第19話 イジメ?
お久しぶりです!
今回の話は少し笑い所が少なめかもしれないですけど、面白いと思いますので、是非とも楽しんでいって下さい!
「で、どうして転んだんですか?」
「いや、だから、私が躓いて転んだだけで」
「どうして転んだんですか?」
「わ、私が転んで」
「どうしてですか?」
「うっ」
自分が意地の悪いことをしている自覚はある。
しかし、これは何としても聞いておかないといけないことだ。
あの先輩が、珍しく嘘をついてまでして、誤魔化そうとしたことだ。
本来なら、こういうことは深入りしないのが、良い彼氏なんだろうが、どうしても聞きたいという僕の気持ちが止まらない。
正直言うと、何か、面白い事があるんではないかという期待をオタク脳全開の妄想とともにしている。
「分かった」
「ん?」
「教えるよ!何があったのか、ちゃんと言うよ!」
ついに先輩が折れた。
「実は」
「実は?」
「お弁当を入れていた鞄を複数の女子生徒とぶつかった時に落としてしまって」
「複数?」
「うん、五人くらいかな? で、落とした、鞄を拾おうとしたんたけど、その鞄をそのぶつかった複数の女子に踏まれてしまってね。それで、あんなにぐちゃぐちゃなってしまった」
「…………」
「あっ! でも、相手の人たちにも別に悪気あってやった訳ではないし、鞄を踏んでしまった時もちゃんと謝ってくれたから、彼女たちを恨んだりしないでね」
「……はい」
そうは言ったものの、僕の心は恨み一色だ。
でも、これは、お弁当をぐちゃぐちゃにされたことに対しての恨みではない。
先輩は気付いてないだろうが、その人たちが先輩に当たったのもわざとだ。
集団で動いているなら、一番最初に誰かが先輩とぶつかった時点で避けようとして、必然的に先輩とぶつかる人は複数人で行動してようとも、一人だけになるはすだ。
しかし、実際には、一人だけとはならずに、複数人ぶつかっている。
だからこそ、先輩は鞄を落として踏まれてしまった。
もしも、ぶつかったのが一人だけだったら、先輩も鞄を落とすなんてことはしなかっただろう。
もっと言うと、落としてた先輩の鞄を踏んだのもわざとだろう。
先輩に謝る時のそいつらの表情も容易に想像がつく。申し訳なさそうな顔をしつつも、笑いを堪えるように、口の端が上がっていたに違いない。
僕はそんな奴等の行動に対しての恨みが増していく。
にしても、この完全無欠の先輩に苛め行為を働く、命知らずの人たちがいるとは思わなかった。
いや、完全無欠だからこそ、周りに嫉妬されるんだろうなぁ。
そして、それを苛め行為だと気が付かない先輩も相当鈍い。
まぁ、あくまで僕の想像だから、確証はないんだけど、先輩と付き合っていく上で、そういうことがあるかもしれないと考えておかないと行けない。
「事情は分かりました。とりあえず先輩に怪我が無くて良かったです」
「ありがとう」
お礼を言ってくる先輩はどことなく嬉しそうに思えたが気のせいだろう。
「じゃあ、事情も分かったところで、早速お弁当をいただきますね!」
正直、朝飯を少なくしたせいで、もう腹が空きすぎている。
「召し上がれ」
先輩もOKそうだ。一通り喋ったからスッキリしたのかもしれない。
「いただきます!」
ぐちゃぐちゃになったお弁当を一口食べた僕は、そのあまりの美味しさに声を出すことが出来なかった。
結局、終始無言のままお弁当を食べた僕は、お弁当箱を片付けると。
「美味しかったです!」
それだけ言った。
いや、逆にそれ以外に言う言葉が見つけることが出来ない。語彙力ないなぁ、僕。
「本当にありがとうね」
「いや、お礼を言うのは僕の方ですよ」
「ううん。私の方こそぐちゃぐちゃにしちゃったのに、食べてくれて本当にありがとうね。嬉しかったよ」
眩しい、眩しいッスよ先輩。笑顔がとかじゃなくて、もうその純心過ぎる心が眩しいッス。
読んでいってくれてありがとうございました!
どうでしたでしょうか、今回の話は面白かっでしょうか?
楽しんでいってくれてたら嬉しいです!
さて、今回も、感想や指摘がありましたら是非ともよろしくお願いします!




