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第二百二十九話 Sideジャック、伊万里 露天風呂

Sideジャック

 六条が3時間に及ぶおしゃべりを止めて、『じゃあガチャを回して、そのまま日本に帰ろうか』と口にした時の女性陣の不満顔はすごかった。六条はたまにアホだ。特に空気を読めない時がある。


 俺でもこれほどのクエストが終わった後である。しかもこんな高級宿をまるまるもらえたのだ。どう考えても温泉につかって英気を養うだろう。ついでに性欲の方も満たすだろう。そう思ってたのに口にしてしまった六条は、


『今にも戦争が起きそうな日本に一刻も早く帰りたい』


 みたいなことをさらに言った。そう言われると女性陣もグーの根も出ない。マジで温泉にも入らずに日本に帰る流れになった。おかげで"お前なんとかしろ"みたいな目で俺が女全員から見られた。仕方がないから、六条に、


『いやいや、ちょっとは休もうぜ六条。日本の様子は俺がひとっ走り見てきてやるからよ』


 ジャック様ともあろうものが使いっ走りを頑張った。頑張った結果、日本はまだ戦争を始めておらず、不穏な空気は高まっているが、少しは余裕がありそうだった。だから、女性陣からの要望もあり3日だけ休むことになった。


 女たちは緊張から解放されたので、六条としっぽりエッチなことをしたいんだろう。あのアホはそれでも、俺達男性陣とまず風呂に入ろうとした。どうも男同士の裸の付き合いというものをしてみたいそうだ。


 またもや俺が女どもから"お前なんとかしろ"みたいな目で見られた。だから俺はあいつに、


『悪い六条。俺はちょっと土岐と猫寝様のことで話したいんだ』


 と言った。その時のショックそうな顔は、俺が悪いことをした気分になった。どうもあの超絶美形の顔で、捨てられた子犬みたいに見つめられると胸が痛む。ものすごく悪い人になった気分だ。


 しかし美鈴達に『邪魔しちゃ悪いよ祐太。あなたはこっちこっち』と連れて行かれた。


「マークも連れて行かれちゃったね」

「まあ当然だわな。ぶっちゃけ探索者は女の方がエロい」

「それは言えてる」

「ああ、それにしても気持ちいい風呂だぜ」

「こんなに広いのに男2人じゃなんだか申し訳ないね」

「それは言えてるな」


 八洲の技術は景色や温泉自体も自在に造り出してしまう。100坪ほどの空間に温泉が造り出され、そこから見える景色は海を望み、空は満天の星空だった。1時間もすれば太陽が昇ってくる。それは絶景だろうから、ここで見るつもりだ。


 土岐と2人で、切江が運んできてくれた熱燗をお猪口でいっぱいひっかける。毒耐性はかなり下げて、普通に酔っ払うようにした。だから気分は最高だ。朝霧先生を思い出すが、男同士の空気感も嫌いじゃない。


 まああいつもこれがしたかったんだろうが、手を出したのは自分だ。諦めて女を喜ばせろ。


「六条君みたいにパーティ内に自分の女がたくさんいると、それはそれで結構大変だよね」

「まあ確かにな。でも自分で納得して手を出したんだろう。それにあいつ、マジで女好きは間違いないぜ。この1ヶ月間マジで夜はずっと女の相手してたからな。今頃気分切り替えて思いっきり楽しんでんじゃねーの」

「はは、あれは驚いたね。僕も強い方だけど彼ほどじゃないな」


 土岐と疲れた体にしみる酒を引っ掛けながら、男2人で静かに飲む。今日だけはゆっくりして、六条が女たちとハッスルしてる間に、明日は猫寝様の様子を見に行くつもりだった。


「なあ土岐」

「なに?」

「俺がこのままあいつと一緒に行くのは結構覚悟してる。でもお前が一緒に来るのは、正直意外だったぜ。いいのかよ? お前は結婚してるんだろう?」


 六条と一緒に行くのは命がけだ。今回の件も正直、なぜこちら側の陣営に被害が出なかったのか不思議なほどだ。戦力差で言えば、正直半分以上死んでもおかしくなかった。


「うん……。レベル200が僕の終着点だって正直思ってたんだ。六条君と関わってそれがあっさりと更新された。命懸けだったけど、これまでの鬱屈を思うとこんなに簡単なものなのかって思っちゃったよ。それにさ。桃源郷中で暴れまわるのが思った以上に楽しかったんだ」

