第87話 ズーランの見えざる鞭!
※大切なお知らせ
現在、あらすじと、冒頭1話~6話の書き直しを検討しています。ご了承下さい。
第87話 ズーランの見えざる鞭!
「しばらくズラ、色男!」
おしりこと、龍撃鞭のズーラン!
胸がぼん。
おしりがぶりん。
豊満なナイスバディを、黒いボンテージのビキニアーマー風鎧で締め付けているバトルアリーナの超人気ファイター。
武器は鞭型ゴウレム。
足元はもちろん黄金に輝くハイヒール型の鎧ブーツを履いている。
THE・女王様って感じ。
王冠にドレスをつけた女王様じゃなくて、俺の大好きなお風呂屋さんの並びの店に居る方の女王様だが。
紫色の髪は片目を隠したセミロングだ。
メカクレ系。流行ってるよね。
「ズーラン! アンタも姿を消せるのか!」
「ふふん、滅多に見せないオレのとっておきズラ」
「なんでもアリだな異世界」
そして一人称がオレはいいんだけど、やっぱその語尾どうにかならないの? ズラって……。
「雑巾で戦ってるお前には言われたくねぇズラ」
ズーランは鞭を伸ばした。
びしぃぃッ!
ばしぃぃッ!
床を叩く。
生き物のようにうねる鞭。
びしぃぃッ!
ばしぃぃッ!
リズミカルに床を叩き続けるズーラン。
その鞭が……
「見えざる鞭!」
すぅっと姿を消した。
「……!」
びしぃぃッ!
ばしぃぃッ!
だが、床を叩くリズミカルな音は聞こえる。
「オレの見えざる鞭でズタズタになりな色男」
ビシュッ!
「断る! 『力場発生フィールド展開装置』」
パァァァァァン!
空気を裂く音がして、マテリアル=俺が、何かが急接近してくる気配を察知した。
だが、俺にその攻撃は届かない。
バリヤーを張ったからだ。
見れば『力場発生フィールド展開装置』が張ったバリヤーに、ばちばち火花が弾けてくぼんでいる部分がある。
「何ズラッ!」
「バリヤーだ!」
「神聖魔法をお前も使えるズラ!?」
「説明が面倒くさい! ジャイアントアーム!」
俺=マテリアルは、ジャイアントアームの鉄腕をくぼんだ場所へ伸ばす!
がしっ!
手ごたえアリ!
マテリアルのジャイアントアームが、見えない何かをひっつかんだ。
「つかんじまえばこっちのもんだ!」
「つぅッズラ!」
鞭を回収しようとひっぱるズーラン。
「なんの!」
そうはさせない俺=マテリアル。
ぎりりりりりりり……。
綱引きのように見えない鞭を引っ張り合いになる。
腕力なら負けないぞ!
「しゃああああッズラッ!!!」
鞭を片手に持ち替え、もう一方の手で投擲モーションをとるズーラン。
こいつの鞭は、柄からもう一本生えるんだったな。
びゅん!
空気を裂く音。
ばりばりばりばり……!
もう一本飛ばして来た見えない鞭は、やはりバリヤーにぶつかって動きを止める。
それをもう一本のジャイアントアームで引っつかむ俺=マテリアル。
学習能力がないのかこいつは。
ぎりりりりりりりり×2。
両腕でやる綱引き。見えない鞭を全力で引っ張り合うズーランと俺=マテリアル。
「こいつズラッ」
「放すかこんちくしょう!」
「おう、そのまま放すなズラよ!」
「へ?」
引っ張られていた鞭が不意に脱力する!
!?
ひっぱったゴムの片方を放した感じ。
輪ゴムを両手でひっぱって片方急に放すと、もう片方へぱちんていくよね。
アレをズーランがやったらしい。
びゅぉぉ!! ×2
見えない鞭×2が俺のほうにビヨンっと飛んで来る。
その鞭にくっついてくるズーラン。
空中でドロップキックの体制をとっている。
やばくない?
とっさにバリヤーの出力を上げる俺!
だが、跳んで来たズーランの全体重を乗せたキックはバリヤーを突き破り、
ぼわッ!
マテリアルを蹴り、
がッ!
そのままマテリアルを足の裏にくっつけたまま、俺の腹に炸裂する!
ぼふっ!
「おごおおおおおおおおおおおおーーッ!」
ドロップキックを腹に受けて、吹っ飛ばされる俺。
蹴り飛ばされ、床にしこたま激突してごろごろごろごろごろごろ転がる!
痛い、痛い、痛い!
痛すぎて呼吸が出来ない!!
超痛い! ものすごく痛い!
「あががが……」
悶絶して七点八倒する俺。
残ったバリヤーがあったとは言え、床に叩きつけられた痛みで背中も痛い。
全身が激痛。
ベルトを巻いたバトルスーツ。その下には一応ミスリルの胸当てとか、ファールカップとか、くさりかたびらとかが仕込んである。
(素材はムトーさんに分けてもらった)
だが、それでも痛くてたまらない。
涙、鼻水、よだれ。
顔中の穴という穴から液体を漏らす俺。
おしっこはぎりぎり我慢だ。あ、駄目だちょっと漏れてる。
「あふぃぃ……あふぃぃぃ……」
痛すぎて喋れない。
なんでバリヤーが張ってあったのに突き破れるの?
「女の武器は一つじゃないズラ。このミスリルブーツ、貫きの魔法をエンチャントしてある」
なんでもありますね異世界。
床に倒れた俺の枕元に立つズーラン。
手には鞭。
大ピンチじゃないですかこれ。
「カラスマぁ、ギブアップするズラか?」
首を横に振る俺。
いやだ。そんなことしたら疾風が取り返せない。
「じゃあ、(中略)ね! いや、(中略)しちまったらオレが失格になっちまうズラから、そのままおネンネしてもらうズラ」
鞭を振りかぶるズーラン。
……万事休す。
…………いや、まだだ。まだ俺=マテリアルは本気を出しちゃいない。
マテリアル、マテリアルよ。
意識をなんとか奮い立たせ、マテリアルを立ちあがらせる俺。
俺の腹の上で、立ち上がるマテリアル。
雑巾。もとい、ガーネットの縫った不細工なローブがドロップキックを受けてぼろぼろになっている。
それが、ほつれて、ずるりと落ちた。
マテリアルの姿が、その全身が、白日の下に晒された。
「……ッ!! ……??????? ……!!! なんだそれ!」
マテリアルのあらわになった姿を見て、
「な、なんズラ、そのゴウレムは!! ぶははははははは!!!!」
笑い出すズーラン。
「腹いてえ、笑い死にさせる気ズラかぁ? あははははは!」
「……今こそ、『その全力』を見せる時だマテリアル、いや、俺の新たな相棒……」
目を光らせ、全身から闘気を発するマテリアル!
「その名は……ッ!」
次回に続く。
次回に続く!
カラスマの新たな機体マテリアル! その全貌が次回明らかに!!
次回、ご期待ください!!!
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