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第二十二話 Side美鈴③

「好きな人って誰よー。私じゃダメなんですかー」


 ベッドの上でごろんごろんごろんごろんして身悶えた。思わずキスしてしまった。私が辛い時に手を引っ張ってくれて、なんとか祐太についていくことができた。一日中一緒に走って、またトイレも一緒にして、多分泊まり込みになったらもっと一緒にいる。


 でも全然嫌じゃなかった。むしろ早く一緒に泊まりたかった。だからキスした。向こうも同じ思いなら嬉しいと思った。


「なのに好きな人がいるってどういうこと。クラスメイトかな。えー。それはきつい」

「何がきついのよ?」


 声をかけられて驚いてそっちを見る。芽依お姉ちゃんがいた。


「お、お姉ちゃんビックリするじゃない!」

「何、可愛く身悶えてるのよ。好きな男となんかうまくいったの?」

「キスした! めっちゃ興奮した!」

「そうかそうかよかったわね。それじゃあ悲しいお知らせになるかもしれないけど、エヴィーのこと。明日来るって。あんたたちが朝一で池袋ダンジョンに入ってること言ったら、『それに間に合わせるから』って伝言よ」

「えー。早すぎる!」


 相変わらず綺麗ですらっとした芽依お姉ちゃんは、自分よりも綺麗だという美少女を紹介する気だ。周りからはよく綺麗だとか褒められる私だけど、このお姉ちゃんに綺麗さで勝てる気がしない。


 私は自分でも結構劣等感が強いと思ってる。この芽依お姉ちゃんとものすごく頭のいい玲香お姉ちゃんもいるせいで、あまり自分に自信を持てたことがなかった。


「バカね。恋はライバルがいたほうが盛り上がるものよ。先に寝たもんがちなんだからチャンスがあったら行っちゃいなさいよ」

「そんなの早い! 日本の15歳には早すぎる!」

「じゃあ美鈴はアメリカの15歳に負けるわね。エヴィーに誘惑されたら絶対その子イチコロよ」

「えー。お姉ちゃんひどいー」


 芽依お姉ちゃんは人事だと思ってかなり適当に返してきた。惚れた腫れたなんて人生にとって当たり前。それぐらいの感覚のようだ。


「あ、それとね。玲姉が『あのポーションどうせ売るつもりでしょ』って心配して、あんたの口座に1000万振り込んだそうよ。『ポーションは売らないで大事に持っておいて1000万あげるから自由に使いなさい』って」

「玲香お姉ちゃん、お見通しすぎて怖。どこにいるの?」


 ポーションはもう売ってしまったのだがそれは言わなかった。まあまだ顔も知らない高レベル探索者がくれたというポーションがあるし。


「昔の友達に国連辞めて帰ってきたこと連絡したら、再就職先紹介してくれるんだって。今日は早速その友達の所に行ってる。あんまり給料変わらないで行けるそうよ。私も日本のモデル事務所に呼ばれてるから、明日からはあんまりいないわよ」

「もういないの?」

「というか、あなたもうそろそろ泊まりがけでダンジョンに入らなきゃいけないんじゃないの? お父さん達も多分許してくれると思うから、ちゃんと言ってから泊まりなさいよ。急に帰ってこなくなったらビックリされるわよ」

「わ、わかった」


 お姉ちゃんが言うだけ言うとさっさと出ていった。相変わらず二人とも忙しそうである。これから二人とも暇になるのかと思ったら全然そんなことはないようだ。お父さんはいつまでたっても暇なのに、子供はどんどん忙しくなっていく。


「はあ、もう文句言ってられないけど、やっぱ憂鬱」


 ゴロンとベッドに横になる。エヴィーの顔をもう一度、スマホで見てみる。


「なんなんでしょうこの顔は、顔面偏差値高すぎでしょ。瞳がアニメみたいに輝いて見えるわ。あ、お姉ちゃんにお礼言わないと。祐太にも連絡しとこ」


 玲香お姉ちゃんにお金の事のお礼のメッセージを送っておいた。すると間もなく返事が送られてきた。


『頑張ってね。お父さん達には芽依ちゃんと二人で口添えしといたから、これ以上は反対しないと思う。でもとっても心配なのは本当なの。私もできるだけサポートするから、絶対危ないことしないで、ちゃんと無事に帰ってきてね。


 それと黙ってるように言われたんだけど、お金は芽依ちゃんなの。


 でも、芽依ちゃんは美鈴ちゃんに自分がお金を出したって言いたくないみたい。ダンジョン関係はあの子もレベルアップするところまで頑張っただけあって、かなり詳しくて、お見通しすぎて怖いよね。

 私も半分出すって言ったのに、


「今の国連はそんなに給料良くないでしょ」


 ってこちらの懐具合まで心配して、ああいうところ可愛くないの。

 私もだけど芽依ちゃんもあなたのことかなり心配してるのよ。それだけは忘れずに頑張ってね』


 そんな返事があった。私はその足で芽依お姉ちゃんのところに乗り込むと抱きついてお礼を言った。すごく赤い顔で迷惑がられた。ものすごく私のことが好きなくせに本当に可愛くないお姉ちゃんである。


 その後、また勝手に決めてはいけないと思い祐太にも電話をした。1度目の電話は出なかったので時間を置いてもう一度電話をした。それでも電話に出なかったからメッセージだけ送っておいた。

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― 新着の感想 ―
LI〇E漫画で無料キャンペーンやってたから読んだけど、ないやん!おしっこ!!( ゜д゜)クワッ!!!!!! おしっこないやん!(´°̥̥̥ω°̥̥̥`) なんでや!!(ノシ´◉ᾥ◉)ノシバンバン!!!…
[良い点] これは、裕太くんちでしゅらばの香りが [一言] 美鈴ちゃん報われるといいなあ…
[一言] 命懸けの探索で、パーティー間の不和はよくないからあ、ハーレムに落ちたついてくれた方が安心してダンジョン探索楽しめそうだけど、どうなるのやら.…
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