてよ。それともそんなに頼りなく見える?」


 そう言って俺は真剣に千代女様を見た。そうすると千代女様の顔が泣きそうになっていた。千代女様の中にある本当の弟に対する後悔。実際の弟には触れることも怖くて死ぬまで何もできなかった。陰では守り続けたけど、実際には何もしゃべれなかった。


 あの日別れたまま……。


 後悔したからその思いを俺に全部ぶつけた。肉の交わりとお姉ちゃんと呼ばせて、弟へのフラストレーションを全て俺で解消していた。その代わり俺を守ってあげようと必死になった。そういうことを全部知ってる。


 あの蒼羅様の中での濃厚な交わりの中で伝わってきた。


「安心して。俺は俺のことを好きだと言ってくれた人から逃げたりしない」

「うん……」


 千代女様が頬を赤くした。そしておとなしくなった。手だけは握り続けていて欲しいという思いが伝わってきて握っていた。


「ふん、よく調教しているではないか」

「変な言葉使いはやめてくれ。俺は自分を愛してくれる人を愛し続けると決めてるだけだ」

「……まあよい。それで1日以上考え続けた結果は出ているのか?」


 レガが俺の顔を見てきた。相変わらず真っ黒な瞳だった。


「正直、どれだけ考えても頭の中で思考がループするだけで、レガの言葉の真意は分からなかった。あなたは悪神だ。その言葉をどこまで信じていいのかも俺には判断がつかない」

「それは確かにそうだろうな」

「レガ。あなたは俺にその言葉を伝えて何かさせたいのか?」

「ふむ。2つほどやってもらいたいと思っていることはある。一つは時が来ればで良い。もう一つはできるだけ早くしてもらいたいことだ」

「見返りはあるのか?」


 頭の中で考え続けた結果。レガの言葉に対する動揺は消え去り、冷静にしゃべれるようになっていた。それでも意識的に先ほどの言葉の続きを聞くのを避けた。それ以上聞くのが怖かった。


「もちろんだ。六条の望むものを何でもやろう。そうだな。心の中を見る限り、今すぐ欲しいのはヌシも2つ。三種の神器の一つが欲しい。そして月城迦具夜の体に入り込んでしまった【呪怨】を消し去って欲しいというものだな」

「話が早くて助かる」


 確かに叶えて欲しい2つといえばその2つだった。クミカで経験しているが、心を読める相手というのは便利だが厄介だ。何よりも嘘はつけない。俺の恐怖も全て気づきながらレガは話しているのだろう。


「1日以上考え込んだとはいえ、驚くほど心が落ち着いているな」

「そのふりをしてるだけだ」

「そうか……。話を進めよう。あまり待たせると外の女2人も騒ぎ出す。まず三種の神器の一つが欲しいということだが、直接的にそれを叶えるのは不可能だ」

「無理か……」


 落胆した。正直ここで無理なら、次の悪神を探してる間に二ヶ月が過ぎてしまわないかと思えた。


「直接的には無理と言っただけだ。ルルティエラ様がユグドラシルの近くまで来られていたことは気づいていた。ただ、この爺の虚ろの瞳でも正確な場所はつかめなかった。そして、三種の神器には縛りがかけてある。それはこのクエストに参加していないものの魔法やスキルには反応しないというものだ。また実際に触れることもできぬから持ってくることは不可能と言ってるだけだ」

「じゃあ別の方法がある?」

「そうだ。ここを訪れたルルティエラ様自体はお隠れになる意思を感じなかった。それならばルルティエラ様が最終的にどこにいたのか行動の軌跡を追うことは可能だ。その場所さえわかれば三種の神器の一つはほぼ確実にヌシの手に入る。だからワシはルルティエラ様が行動した軌跡をヌシに教える。これならどうだ?」

「それでいい。見返りは?」


 前のめりになって聞いた。それなら見つけられる可能性が非常に高い。


「この爺も自分で口にしておきながら、ヌシがダンジョンの全てを壊すほどの存在なのかが気になる。そこで1つ提案をしたい。カインという不届きな輩が、ヌシを目的として、このニザヴェッリルに侵入してきたようなのだ」

「いつ?」

「六条が根を降りてきた少し後のことだ。どうだろう。ヌシにこれを排除してもらいたい」

「排除……」


 できるだろうか。12英傑の1人を排除することなど簡単にできるなら隠れていない。迦具夜とは今、融合できなくなってしまっている。そうなると千代女様と弁財天頼みになってしまう。そんな状況でできる?


「それはかなり難しい」

「だから言っている。六条祐太という存在をワシは確かめたいのだ。簡単なことなど頼んでも仕方あるまい」

「それは……」

「悪神としても神の側に立つものは1柱でも減ってくれると嬉しいところだ。これができれば三種の神器の一つは手に入ったも同然。そう思ってくれて構わない。ワシも悪神。人と交わした約束をごまかしたりはせんよ」

「半神を俺が殺せるかどうかが、あなたにとっては大事ということか?」

「ヌシは全てを壊す存在。半神程度壊せねば困る」

「……分かった」


 あと2ヶ月で三種の神器を見つける。それは俺たちだけではかなり難しい。とはいえ三種の神器の1つをダンジョンから異常に好かれてるという俺が担当することで、後の2つに他の人員を全て投入し、何とか半年で全てを見つける。


 それが今回の作戦の大事な部分だ。おそらく俺が二ヶ月の期間を守ろうと思えば、この件に乗る以外の方法はないように思えた。迦具夜の【呪怨】もなんとかできるかもしれない。そんな希望が見えた中、レガからもう一つ望まれた。

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― 新着の感想 ―
興味深い話でした 勇者と対極の位置にいる主人公 ロミオとジュリエットだなあ
良いように使われてる気がするな 前話で出てきたアフロディーテの絵画が気になる アフロディーテとカインの関係を考えるとレガが直接手を下さずにカインを殺したいとかなんじゃないか
最序盤からずっと「ダンジョンから好かれる」ってフレーズを目にしていたけど、そんな理由だったんだな。
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