「まあそうだろうな」


 俺とて六条と関わらなければ、どれほどレベル200で足止めを食わされたかわからない。ダンジョンは人に平等で、その平等はダンジョンの何らかの琴線に引っかからない限り、ほとんどの人間に適用される。


 自分で言うのもなんだが俺はシルバーに行くだけの実力は絶対にあった。だが、まるで俺のシルバー昇級を忘れてるんじゃねえのかってぐらい、昇級クエストなんて、探索局に行ってもどこにもない。


 正直どうやったら受けられるのかすら分からなかった。だからこんなことになったのは爽快だ。鬱屈が一気に晴れた気分だ。


「それが六条と関わった瞬間これだ」

「そうなんだよね。でも、そうなるとさ。僕も八洲の男だったんだなって思うよ。命をかけてでも自分がどこまで行くのか試してみたくなった。ジャックだってそうだろ?」

「まあな。俺は自分が終着点にいるとは思ってなかったけどよ。伊万里を殺し損ねて正直ほっとした。俺が自分で悪いと思えるやつを殺すのはいい。でもどう考えても悪いと思えないやつを殺すのは違うだろって……。それで殺さなくて済んでほっとした。道が閉ざされたなら仕方ねえと思った。だが、案外ダンジョンはケチ臭くなかった。いや、翠聖様か……」

「そう、それだ。僕はさ。それにも超感動したんだ。翠聖様が直接僕を褒めてくれた。そもそも初めてお話をされる姿を見たよ。感動的でさ。もうこのまま死んでもいいとすら思った」

「まあ確かにあの兎の神様はすごかったな。とんでもないエネルギーの塊が中央に座っているみたいだった」


 あれを見て思ったことがある。いや、見た瞬間に嫌でも理解したのだ。ああ、この女が翠聖樹そのものなのだと。あの意味不明なほど、どでかい大木。あの巨大な翠聖樹のすべてが、あの女そのものなのだ。


 長く生きる神とはどれほど果てしないのか。俺がどれほど全力を出しても、どれほど大声で叫んでも、何一つ揺るぎもしない。翠聖様という化け物を見ていると、俺の昇級なんて、俺が蟻にもならないような存在では仕方がないと思えた。


 そしてそれに少しでも挑んでみたいと思った。


「人生は思った以上に楽しいぜ」


 今日は酒がよく進む。普通の人間レベルまで毒耐性を下げてるから顔が火照る。土岐も同じようで顔が真っ赤だ。


「あーあ、久兵衛もいれば良かったのに」

「悪いことさえしなきゃなー。一緒に楽しめたってのによ」

「本当、全くバカなやつだよ」


 世話好きなおっさんだった。俺もあのおっさんの世話好きに助けられた口だから、正直今でも悪いことをしていたという部分が信じられねえ。何がどうなればそうなるのか。未だに受け入れられていないのが本音だ。


「なあ、土岐」

「うん?」

「俺は御貴族様を目指してみるぜ」

「はは、君日本人じゃないか。帰化するのかい?」

「バーカ。地球にもそのうち貴族身分ができるに決まってる。少なくともルビー級はかなりの特権階級になるぜ。俺もその一人になりたいってわけだ」

「まあそうか。結構な確率でそうなるよね。じゃあ僕も御貴族様を目指してみようかな。地球でなるよりも難易度高いけどね」

「そんなの関係ねえって。それで貴族になって六条との旅が終わったらよ。500年も生きるんだ。このブロンズエリアの他の国にも行って、あっちこっちで困ってるやつ助けるのさ。『この紋所が目に入らぬのか』ってなもんよ」

「水戸黄門だろ。知ってる」

「マジかよ」

「案外こっちの国ってね。地球の風俗かなり取り入れてるんだよ」

「へえ、じゃあよ」


 話は尽きなかった。酒もつきなかった。遙か高みを目指してみて、そこへと届く前に死んだらその時はその時だ。楽しかったと笑って死ぬ。土岐とそんなことを話しながら切江に熱燗の追加をもう1本頼んだ。



