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第70話 カラスマ、死刑求刑!

第70話 カラスマ、死刑求刑!


 消灯時間になった。


 今夜も有名投稿サイトの小説を読んでいる。


 今日の小説は少女が主人公。異世界を舞台に受刑者の両親の元に生まれ監獄の中で育った少女が初めてシャバの世界に出るというあらすじだ。


 監獄生まれの少女は王宮にメイドとして就職する。監獄では知ることの出来なかった、世間一般、普通の価値観を学ぶためだ。

 そこでいわゆる新人いじめに遭ったり、王宮を乗っ取ろうとする陰謀に出くわしたりと様々なトラブルに巻き込まれるのだが……。


 実は、少女は超人的な能力を持つ受刑者達から特別な訓練を受けており、常人離れした力を持っていた。

 その超人的な力で、数々のトラブルをねじ伏せて行き、監獄では得られなかったかけがえのない仲間たちの友情を得ていく。


 俺スゲーものってやつだった。


 しかし監獄かぁ。


 なんかあの夢をふと思い出した。疾風が動く夢。エルフがたくさん出てくる夢。


 気がついたら牢屋にいたり、手錠がかけられていたりとやたらつかまっていたなぁ。 


 さて、読んでいるうちにそろそろ眠くなってきたぞ……。


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 寝る前に監獄が舞台の小説を読んでいたからといって、監獄にいる夢を見ることもないだろうに。


 どうやらまた例の夢を見始めたらしい。


 また両手両足を拘束されている。

 拘束具つきの囚人服を着させられているのか……。


「ふごふご……」


 喋れない。ご丁寧に今回は猿グツワつきか……。

 毎回ひどくなってる気がする。


 俺が目を覚ましたのを見つけた看守が慌ててどこかに走っていった。


 しばらくして、看守が戻ってくる。

 やたら耳の長いエルフを連れてきた。


「ようやくお目覚めですか、カラスマ氏」


「ふごふご……」

 喋れない。


「私はハーミット。このバトルアリーナの副支配人の一人です」


「ふごふご……」

 どうもはじめまして。


「これはご丁寧に」


 えっ、わかるの?


「では看守、医療チームに彼のメディカルチェックを……」


 白衣を着たエルフ達がやってきて、俺のまぶたを広げてみたり、なんかの魔法を唱えて魔法の光で俺の体を透かして調べているようだった。


 話を聞くと、俺はまる二週間寝ていたそうだ。 


 あの夢、三日前くらいに見たんだが。夢の中では二週間経過しているのか……。


「……問題ないようですね。結構、では明後日、法廷に立ってもらいます」


「ふごふご……」

 法廷だと? 俺が何をやったってんだ……。


 あー、やったな。


 建物を破壊した。


 それと客席の観客を巻き込んでしまったか。


「思い出しましたか? 気にされているようですね」


「ふごふご……」

 観客は? 俺は怪我をさせたのか?


「観客には怪我人が多数出ましたが、幸い皆さん軽症で済みました。治癒魔法で手当ては既に済んでいます」


「ふごふご……」

 ……よかった。


「では何かありましたら、看守に声をかけてください」


「ふごふご……」

 いや、喋れないんだけど。


 耳の長いエルフは、会釈をして出て行った。

 


□□□□■□□□□◆□□□□■□□□□◆


 二日後。


 俺は法廷に立たされた。


 刑事モノのドラマでよく見るような法廷に似ている。


 傍聴人がたくさんだ。


 あれは、ルナリアとメイド長。心配そうに俺のことを見ているルナリアと目が合った。


 警備員のエルフに引っ張られ、証言台に立たされる。猿グツワがようやく剥がされた。


「これより、被告人、カラスマ・カラスの裁判を執り行う」


 裁判長が言った。


「当法廷は治外法権。バトルアリーナ施設内の自治法に基づいて執行されるものである」


 裁判長?

 

 中央の一番高い席に座っているエルフに見覚えがある。


 ジャッジ・ザ・オーナー。


 リーゼントじゃない。金髪を横分けにして、サングラスを外しているから最初は気がつかなかった。


 ライダージャケットはどうした? そんな裁判長みたいな服を着て。


「では検察官」


 裁判長のジャッジに促され、ハーミット、やたら耳の長いエルフも証言台に出てきた。


「当アリーナ検察局は被告人カラスマの3つの罪状について、起訴、求刑を行います。

 罪状は、ゴウレムによる器物損壊、観客への傷害、そして試合の進行の妨害です」


 証拠品として押収された疾風が出された。


 なんだあれ。


 バスケットボールくらいの琥珀色に透き通った丸い玉?


