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第24話 「あー、なんだ……夢か!」

夢オチではありません。

「疾風……か」


 俺の作った美少女プラモが目の前を飛んでいる。


 それでやっとわかった。


「あー、そうか。これは夢なのか……」


 俺は夢を見てるんだ。


 道理で全裸のダークエルフに、おっぱいまるだしの巨乳エルフが出てくるわけだ。


 異世界ものがマイブームになって、最近のおかずは主にエルフやダークエルフが出てくるエロ漫画やエロゲーにしていたからな。


 疾風はふわふわと滞空している。


「……フェアリア?」

 ダークエルフがつぶやいた。


「フェアリア? フェアリーのことか?」


 日本には異世界転移を描いた有名なロボット物のアニメがある。その中でも小さな、薄い虫の透明な羽根が背中に生えた妖精=フェアリーが別の名前で呼ばれていたっけ。


「こいつは疾風。プラモデルだよ。こういうの興味あるの?」


「プラモデル……」



 このダークエルフも見覚えがあるはずだ。


 俺の疾風にそっくりなんだ。


 夢は寝ている間に、脳が記憶を反芻して整理しているものだそうだ。

だから、このダークエルフは疾風の顔をしているんだな。


 夢を見ながら夢だと認識している夢。

 明晰夢はたまに見る。


 死んじゃった祖父や祖母が出てきて、一緒に何かをやっている。祖母が長生きすればいいなと思うと、そこでそういえば思い出すんだ……おばあちゃんは死んだよなと。


 途端にそこで目が覚めるのだ。


 今日の明晰夢は夢だと認識できてるのに覚めないな……。


 まぁいいか。


「ルナリアッ! ルナリアッ!」


 エルフが走ってきた。

 首輪は取れてるけどまだ手が後ろにまわったままだな。


 おかげで走ってくる時におっぱいがすごいことになっていた。


 ありがとう。


「ああ、ルナリア」

「お姉さま」

 2人は俺の背中で抱き合う。エルフは後ろ手に縛られてるのでダークエルフが抱いて支えてる感じだが。


 姉妹なのか……。


 地響きがした。

 緑色のなんちゃらバスターもどきが起き上がろうとしている。


『ハングドマンッ、何をしているッ! そいつを始末しろ!』


 拡声器のように声が辺りに響く。


「ひぃぃぃぃ!」


 頭に布を巻いたあごヒゲの男が悲鳴をあげる。ハングドマンってのはこいつか。

 ……しかし登場人物多いなこの夢。


『逃げようものならお前もまとめて消し飛ばすぞ』


「ちくしょうーッ、ハングドマンズッ!!」


 ずぼっ。


 音を立てて俺の目の地面が盛り上がった。


 超ジャンボつくし。


 それが最初の印象。


 3メートルくらいのつくしが、突然俺の目の前に生えた。


 つくしんぼうだと思ったそれは、一瞬で細い手足を展開し、3メートルのカカシっぽいロボになった。


 ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。


 それがいっぱい出てきた。


 カカシロボが俺とダークエルフとおっぱいを取り囲むように生えてきて壁を作ってる。


 マジかよ……。


「やれーッ!」


 壁が波になって一斉に飛びかかってきた。


 思わず怖いと思う。こないでくれと念じる。


 ふわふわと滞空していた疾風がその瞬間矢になった。


 飛びだした疾風が、俺を中心にらせんを描くように翔んだ。


 しゅぱん。


 風を切る音が聞こえ。続けてひぃぃんという衝撃波がおこる。


 次の瞬間、たくさんいたカカシロボ達の頭が、胴体から離れていた。


 がしゃりと、首をなくした胴体が一斉に崩れ落ちるのはビル爆破みたいで気持ちがよかった。


「すごい……」

 エルフが言った。


 ダークエルフが俺にだきついてくる。よしよしちょっと怖かったね。俺もびっくりしたよ。


 疾風が俺達の頭の上に滞空した。


 やっぱり。……さっきからムチが爆発したりロボットがふっとんだりしてたのはこいつが助けてくれてたのか。


 疾風は俺が怖いと思ったもの、危険に感じたものを自動で排除してるんだ。


「プラモがロボをぺしゃんこにするのか……。都合のいい夢だよな。実に俺らしい幼稚な夢だ」


 口ではプラモと言ったけど違う。口に出したのは自嘲の言葉だ。


 本心、もの凄く嬉しくてたまらないから。


 俺が疾風を作る時に思い描いていた、疾風の物語の中でのスペック。そのイメージの通りの動きと力を疾風が実現しているんだ。


 今は俺の気持ちや、思ったことに合わせてオートで動いてる感じ。


 なら、マニュアルにならんかな? 動くイメージをもっとはっきりさせる。


 俺が念じると、何故だか疾風とつながった感じがした。


 俺が飛ぶ姿を思い浮かべると、その通りに疾風は飛びまわる。


 8の字に飛べとイメージするとトレースするように疾風も飛んだ。


 頭は一つなのに、視界と体がもう一つあるような、不思議な感覚だ。


 伸ばした手のひらに着地するイメージ。

 疾風が俺の手のひらに着地した。


 じゃあ攻撃するのはどうだろう?