Side伊万里

 少し露骨にはしゃぎすぎているだろうか。美鈴とエヴィーを受け入れる気になり、今までのような距離のある態度をやめた。できるだけ楽しく見えるように……、いや、実際のところそうしてるとこっちの方が気が楽だった。


 どっちが自分の素なのか、今では自分でもよくわからない。というか、祐太って女癖が死ぬほど悪い。いや、望まれると断らないのだ。今まで人から評価されたことがないから好きなんて言われるとかなりコロコロしてしまう。


 探索者としての価値観がだんだん浸透してきている今の世の中だから通用するけど、きっと祐太は昔だったらとんでもなく女癖の悪い男になってる。私以外はみんな見放してるレベルだ。


 いや、でも、ダンジョンのない祐太が美鈴やエヴィー、その他の女性と関わる姿は想像できない。その場合、私だけだったんだから問題ない。となると祐太はダンジョンがあるから女癖が悪いのだ。


 そして、そんな祐太の悪い部分を結果的に私自身が手伝ってしまってる。


「本当に一緒に入るの?」


 祐太が驚いたように目をパチクリさせている。祐太の部屋はまだ改造中だ。祐太の部屋を私はこだわり抜いて造りたかった。だから、この3日間は、上級貴族が宿泊する時に利用していた部屋に泊まることになった。


「嫌?」


 そして貴族が寝泊まりしていた広い和室に祐太と私と美鈴とエヴィーが居た。なぜ部屋に4人いるのかと言うと、私がこの4人で露天風呂に入ろうと提案したのだ。美鈴とエヴィーは驚いていたが、私がいいならと了承した。


「嫌じゃないよ。ただ驚いただけ」


 祐太の方も腰にタオルを巻いた。私たちもいきなり裸はなんだか照れてしまって、それぞれにタオルを巻いた。そのまま浴室に入る。北欧アイスランドにあるブルーラグーンという露天風呂を再現しているらしい。


 世界最大規模の露天風呂。今回はこれを4人で貸し切ってしまうのだ。貴族の豪遊というのは凄い。聞いたところでは1500坪あり、外の景観まで現地のものが再現されて、日本よりも一足早く雪が降っていた。


 ミルキーブルーのお湯で浸かる。外が寒いから湯気がよく立ち上り、そうすると体が見えなくなり、タオルを巻いてる意味もなくなりとってしまった。お湯の下は裸だけど4人とも見えなかった。


「ご主人様、奥様方、お飲み物などはどうされますか?」


 シャルティーが一声かけて中に入ってくると聞いてきた。この間まではほとんど同じ扱いだったけど、今はもう上下関係がついた。多少違和感があるけど、シャルティーがしてきたことを考えると私は納得できた。


 そのシャルティーは、タオルをちゃんと巻いたままにしている。その状態でも色気の固まりのような暴力的なまでの胸をした女だ。美鈴が思わず自分の胸を確かめてる。


「何でもいいの?」


 美鈴が聞いた。


「はい。八洲は食事への探究心が薄いようで、八洲の食糧事情はほぼ全て地球のもののようです。特に八洲は日本とのつながりが強く、日本のあらゆる飲食物が再現されております。迷うのであればメニューを持ってきましょうか? カクテルでもなんでも注文できますよ」


 シャルティーにお願いするとすぐに持ってきてくれた。それにしても私より大きい胸だ。タオルを巻いてるのにそれでも私よりエロい。絶対に祐太は後でシャルティーにも手を出すんだろう。


 シャルティーも期待している。だからさすがに裸にはならないが、セックスアピールはしてるんだ。とはいえ仕事は仕事でちゃんとする。メニューを私たちの手元に持ってきた。極薄のタブレット。


 タッチしていくと本当にあらゆるものがあるみたいだ。1ヶ月間ここに泊まっていたけどここまでサービスは良くなかった。やはり貴族と私たちでは扱いが違ったのだなと改めて思う。


