第59話 絶対防御魔法
第59話 絶対防御魔法
「疾風、速攻だッ!」
俺はいつものように疾風を超加速させて、対戦相手に飛ばす! 狙うのはみぞおちだ!
だが次の瞬間、チャペルの体から強烈な光がほとばしった!
「我が神、主サンマルティーノよ、今こそ、我が身にその力を与えたもう!『侵されざる白銀の盾』」
チャペルの体を光の繭のようなものが覆う。
疾風がその繭に触れた瞬間、激しい火花が散る。
電気風呂。
スーパー銭湯によくある、びりびりするやつ。
触れた瞬間、あれを超強烈にしたやつが、疾風を通して俺の全身に走った。
「熱っ!!」
痛い、超痛い!!
バリヤー? バリヤーなのか?
絶対防御ってこういうことかよ!
「やったー! 出たッス!! チャペルさんの絶対防御!!」
「どうですカラスマ! あれを破ることはお前にだってできないでしょう!!」
チャペルのリングサイドにいる俺が負かしたエルフ達が大喜びしている。
チャペルの僧兵型ゴウレムがドスドスと走りながら俺に迫ってくる。
メイスを大上段に振りかぶっていて、
やばい!
俺は疾風を超高速で呼び戻す。
ごッ!!
振り下ろされたメイスを疾風で受け止める。
風がぶわっと、俺の頬をなでた。
こわい。
あいつ。
俺のことを卑怯とかなんとか言いながら、やってることは同じじゃないか。
俺は疾風に念を込める。
俺とリンクした疾風のパワーが上がり、メイスごと敵のゴウレムを押し返す。
押されたゴウレムが後ろによろめいた。
仕切りなおしだ。
そういうことなら、まず、敵のゴウレムから始末してやる。
「武装展開!!」
疾風の両翼から刀が飛び出し、それを両手に構える。
「くらえっ!!」
俺は疾風をゴウレムのどてっぱら目掛けて飛ばす。
「我が使徒に力を!『侵されざる白銀の盾』」
チャペルを覆っていた光の繭が、一瞬で僧兵ゴウレムの体に移動した。
えっ?!
できるのそれ?
フラップ展開! 急制動! 間に合わない!? もう一度光の繭にぶつかった疾風が火花を散らす。
「熱っ!!」
そして、痛い、超痛い!!
俺は疾風を敵のゴウレムから引き離す。
そして、俺を守るように敵ゴウレムとの間にホバリングさせた。
体に若干しびれが残ってるかも……。
俺を守りながらだと、敵の本体を攻撃できない。
そして、敵のゴウレムには攻撃できない。
根本、敵の体には触れられない……。
……どうやって倒したらいいんだこいつ!
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