第88話 その名は
第88話 その名は
「これが俺の新たなる力! その名は……ッ!」
風に揺れる金髪の長い髪。
透き通るような白い柔肌。
青い瞳。
気品に溢れ、いかにもプライドの高そうな整った顔。
筋肉質のしなやかな体に豊満な胸。
「12分の1、ガーネットだッ!」
モノコックウェポンズ・フラウとなったガーネットが俺の腹の上で仁王立ちになっていた。
「なんだそれズラーッ」
腹を抱えて笑い出すズーラン。
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観客席。
魔法のディスプレイにカラスマと1/12ガーネットの姿が大写しになっている。
『(ひそひそ)あれ、ガーネット様だよな?』
と観客席の声。
『(ひそひそ)ああ、だが何でガーネット様が小さいゴウレムになってるんだ?』
と観客席の声。
震えるガーネット。それを見て声がかけられないルナリアとメイド長とハウ。
「あの馬鹿! だから…だから絶対ローブははずすなって言ったのに!!」
顔を羞恥で真っ赤にして怒るガーネット。
「お姉さま、私、小さいお姉さまも素敵だと思います!」
とルナリア。
「小さい私ってなによ……小さい私って、ちょっと似てるだけよ。私じゃないわよ」
やや落ち着いたのか、現実を否定するガーネット。
「わからん」
とハウ。
「私じゃ……ないわよね……」
やはり客観的評価を受け入れたくないガーネット。
「ねぇ、メイド長」
メイド長を救いを求める目で見るガーネット。
「御前様」
それを受けて『えっ、私に振るんですか』とは言えないメイド長。
「私じゃないわよね?」
『これが俺の新たなる力! その名は12分の1、ガーネットだッ!』
と、魔法モニターから拡散されるカラスマの声!
『やっぱりガーネット様だ!』
と観客席の声。
『ガーネット様の小さいゴウレムだ!』
と観客席の声。
「御前様……」
「メイド長」
「心中お察し申し上げます」
「……うん」
落ち着いたガーネットは、すうっと息を吸い込み、
「カラスマ、ブッ(中略)すからな!!」
と叫んだ。
「お姉さま……こわいです」
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巨大な棺バスターコフィンキャリアを背中にしょって、1/12ガーネット=俺は、仁王立ちをする!
それで、両腕を胸の前で組……、駄目だ、こいつ胸がでかすぎて両腕を胸の前で組むポーズが取れないッ!
仕方ない、乳の下で組むか!
それで仁王立ち!
ドンッ!
風にたなびく金髪のロング!
見たか! このかっこいいポーズ!!
「ぶひゃひゃひゃひゃひゃ……!」
まだ腹を抱えて笑っているズーラン!
「お前、ふざけてンのかそれズラ!」
大真面目だ馬鹿野郎!
俺もなんでこんなものを作ってしまったのかわからないが、全身全霊を込めて作った自信作!
しかも会心の出来だ。
とにかく全身が痛すぎて立ち上がる余裕すらない、速攻でズーラン、こいつをブッ倒す!
そして、
「『俺は疾風を取り返す!!』」
「もう、いいズラ! とどめズラッ!!」
ビュォッ!!
振りかぶった鞭を倒れた俺の頭に振り下ろすズーラン!
ひゅん!
瞬間、俺の頭の上に降り立つ1/12ガーネット。
ばしッ!
降ってきた鞭の先端を、片手でなぎ払う。
なぎ払われて空へと飛んで行く鞭。
1/12ガーネットが移動したせいで生まれた風圧が俺の顔にぶわっとかかる。
「ほぅ、そいつもオモチャじゃねぇズラか」
今までローブが脱げたり破けたりしないように動きに制限をかけていたからな。
これが1/12ガーネットの真の機動力だ。
「小癪! 千本鞭打!」
ひゅばばばばばばッ!!!
鞭を乱れ打ちしてくるズーラン!
あまりの速度に鞭が何本もあるように見え、その全ての鞭の先端が同時に俺を襲う!
「分身殺法! ガーネットの人形遣い!」
しゅばばばばばばッ!!!
超高速移動! 同じく分身する1/12ガーネット
ばッばッばッばッばッばッばッばッばッばッばッばッばッばッ!!!
乱打された鞭を全てはじき返す。
「なんだとズラ!」
「……ガーネットだったら、このくらいのことできるだろ……!」
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観客席。
「できないわよ!! あいつ私のことなんだと思ってるの!」
とガーネット。
「できます」
とルナリア。
「えっ!?」
「お姉さまだったら絶対できます!!」
「ちょっと待ってルナリア」
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「手数で駄目なら力でねじ伏せるまでズラ! 剛力鞭!!」
振りかぶったズーランの鞭が、その太さを倍にする!
「おらああああああああああああ!」
しゅばあッ!!
全力を込めた重い一撃! 振り下ろすズーラン!
「パワー解放! ガーネットの龍人変化!」
目を光らせ、全身の筋肉を倍にする1/12ガーネット!
燃える闘気! 赤銅色の肌になる!
ずしッん!!
耐える! そして、はじき返す!
「雷撃鞭!!」
バリバリバリバリバリィッ!!
「腕に仕込んだネオジム磁石! ガーネットの磁力の拳!」
フィィィィィィィーン!!
ばしッん!!
はじき返す!
「なんだそれ化け物かズラッ!!」
「ガーネットだったらこれくらいのことをやる!」
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観客席。
「だからできないわよ!! あいつ本当に私のことなんだと思ってるの!」
とガーネット。
「できます」
とルナリア。
「えっ!?」
「お姉さまだったら絶対できます!!」
「ちょっと待ってルナリア」
「私とカラスマさまで小さいお姉さまを作りながら話してたんです! お姉さまだったらこれくらいのことはできるって!」
「あなたのせいなの!?」
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「剛力鞭!!」
「そいつはさっきはじいたろ!」
「鋭イヤアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーッ!」
渾身の力を込めた重い一撃!
その一撃が、マテリアルでも俺でもなく、
俺の寝ているすぐ横の床を目掛けて叩きつけられる!
床が激しく揺れるほどの一撃。
みんなメンコって知ってる?
バチン、バチンって、厚紙でできたカードを床に叩きつけて、その衝撃というか風圧で、敵のメンコをひっくり返すやつ。
まさにアレ。
メンコが俺。
マテリアルを乗せた俺の体が、ズーランの一撃の衝撃で一瞬ブワっと浮く。
「何だと!!」
「自在鞭!!」
床を痛撃した鞭がそのまま蛇のようにうねり、しゅるしゅると伸びて、浮き上がった俺の体の下に滑り込む。
鞭はそのまま俺の体に、物理法則を無視した動きで巻きつきはじめ……、
「『力場発生フィールド展開装置』」
「拘束鞭!!」
バリヤーごと、俺と、マテリアルをぐるぐるに巻きとった。
「お前は絶対負けられねぇみたいだが、オレにも勝たなきゃならない理由があるズラ!!」
「うおおおおーッ!?」
「自在鞭!!」
そのまま、鞭によって巻き取られた俺の体が、蛇かうなぎか触手の束か、生き物のようにうねる鞭に、上空高く運ばれる。
おおよそ、マンションの屋上の高さ!
「カラスマぁ! ギリッギリで(中略)なねーように手加減してやる!」
全身に風が当たる! 地上が! 地面が! どんどん迫る!
「うわあああああああああああああああああーッ!!」
「落ちろズラーッ!!」
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