「どれを選んでいいのかわからないぐらいいっぱいあるね」

「美鈴様。おすすめメニューもありますよ。美鈴様がここで泊まってきて何を好んで食べたり飲んだりしたのか、全て記憶されているそうです。その趣味趣向から良いものを選んでくれますよ」

「はあ、祐太」

「うん?」

「なんかもうあっけに取られるぐらいすごいところをもらったね」


 喋っている美鈴。私とエヴィーは祐太のメニューを一緒に覗き込んだ。当然のように素肌が密着している。私はシンガポールスリングというのが、赤い見た目で面白そうだから頼んだ。


 美鈴がアレキサンダーで、エヴィーは赤ワイン。祐太はあまり格好をつけたものが恥ずかしかったのかハイボールを頼んでいた。最近は毒耐性を下げることを覚えた。そうすると探索者の体でも酔うことができる。


「じゃあ3人とも今回のクエストお疲れ様」


 これ以上ないほど広い湯船の中で乾杯する。すぐにグラスが空いた。さらに追加で頼む。何しろレベル200のシャルティーである。追加がすぐに運ばれてくる。ゆっくりと座れる少し浅い場所で、私は右側にひっついたままだ。


 エヴィーは左側である。美鈴が湯船の中に潜ったまま出てこない。ミルキーブルーのお湯なので中で何をしてるかは見えなかった。ただ祐太と密着していることは気配でわかったから、まあつまりそういうことなんだろう。


 私の体にも少しアルコールが効いてくる。当然のように祐太の気分も高まる。祐太も毒耐性を下げているのでアルコールが効いてきて、手の置き場所が大胆だ。1時間ぐらいして、ようやくお湯の中から美鈴が出てくる。


「祐太、気持ちよかった?」

「ああ、かなり良かった」

「へへー」


 エロいの大好き人間、美鈴が正面から祐太を抱きしめる。


 祐太は私とエヴィーのことも引き寄せた。


「ついにここまで来たわね」


 最初にエヴィーが口にした。ようやく低レベル探索者と呼ばれるものを抜け出した。その中でも最高の形でシルバーに臨むことができる。まだどうなるかはわからないけど、本格的に探索者として世界を手に入れるのだ。


「ああ、ようやく南雲さんにちゃんと会いに行ける」

「龍炎竜美か……すごい人だったよね。最初見た時はただの怖い探索者かと思っちゃった。会う約束してるんだよね?」

「ああ。まだ全然手が届かないけどね」

「そりゃそうだよ。今回の戦争で一番ど真ん中にいる人じゃん。日本以外の世界の人たちはきっと龍炎竜美がいつ襲来するかって怯えてるんじゃない?」


 私も会話に参加して口にした。冗談抜きで世界中の人が龍炎竜美が自国の空に現れることを恐怖してると思う。龍炎竜美を怒らせて大阪が壊滅しかけたこともあるし、何度か攻め込んできた探索者の国を報復攻撃したこともある。


 他国の探索者には特に厳しくて、一体どれほどの探索者が龍炎竜美に殺されたか分からない。世界にとっての恐怖の象徴。アメリカでは人気のある龍炎竜美だが、その反面敵に回るとなれば、今頃恐れおののいているだろう。


 ただそれは敵側の英傑にも言えたこと。


 私はできれば12英傑同士の戦争などやめて仲良くしておいてほしい。しかし、それができない空気感がだんだんと広がってきているようだ。この戦争で間違いなく世界がひっくり返る。ジャックが見てきた限り、日本の空気は重苦しい。


 東京都心でも人影はかなり少なかったそうだ。


 探索者の争いに巻き込まれたら死ぬ。


 それはもうみんな分かってる。抵抗など無駄だ。地形すら変えてしまうような戦いに普通の人間は何もできない。何かできるようになりたければ探索者になるしかない。


「私たちここで探索者を続けてていいのかな」


 美鈴が口にした。


「俺たちにできることはない。迦具夜で分かったことだよ。何かしたければ、せめてルビー級まで早く登り詰めるしかない」

「そうね。戦争がどこまで長引くかわからないけど、長期間に及べば、その時は私たちが少しでも強くなっていることが重要なことになってくるわ。逆に今回の戦争を気にして、このレベルで下手に戦争に関わって探索を中断していたら、戦争がどれだけ長期間に及んでも、私たちができることは何もないままだわ」