 俺はハングドマンを見た。


 俺はにやりと笑っていたかもしれない。


「いやあああああああああああああああああああああああ」


 目が合うなり、ハングドマンは悲鳴をあげた。


 ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。


 ものすごい大量のカカシロボが出てきた。


 今度は俺を取り囲むんじゃなく、ハングドマンの盾と言うか、壁になるように。

 校庭で全校生徒を集めた高校の朝礼を思い出すね。


「ハングドマンズ、奴を押しつぶせ!」


 ハングドマンズってのはカカシロボのことかな。自分の名前を付けるなんて気に入ってるんだね。


 じゃあ俺も……!


「疾風! 反撃しろ!」


 かっこいい気がしてなんだか真似してみた。


 カカシロボの群れに飛び込むイメージ。


 蹴り飛ばすイメージ。


 つかんで周りをなぎ払うイメージ。


 重ねてどてっぱらをぶち抜いて大穴をあけていくイメージ。


 思い浮かべた通りに、疾風が動き、そのたびに、カカシロボが大破して、ハングドマンの悲鳴があがる。


 崩れたカカシロボは、その体がすぐに土に変わった。


 こいつらもしかして泥で出来てたりするのか? 異世界ファンタジーでよくいるゴーレムってやつだ。


「す、すごい……」


 エルフとダークエルフは目を丸くして俺を見ていた。ちょっと嬉しい。


「なんだ、なんなんだお前!」

 とハングドマン。


「俺は……」


 なんなんだと問われても、答えに困るな……。なんなんだなんて聞かれたことがないもの。


 名前を言えばいいのかな?


 それとも、人間。日本人。相手をおちょくりたいわけじゃない。


 職業? サラリーマン。原型師。

 いや、原型師はもう名乗れないな。


「俺は特級・大隊長級のゴーレムマスターだぞ! それを それをお前」


 なんだか面倒くさくなったので、カカシロボを倒す作業に戻ることにした……が……。


「おい! 在庫がないぞ!」


 全部疾風が倒しちゃってた。


「ひぃいいぃ……ひぃぃぃぃ!!」


 ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。


 べき。めき。めこ。べりっ。ぼすん。ごしゃ。ビュッ。しゅぱん。ばすん。ごりっ。


「次!」

 催促した。



 ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。ずぼっ。


 べき。めき。めこ。べりっ。ぼすん。ごしゃ。ビュビュッ。しゅぱん。ばすん。ごりっ。


「次!」

 催促した。


 ずぼ。べき。ずぼ。めき。ずぼ。めこ。ずぼ。べりっ。ずぼっ。ぼすん。ずぼ。ごしゃ。ずぼ。ビュビュッ。ずぼ。しゅぱん。ずぼ。ばすん。ずぼ。ごりっ。


 最後は頭を土から出した瞬間に疾風を飛ばして潰すようにした。


「モグラたたきみたいだな」


「モグラたたきね……」


「モグラたたきですね……」


 エルフとダークエルフはモグラたたきを知ってるのか……。地元のスーパー銭湯に置いてあって大好きだったんだよね。


「そうだ! あいつがカカシを出すスピードと、疾風がカカシを倒すスピードを比べてみよう!」


「えっ……」


「おい聞いてたか? カカシが一体も居なくなった瞬間に、あんたの脳天に疾風がタッチダウンするから!」


「いやあああああああ、ハングドマンズ! ハングドマンズゥゥ」


(中略)


 ずぼ。べき。ずぼ。めき。ずぼ。めこ。ずぼ。べりっ。ずぼっ。ぼすん。ずぼ。ごしゃ。ずぼ。ビュビュッ。ずぼ。しゅぱん。ずぼ。ばすん。ずぼ。ごりっ。ずぼ。べき。ずぼ。めき。ずぼ。めこ。ずぼ。べりっ。ずぼっ。ぼすん。ずぼ。ごしゃ。ずぼ。ビュビュッ。ずぼ。しゅぱん。ずぼ。ばすん。ずぼ。ごりっ。ずぼ。べき。ずぼ。めき。ずぼ。めこ。ずぼ。べりっ。ずぼっ。ぼすん。ずぼ。ごしゃ。ずぼ。ビュビュッ。ずぼ。しゅぱん。ずぼ。ばすん。ずぼ。ごりっ。


「なぁ、さっきから出てくるやつらが小さくなってきてない? どうなってんの?」


 最初は3メートルはあったカカシだったけど、いつの間にか俺と変わらない背丈になり、

 今では幼稚園児くらいの大きさになっていた。


 そろそろおしまいかなと思っていると、


「うひゃあああああああああ、あははははは……」


 カカシを操っていたであろうハングドマンが壊れてしまった。


 鼻血は自分でも流したことがあるし、のぼせた子供がよくたらすものだから珍しくもないが……。耳血と目血は今はじめて見た。

 ハングドマンズは顔の穴と言う穴から血を流してばたりと倒れた。


 ここまでが、疾風を認識してからだいたい5分くらいの出来事かな。


 あのデカいロボ、なんちゃらバスターもどきが一向に襲ってこないのが気になっていたが、何故だかよくわかった。


 あのでかいロボに羽根としっぽが生えていたからだ。


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