 目をこらして見れば、その中に入れられたのは疾風だ。疾風のボディが、琥珀のようなものでコーティングされている。


「おい、お前ら、俺の疾風に何をしてる!!」


 疾風にリンクをはかる。だめだ。うんともすんとも動かない。


 暴れる俺を警備員が押さえつけた。


「被告人静粛に」


「検察局ですが、発言をよろしいですか?」


「許可しよう」


「被告人カラスマ。貴殿のゴウレムは世界樹の(うるし)によってその動きを拘束しています」


「……」

 塗装とか目のデカールがはがれたら絶対許さねえ!! 疾風で全部ぶっ壊す!!


「これは証拠品の保全のための行為で、証拠品を損壊するものではないことを私が保障します。

いつでも元通りに取り出すことは可能です。法廷による結審次第ですが……」


「……」

 信じていいのか? 今は信じるしかないが頼むぞ。


「裁判を前にして、裁判長の心証を損ねるものではありませんよ?」


「……」

 俺は深呼吸して気持ちを落ち着かせた。


「では被告、カラスマ・カラス前へ」


 警備員に押されて俺は前に出る。


「これより罪状認否を行う」


 ジャッジが言った。


「まず、器物損壊。被告カラスマ・カラスはゴウレムを使い、バトルアリーナの建造物、観客席ならびに、試合会場を損壊させた。間違いはないか?」


「間違いありません」

 俺は答える。


「次に観客への傷害行為。被告カラスマ・カラスはゴウレムを使い、突風を起こして観客に傷を負わせた」


 それは。


「わざとじゃなかったとか、そんな言い訳をするつもりはありません。

 巻き込んでしまったことは事実です。また観客の皆さんにはこの場で謝罪をさせて欲しい。ごめんなさい」


 俺は裁判長と、傍聴席に向かって頭を下げた。


 夢の中の話だが……、例え夢の中でも寝覚めの悪い真似をしてしまったものだ。


「殊勝なことだな。バトルアリーナの総支配人として、その謝罪を受け入れよう」


 ジャッジが咳払いをする。 


「では、最後に試合への妨害行為、これについては証人の証言を」


 おしりが出てきた。

 なんとかのズーランと言ったっけ。鞭のおねーさん。

 さすがにボンテージでは出てこれないのか似合わないドレスを着ている。

 そして居心地が悪そうに頭をぽりぽり掻いている。


「証人ズーラン。貴女は被告人カラスマによって、先のタイトルマッチの試合中、その決着を妨害された。それについて間違いはないか?」


「間違いねえズラ。そいつにオレの試合は台無しにされたズラ」

 

 なんだその語尾。ズーランだからズラ? 静岡には仕事でたまに行くけどそんな喋り方する人は滅多に居ないぞ。キャラ作ってんの?

 まぁいいや、今は裁判に集中だ。


「被告人カラスマは、先のタイトルマッチの試合中、その進行をゴウレムによって妨害した。間違いはないか?」


「それも間違いありません」


「結構」


「検察官。以上三つの罪の認否において、起訴することに間違いはないか?」


「はい」


「よろしい。では検察官。論告・求刑を」


「はい。カラスマの行った器物損壊と観客への傷害行為は許しがたいものですが、これに関しては当人の反省が見て取れることを鑑み、当局は酌量の余地があると認めます」


 酌量。罪が軽くなることか。ほっ……。


「ですが最後の罪。……被告人は当アリーナにおける最大の重罪を犯しました。試合の進行を妨害する行為です……。

 これは公営競技を行う我々アリーナの公益性を著しく毀損させるテロリズムだ。断じて許しがたい!」


 はぁ……? 雲行きが怪しくないか……。


「よって、アリーナ検察局は、被告人カラスマ・カラスに死刑を求刑します」


「なんだってーッ!!!!!」


「被告人、静粛に」


 エルフの警備兵がやってきて、じたばたする俺を取り押さえる。


「おいちょっと待て、死刑ってなんだ? なんなんだよそれ!! 重すぎるだろ? 嘘だろ? 冗談だよな!?」


 じたばたする俺。だって死刑だぞ死刑。


 エルフの警備兵が2人、俺の体を両側から押さえつける。


「裁判長。弁護人に陳述の機会を頂きたい!!」


 法廷に入ってくる人影が見えた。


 エルフの女、あれは……


「おっぱい?!」

 

 ガーネットだった。

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