 祐太の言葉にエヴィーが付け加える。何も今日明日に日本が終わるわけじゃない。敵が八英傑だったとしても、日本に四英傑が居る以上、戦えば八英傑側の被害は免れない。英傑達とて半神にまで登り詰めたのだ。


 死にたくはない。お互い死にたくない以上、簡単には戦わないはずだ。


「エヴィーはいいの?」


 今回どうやらアメリカは日本側につかず相手側につきそうな情勢だ。微妙な立場に立たされているのは、エヴィーとマークさんだ。


「家族はこっちに呼んじゃったしね。何よりも祐太と美鈴と伊万里が居る。私にはどちらも選べないわ。だから早く強くなってロロンとゲイルを止めれるようになりたい。なんとか説得してあの2人が日本側に戻れば、この戦争は終わりだもの」

「うん、そうだよ。結局パワーバランスが崩れたことが一番の戦争原因だもん。誰がそれをしたのか知らないけど、面倒なことをしてくれるよね」


 私も自分の意見を口にしていた。裸で何を話してるんだということだけど、ついつい話に熱が帯びてくる。


「ただ俺は説得してもなかなかロロンとゲイルは日本側にはつかないと思う。正直、この戦争が終わるまで戻る気はないんだと思う。それぐらいの覚悟もなしに向こうにはつかないだろう」

「むう。じゃあ祐太どうするべきだと思うの?」


 エヴィーが聞いた。


「向こうが怖がるのは八英傑側の誰かが死んで、日本の次期英傑最有力の雷神や千代女様に、英傑の座を奪われてしまうこと。そうなれば七対五になる。防衛側の日本はそうなれば1枚岩である分強い。戦略的に考えてもこのパワーバランスで日本に手を出すのはかなり厳しい。もはや手を出せる相手ではなくなる。逆に四英傑の誰かが殺されて戦力バランスが九対三になれば、一気に日本の部が悪くなる」


 祐太はこの戦争の要はどちらが先に英傑の誰か1人を殺せるか。そこにかかっていると思っているようだ。それは12英傑全員が承知している。だから誰一人死なないように両陣営はかなり慎重にならざるを得ない。


「この戦争は長引く可能性がかなり高いよ。だから俺たちはその間に全力で強くなろう。そして俺たちもこの戦争に介入できるレベルになる。3年の時間があればな……」


 確かに祐太なら3年で英傑に届いてしまうかもしれない。でも、動くとなれば地球の裏側であろうと一瞬で到着してしまう英傑である。3年はいくらなんでも厳しい気がした。


「のんびりしてる暇がないね」


 私が口にした。ますます祐太をギュッと抱きしめた。このまま祐太に抱かれたい。エヴィーと美鈴も同じ気持ちになったようだ。3人同時に祐太の顔を見つめる。


「本当にいいの?」

「ダメならこんなことしてないよ」

「あなたの頭に私たちが一番だって叩き込んでおきたいの」

「お姉ちゃんなんかより私の方がいい女だって教えてあげる」

「……分かった。3人ともおいで」


 その後どれぐらい行為に没頭したのかは覚えていない。とにかく酔った勢いもあって、かなり際どいことまで4人でした。何もかもがダンジョンで変わった。起きるはずのない戦争が起きようとしている。このままでは多分日本はかなりまずい。


 私たちが生まれる前に起きた大きな戦争の二の舞になりかねない。日本以外は全てが敵の戦争。余程のことがない限り、この戦争は日本が負ける。私はその目が逆転する可能性があるとすれば、祐太なんじゃないかと思っていた。


 実力は届かなくても祐太ならきっと……、


 その時も私は祐太のそばにいたい。


 そう思った。

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― 新着の感想 ―
ジャックかっけーし、、、なんかいいな
レベル5ぐらいあればダンジョンに逃げた方が安全そうになるのかな
ルルティエ様どうか美鈴ちゃんに豊胸薬(1サイズ上がる)お願いします胸囲格差が出てきたw
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