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底辺ハンターが【リターン】スキルで現代最強 ~前世の知識と死に戻りを駆使して、人類最速レベルアップ~【WEB版】  作者: 萩鵜アキ


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強気な発言

 結希明日斗が悪人ではなかった。

 それがわかると同時に、館川正義は自分の不義を恥じ入った。


 すぐに許してくれた結希の度量の深さには恐れ入る。

 だが、それでは自分の気持ちが収まらない。


(なにか、お返ししないといけないっす……)


 そう考えていた正義にとって、彼からの提案は渡りに船だった。


 提案の一つは、新しく立ち上げるギルドに参加すること。

 これを二つ返事で快諾した。


 どのみち自分は至誠ギルドを抜けるので、別のギルドへの加入は問題ない。

 そのギルドが、結希明日斗の息がかかったものならば、願ってもないことだ。


 二つ目は、今日だけでも銀山まことを守ってほしいというお願い。

 これも、正義は快諾する。


 至誠ギルドは、寄生樹という禁じ手を使用した。その上、まだターゲットが生きているとなれば、なりふり構わず襲いかかってくる可能性が十分に考えられるからだ。


 問題は、三つ目の提案だった。


「結希さんは、なにをするつもりなんすかね?」


 これから結希は、単独で敵地に乗り込む。

 ただギルド本部に行くのではない。

 現在の彼が最も敵意を向けられるであろう場所だ。


 味方は一人もいない。

 周りにいる人は全員が敵だ。

 それも、ハンターとしての腕力では適わない相手ばかり。


 正義には、敵に飲み込まれる未来しか想像出来なかった。

 それでも結希は、決断を変えなかった。


(それだけ、自分に揺るぎないんすね)


「……かっこいいっすね」


 結希の背中を見送りながら、正義は無意識のうちにつぶやいていた。


「長いものに巻かれれば楽に生きられるのに、決して自分の信念を曲げないんだ。不器用な奴なんだろう?」

「そうっすね。でも、かっこいいっす」

「うんうん」

「銀山さんも、そういうところに惚れたんすか?」

「失礼な人だね君は」


 銀山が作ったような怒り顔を浮かべ腰に手を当てた。

 そしてふと表情を緩めて、


「ボクはね、良いところも悪いところも、全部含めて明日斗に惚れてるんだよ」


 恋する乙女が、満面の笑みを浮かべたのだった。




          ○




 タクシーを降りた明日斗は、目の前にある巨大な建物――テレビ局へと向かう。


 この建物には現在、至誠ギルドの氷室青也がいる。

 これから夕方のワイド番組に、コメンテーターとして生出演するのだ。


 明日斗は現在、ハウンドドッグのハンター殺しの疑惑をかけられている。

 疑惑をかけたのは氷室だ。

 彼は自身の発言力を利用して、火のないところに煙を立てた。


 おかげで明日斗はネット上では誹謗中傷の嵐。

 ハンター協会にも嫌疑をかけられ、今日中に出頭しなければライセンスが取り消されてしまうところまで追い詰められた。


(この借りは、利子をつけてきっちり返してやる)


 テレビ局の入り口付近に、強い気配を四つ感じる。

 氷室傍付きのメンバーだ。

 彼らはここで、邪魔者――明日斗を食い止める役割を担っている。

 卯月が失敗した時用の、氷室がかけた保険だ。


 ここで足止めを食らっては、せっかくの舞台に間に合わない。


「神咲――」

「はっ、ここに」


 名前を呼んだだけで、すぐに神咲が現われた。

 あらかじめ、明日斗がこの場に呼び寄せておいたのだが……。


(それにしても、タイミングが凄いな。全然気配が感じられなかったぞ?)


『いるか?』と尋ねる前に現われ、ぎょっとした。

 そもそも事前に、明日斗は彼女が接近する気配を捕らえることが出来なかった。


 前方に意識を向けていたからと言って、他人を間合いの内側に入れるほど油断もしていなかったはずだ。


 にも拘わらず、あっさり接近された。

 それだけ神咲の実力が上がっているのだ。


(一体、この短期間でどれだけ強くなったんだよ……)


 隣に並ぶと、迫力が増しているのがわかった。

 以前と比べて、神咲が恐ろしく成長している。


「あそこに、至誠ギルドのメンバーがいる。俺たちが近づくと、邪魔をしてくるだろう」


 実際、一度前にここまで到達した時は足止めを食らい、絶好のタイミングを逃していた。

(そのため今回、明日斗は神咲に助力を求めることにした)


 卯月に返り討ちにあってから、明日斗は四度〈リターン〉を使用した。

 卯月との対決で二度、テレビ局に来てからも二度死に戻っている。

 これが、三度目のテレビ局突入チャレンジだ。


 四度も死に戻らなければ突破出来ないほど、至誠ギルドが作戦失敗時にかけた保険は万全だった。


 しかし、これで最後だ。

 相手の手札に対する備えは万全。

 もう何一つ、不足はない。


「奴らの足止めを任せていいか?」

「ご命令とあらば」

「う、うん?」


 明日斗は表情が固まった。

 あれ、命令するような関係だっけ?


 明日斗と神咲は主従関係にない。

 だが、それを突っ込む時間はない。

 正したい気持ちをぐっと堪え、スルーする。


「足止め……と言いましたけど、結希さん、すべて倒してしまっても構いませんよね?」

「えっ……」


 強気発言に、明日斗は固まった。

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